ファシズムや全体主義も勝利することはできなかった。だから絶望する必要はない | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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「女性たちは動物や大地の苦しみまで語った」~アレクシエーヴィチさんとの対話集会

    佐々木有美

 

 

 第二次世界大戦、独ソ戦の戦場は凄惨だった。死者は二千万人にのぼった

「“幸せって何か”と訊かれるんですか? 私はこう答えるの。殺された人ばっかり横たわっている中に生きている人が見つかること…」。

ソ連軍に従軍した看護婦のことばだ。記録文学作品『戦争は女の顔をしていない』に収められている。その作者スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさん(68)が来日し、11月25日東京大学(文京区)で対話集会が開かれた。

 

 アレクシエーヴィチさんは、原発事故の犠牲者の証言集『チェルノブイリの祈り』などでも有名。市井の名もない人々のことばに耳を傾け、文学作品にまとめ上げてきた。最新作は、ソ連崩壊後の庶民へのインタビューを集めた『セカンドハンドの時代』。昨年(2015年)のノーベル文学賞受賞者でもある。

 

 

 彼女はベラルーシの村で生まれ育ったが、村には男がいなかったと言う。戦争でみんな死んでしまったのだ。村の女性たちは、寄り集まっては、戦争の思い出話をしていたが、その話は決して華々しい英雄行為ではなく愛の話、つまり戦地にどうやって男たちを送りだしたのか、その前日どう過ごしたのかという話ばかりだったそうだ。

 

 大学でジャーナリズムを学び、全国をまわって人々から戦争の話を聞いた

「その中で驚いたのは、女性たちの話だった。男たちは、いにしえからの戦争の文化の枠内で語ったが、女性は自由だった。男たちは人間の苦しみだけを語ったが、女性たちは、鳥・動物・大地・小麦の苦しみまで語った」。

こうした体験が、後の『戦争は女の顔をしていない』の手法や内容に大きな影響を与えた。

 

 

 会場からは、福島原発事故以後の日本が、価値転換できないことへの失望も話されたが、アレクシエーヴィチさんは、「わたしたちは難しい時代に生きている。保守主義が台頭し、民主主義が壊れやすくなっている。こうした時代には人々を勇気づける知識人の役割が大切だ。消費文化を超える新しい哲学が求められている」と述べた。

そして「重要なのは想像力を失わないこと。ファシズムや全体主義も勝利することはできなかった。だから絶望する必要はない」と参加者を励ました。

 

 レイバーネットTVでは、12月14日午後8時から「2016わたしの一冊~本の発見」を放送予定。アレクシエーヴィチさんの『戦争は女の顔をしていない』も取り上げる。キャスターは志真秀弘さん(編集者)、アシスタントは佐々木有美。ゲストは『チェルノブイリの祈り』を講談で演じている神田香織さんと作家の大西赤人さんが登場する。

レイバーネットTV

 

「レイバーネット」より転載

 

 

 

残念ながら浅学の身には、この作家も作品もまったく無縁だったが、この記事を読んでいくつかの発言にひどく感銘を受けた。

文中、太字にした箇所、良いなぁと思う。

 

「しんぶん赤旗」によると先週、防衛装備庁主催の技術シンポジウムが開かれて、陸海空自衛隊装備や展示ブースが都心の高級ホテルの2階、3階を埋めたという。そこで技術戦略課長は「日本との技術交流への諸外国の期待は非常に高まっている」と平和主義を逸脱することによるコスト意識など頭の中に全くなく、平和憲法を尻目に「死の商人」がうごめいていたと記者は書いていた。

 

累々と横たわる死体と破壊された武器、しかし「死の商人」たちはまたまた武器が売れると喜ぶのだろう。戦争こそ金儲けの最たるものだから。

 

それが人類の歴史だとしたら、随分とつらく淋しいことだ。

そうした歴史を再び歩まないために制定された平和憲法の破壊をやはり許すわけにはいかない。