原発ゼロに向けて動き始めた民進党。しかし、作家の室井佑月氏は呆れる。
* * *
10月21日付の朝日新聞に「民進『原発ゼロ』に波紋」という記事が載っていた。
なんでも、民進党の蓮舫代表が、20日、福島第一原発を視察して、集まった記者団にこう語ったみたいだ。
「原子力政策に関して複数の選挙で明確な結果が出ている。再稼働ありきでは絶対に国民の理解は得られない」と。
そして、
〈民進党が、2030年代に原発をゼロにするための「現実的な工程表を作る」と表明した〉
という。記事に書かれている通り、
〈原発へのスタンスが影を落として野党共闘が崩れた新潟県知事選の「反省」を受け、踏み込んだ〉
のだろうし、そのことでまた党内がゴタゴタしているみたい。
記事には電力総連出身の小林正夫参院議員の「承知していない」というコメントや、電力総連を傘下に置く連合の神津里季生会長の「再稼働できるものはすべきだ」という発言が載っていた。
この人たち、バカなのかな? こういうゴタゴタは代表選でやっとけよ! 自民贔屓(びいき)のマスコミに、おいしい餌を与えてどうする?
蓮舫さんいわく、原発について国民がどう思っているか、ようやく今わかったらしい。記事の中に出てくる党関係者という人は、「(原発政策は)のどから手が出るほど欲しい対立軸だ」とかいっちゃってやんの。
うちら国民からしたら、「はあ? なんだよ、今頃。すっとぼけるのもいいかげんにしろ」って感じだ。
自民と対抗する最大野党だからとたくさん我慢もしてきたが、もう我慢せず叫んでもいいよね。
バーカ! バーカ!
だいたい前出の蓮舫さんの発言を、「(今頃であっても)よくご決断されました!」と褒める人がいるのかな?
新潟県知事選で民進が推薦しなかった米山隆一さんが勝ちそうになると、ギリギリになって選挙区に入った卑怯さと重なってしまうのだ。
江田憲司代表代行がすぐに新新潟県知事の米山さんと面会したのも、安倍総理が選挙前、原発の再稼働に慎重な泉田裕彦前知事を官邸に呼んだ卑怯なパフォーマンスと重なってしまう。
民進党の野田幹事長なんか、20日、わざわざ新潟市を訪問して、「連合新潟」の会長と会ってるしな。
おどれら、なに考えとるんじゃ。「これで大丈夫でしょ、応援してね」などと考えているなら、国民をナメすぎだと思う。
「強行採決すりゃ、みなオッケー」。そう考えている自民党の傲慢さと、どう違うっていうのか?
もうバカは前に出てくるな! 次の衆議院選挙で主導権を握ろうとするのはよせ! 今回の新潟知事選と都知事選で、わかったろ。
え? まだわからない? だとしたら、ほんとうに残念なバカですよ。
個人単位では良い議員がいっぱいいるから、惜しい。
※週刊朝日 2016年11月11日号 より転載
室井卯月の嘆きは、心ある国民の気持ちを良く表しているように思う。
この民進党という政党は、日本会議に所属する議員もいるし、良心的に安倍政権と対決している議員もいるし、市民派もいれば「連合」丸抱えもいるしとごった煮みたいな政党だが、だからこそ国民目線が貫けない。
消費税率10%引き上げ延期法案 民進が反対決定
民進党は「次の内閣」を開き、消費税率を10%に引き上げる時期を来年4月から2年半延期するための法案について、アベノミクスの失敗によるものだとして、今後の採決で反対することを決めました。
民進党は28日に「次の内閣」を開き、衆議院で審議が行われている消費税率を10%に引き上げる時期を、来年4月から平成31年10月に2年半延期することなどを盛り込んだ法案への対応を協議しました。
その結果、アベノミクスの失敗により増税を先送りするものであり、税率の引き上げに合わせて導入される食品など一部の品目の税率を8%に据え置く「軽減税率」は、低所得者対策にならないなどとして、今後の採決で反対することを決めました。
一方で、会合ではことし5月、当時の岡田代表のもと、「増税できる経済状況ではない」として、消費税率の引き上げを延期するための法案を提出していることから、「国民から党の方針が一貫していない」などと批判を受けるおそれがあるとして、党執行部に対し反対の理由を丁寧に説明するよう求める意見も出されました。
「NHKニュース」より転載
この記事、ぱっと読んだとき一瞬書き間違えではないかと思うくらい、愕然とする記事だった。
ひとことで言えば、早く消費税を10%に引き上げろ、軽減税率も反対だと言っている訳で、これが野党の言う事なのか。
今圧倒的多数の国民は給与は上がらす、年金は減らされ、低賃金の非正規労働者は増え続け、正規労働者は長時間労働に追いやられと、生きていく上でこんな厳しい時代はないくらい追い詰められている。
野党なら当然消費税の引き下げと大企業や大金持ちへの減税措置を止めろと主張しなければならないだろうと思うけど、彼らの頭の中には国民の生活なんかないのね。
率直に言ってこんな政党を組み込んだ野党共闘とは何だろうかと思うけど、自民一強を止めさせるには、そうした方向しかないのだから、困る。
静岡県でも野党共闘を何とかしようという動きはあるが、具体化にはほど遠い。
喜んで野党共闘を推し進めようと言える基盤を、民進党は作るために脱皮しなさいよ。
自民党幹部と仲良しの「連合」幹部みたいな労働貴族に頭が上がらないと、国民からソッポを向かれるよ。野駄目クン。
「連合」と言えば、僕も一時期立場上「連合」幹部と同席する事が多い時があった。懇親会など出たくもなかったが、仕方なく参加すると、話題の殆どがゴルフのこと。軍事産業として名高い財閥企業の某事業所の労組幹部は、一週間に3回ゴルフに行ったなどと話していてウンザリした記憶がある。仕事がゴルフなのね。
また幹部を経験すると管理職にというのも一般的だった。
労組幹部が出世の手段と化していたなぁ。
この組合と言う名の労務管理機構に首根っこを押さえられていては民進党は先がない。
11月3日は日本国憲法公布70周年。
「京都新聞」の社説を転載します。
きな臭さが増す中で、憲法の意義について学び直したい。
憲法公布70年 守り、守られる関係こそ
|
その日の京都新聞1面のトップ記事は「日本国民の大きな歓喜と深い決意を込めて、新憲法公布の意義深い式典は…」と書き出す。
70年前のきょう、日本国憲法が公布された。国民主権(民主主義)、基本的人権、平和といった理念は、暗く息苦しい戦争の時代をくぐり抜けた当時の人々にまぶしく見えたに違いない。
京都市内では府知事や市長も列席した公布記念式典が大々的に開かれた。府内各地で憲法を解説する講習会や、移動映画、紙芝居、チラシ配布なども行われた。
当時の興奮を想像すれば、憲法が国民の意に反してGHQ(連合国軍総司令部)に「押しつけられた」とする論がいかに表面的かが分かる。京都市出身で、内閣法制局参事官として憲法制定過程に深く関わった故佐藤功・上智大名誉教授も、押しつけ憲法論は「愉快ではない」と憤っている。
憲法解釈の第一人者だった佐藤氏が青少年向けに書いた「憲法と君たち」(時事通信社)がこのほど復刻された。憲法がやぶられる場合について言及している。
<国会や内閣が、事情が変わったということで、また、へりくつをつけて、作られたときとは別のように憲法が解釈され、無理やりにねじ曲げ>られてしまう。そのやり方は<多数党が、少数党の反対の意見など初めから聞こうともせず、ろくに議論さえもしないで、数で押し切ってしまう>と。
まるで現在の政治状況を予知していたかのような卓見である。出版は、自民党が結党された1955年。復古的な改憲論が現れ、護憲派と世論を二分していた。そうした状況も現在と重なる。
愛国心や公共精神の強調(教育基本法改正)、知る権利の制約(特定秘密保護法)、集団的自衛権の行使容認(安全保障関連法)…。延べ5年近い安倍晋三首相の在任中、憲法の理念にそぐわない法律がさまざまな「へりくつ」を付けて与党の数の力で成立した。そして今、憲法自体の改正が現実味を帯びる。
佐藤氏は改憲の可能性を認めつつ、戦争の犠牲の上に築かれた憲法の民主主義、基本的人権、平和という3原則は「どうしても変えてはならない」と訴える。信じ難いが、改憲草案をめぐる自民党内の議論では3原則に批判が相次いだ。そうなれば憲法の改正ではなく破壊である。
佐藤氏は著書の末尾に記した。<憲法が君たちを守る。君たちが憲法を守る>。憲法と国民が、ずっとそんな関係であり続けたい。
[京都新聞 2016年11月03日掲載]より転載
因みに首都圏各紙の社説は以下のごとし。 各紙の立ち位置が良くわかる大見出しですね。
朝日新聞 |