古賀茂明「北のミサイル対策は騒ぐのに、原発テロの危険を報じないマスコミ」/現代日本の七不思議 | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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著者:古賀茂明(こが・しげあき)「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元経産省改革派官僚、国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長。2011年退官。元報道ステーションコメンテーター。「シナプス 古賀茂明サロン」主催。5月末に『日本中枢の狂謀』刊行予定(写真/筆者提供)

著者:古賀茂明(こが・しげあき)
「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元経産省改革派官僚、国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長。2011年退官。元報道ステーションコメンテーター。「シナプス 古賀茂明サロン」主催。5月末に『日本中枢の狂謀』刊行予定(写真/筆者提供)

 

 北朝鮮有事の際の“原発リスク”について報じる大手メディアはあまりみかけない。

 たび重なる北朝鮮のミサイル発射実験に際して、安倍政権は、今にも北朝鮮からミサイルが飛んでくるかのように「ミサイル攻撃」のリスクを声高に煽り、国民には「地下に逃げ込め」と呼びかけた。

 その一方、原発がミサイルやテロ攻撃されるリスクについては、だんまりを決めこんだままである。

 まともに防御対策を立てようとすれば、住民の避難計画の作り直しは必至。さらに、核燃料プールの地下埋設や各原発150名程度の警備の配備などを迫られ、原発再稼働ができなくなるからだ。

 折しも5月17日には、関西電力高浜原子力発電所4号機が1年3カ月ぶりに再稼働した。6月には営業運転に入る予定だ。同原発3号機の再稼働も続く。

 この高浜原発は、大津地裁で運転差し止めが命じられたほど、問題山積の危ない原発の一つだ。とりわけ、避難計画には大きな欠陥がある。運転停止中に行われた避難訓練もほとんどうまく行かなかった。

 たとえば、台風が来ているわけでもないのに、避難用のヘリが「視界不良」で飛べなかったり、船も「波が高い」などの理由で使えず。代わりにバスを出したが、避難経路が1本しかなく、しかもその途上に高浜原発があって、放射能をまき散らしているはずの原発のすぐ真横を通過するという、大失態を演じている。しかも、その後、この状態を解消するような手立ては全く打たれていないままの見切り再稼働である。

 この避難計画のひどさを端的に報じたテレビ朝日のニュース映像があるので、是非これをご覧いただきたい(http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000082747.html)。住民の「重大事故になったら、(高い)放射線量に向かっていくようなものだ」「避難経路が原発の横を通ること自体が異常。真剣にこの地区のことを考えているなら、そういうことはしない」という声がすべてを物語っている。

 

避難計画については、各紙とも課題があるということを報じているが、テレビ朝日の伝えた「原発に向かう避難路」ということを伝えているところはない。あまりにも衝撃的だからなのだろうか。それとも記者たちの「不勉強」のためだろうか。

 さらに、この原発は日本海に面していて、朝鮮半島からは目と鼻の先。ミサイルが撃ち込まれれば、核弾頭なしで核攻撃と同様の惨劇となるのは必至だ。とりわけ使用済み核燃料プールは、原子炉と違って、非常に脆弱な構造なので、ミサイル数発で壊滅的被害となる。海上からのテロ攻撃にもほとんど無防備である。攻撃対象としては、最高のターゲットを提供するわけだ。

 実は、現在稼働していない他の原発でも、核燃料プールに大量の使用済み核燃料が保管されている。いずれも狙われたらひとたまりもない。

 日本の大手メディアは、高浜原発の避難計画の問題までは指摘しても、このテロの危険性については、見出しに使わない。おそらく、「住民の不安を煽り、パニックを起こしたら大変だ」という「配慮」が言い訳として使われるのだろう。福島第一原発事故の際の「メルトダウン報道自粛」と同じだ。

 しかし、おかしなことに、安倍政権が伝えるミサイルの脅威については、政権の意向に忠実に従って大げさな報道を続けた。

 つまり、北のミサイル危機を煽りながら、ミサイルで最も狙われやすい原発の一つである高浜原発を「安全だ」と言い張る安倍政権のダブルスタンダードを批判するどころか、報道機関自体が同様のダブルスタンダードに陥っているわけだ。

●「温室ガス排出、前年度比2.9%減 原発再稼働も一因」という見出しの意味

 メディアの報じ方のせいで、とても大事なことなのに埋もれてしまうニュースはまだある。
 
「温室ガス排出、前年度比2.9%減 原発再稼働も一因」という4月13日の某大手全国紙電子版の記事はその典型だ。

 これを書いた記者は、おそらく詳細な資料は何も見ないまま、環境省の記者レクをその場でパソコンで入力し、記者クラブの机で、さっと打ち直して記事にしたのだろう(ただし、私はこの記者を批判するためにこのコラム記事を書いているわけではない。他の全国紙でもほぼ同内容の記事を掲載するか、報道すらしないという対応だったからだ)。

 

重要なポイントをすべて外した上に、読者をミスリードする見出しまでつけてしまったこの記事を読んでわかることは、

(1)環境省が4月13日、2015年度の温室効果ガスの排出量が前年度比2.9%減の13億2500万トン(二酸化炭素〈CO2〉換算)だったと発表したこと
(2)西日本で冷夏だったことが減少要因の一つであること
(3)太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入拡大もその要因の一つであること
(4)原発の再稼働も一因であること
(5)九州電力川内原発が再稼働したことで約410万トンのCO2削減になったと試算されること
(6)排出量は05年度比5.3%減で、減少は2年連続であること
(7)政府が掲げる20年度に05年度比3.8%減とする目標を、森林吸収分なしで達成したこと
(8)CO2排出量の多い石炭火力発電所の建設計画が相次いでいること
(9)したがって、環境省の担当者は「先の見通しは何とも言えない状況」だと述べたことなどだ。

CO2と経済成長のデカップリングが始まった

 今回の報道では大事なことがいくつも抜け落ちている。

 まず、温室効果ガス(フロンなどを含む)のうち一番大事なCO2だけ見るとマイナス幅は2.9%ではなく、3.3%と拡大する。

 さらに、電力などのエネルギー転換部門に限定すると、6.4%もの大幅減少だ。記事を見ただけでは、エネルギー部門で6%削減ということは誰にも想像できない。

また、九州電力川内原発が再稼働したことで削減された約410万トンは、全体の削減量3900万トンのうち、わずか10.5%に過ぎないということもあえて書いていない。むしろ、見出しに「原発再稼働も一因」と書いて、わざわざ、原発再稼働だけを特記して、「原発が温暖化対策に有効」であると印象付けようとしている。政府から見れば、「優等生」と褒められる表現だ。

 さらに、これが最も重要なことなのだが、15年度の実質経済成長率はプラス1.3%であったのに、原発がほとんど動かなくても、大幅にCO2を削減できたということに全く触れていない。

 

14年度もCO2は減っているので、2年連続というのは間違いではないが、それだけだと、「ああ、またか」ということになってしまう。14年度は消費税増税の影響で経済はマイナス成長だったので、CO2が減っても全く驚きではない。15年度に起きたこととは意味が全く違うのである。

 ここまで書けば、皆さんおわかりだろうが、このニュースで特筆すべきことは、経済成長しても電力部門のCO2排出量が大幅に減少し、しかも、原発が全く動いていなかったとしても、大幅削減が達成できたということである。

 過去にもプラス成長でCO2排出量減少という現象が起きたこともあるが、この時はたくさんの原発が動いていたから、今回とは全く意味合いが違う。

 つまり、15年度は極めて画期的なことが起こったのである。

 しかし、そんなことは、国民は知る由もなかった。大手メディアが報じないからだ。

安倍政権にとって不都合な真実

 ここで思い出してほしいことがある。
 安倍政権は福島第一原発事故の教訓も忘れ、原発再稼働へとひた走ってきた。その際述べられた理由が以下の三つだ。

原発が停止したままだと
(1)電力不足になる
(2)電気代が高くなる
(3)CO2などの排出量が増えて、昨年閣議決定した目標(2030年度の温室効果ガス13年度比26%減)を達成できない。このままでは国際公約に反することになる。

 ところが、まず、原発事故以降、日本中のすべての原発が停止しても、(1)の電力不足は起こらなかった。

 また(2)の理由、原発は他の発電方式に比べてローコストという売り文句も通じなくなってきた。

 この間、自然エネルギーが普及し、昨年来、デンマークや中東・南米などでは、風力や太陽光発電のコストがキロワット時当たり6円を切るというニュースが続いている。

 一方、安全対策や廃炉などに巨額の費用がかさむ原発の発電コストは上昇を続け、今や少なく見ても10円超。ローコストどころか、ハイコストの代表だ。

 

 そして(3)CO2を排出しない原発なしには、温室効果ガスを削減できないという主張も、今回の環境省の最新データによって、覆されたのである。

 なにしろ原発をほとんど停め、CO2を多く出す火力発電をメインにして、日本の潜在成長力を超える1.3%の経済成長をしても、CO2の排出量が大幅に減ってしまったのだ。


 その要因は工場、オフィス、家庭などで省エネが大幅に進むとともに自然エネの普及も進んだためだ。省エネは一度進んだら後退することはない。なぜなら、その方が、企業も消費者も得するからだ。そして、原発のコストは規制の強化が続き、今後も上昇し続けると見込まれる。一方、自然エネルギーのコスト低下は今後も続くから、もう原発が安いという時代が戻ってくることはない。

 つまり、エネルギー構造が根本から変わってしまったということだ。

 これは安倍政権や原子力ムラにとって、絶対に認めたくない「不都合な真実」だ。このニュースについて報道量が少ないのは、そのためなのだろう。

 北朝鮮のミサイル騒動と原発再稼働のニュース、経済成長しても温室効果ガスが減ったというニュース。このふたつのニュースから導ける結論は、安倍政権が絶対にやりたくないこと。すなわち、「すべての原発再稼働をやめて、速やかに廃炉にする」ことである。

 そして、もう一つ、指摘しておかなければならない大事なこと……そう、それは、日本のテレビ局や大手全国紙の多くが本来の機能を停止し、しかも、自らそれに気づく能力を失ってしまったことだ


 これこそ、朝鮮半島危機を超える、まさに、「本当の危機」というべきではないのか。

 

https://dot.asahi.com/dot/2017052100024.html?page=1」  より転載

 

 

勉強になりなりました。

脱原発思考の原点の話かも。

安倍晋三が叫んでいる北朝鮮ミサイルの危機というものの本質が、彼らの政治的主張に一見「正当性」を持たせるだけのものだという事を示している。

この国の安全にとって、脅威を煽り立てているだけでは何の役にも立たない。

米国も原子力空母を2隻も日本海に派遣するなどという挑発を止めて真剣に話し合いを模索してみて北朝鮮がどう反応するのか見てみたらどうなのか。

 

西丹沢の檜洞丸(1601㍍)に登ってきた。

シロヤシオで有名。今回は今一だったが、それでも純白の花があちらこちらで咲いていた。

蕾みのモノも多かったから、シロヤシオの本番はもう少し先かな。

 

 

また山頂では豆桜の花が未だ残っていた。

10日か位前だとあちらこちらで満開の豆桜が見られたかも知れない。