【ダイジェスト】立石雅昭氏:日本の地層に何が起きているのか | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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マル激トーク・オン・ディマンド 第785回(2016年4月23日)
「日本の地層に何が起きているのか」
ゲスト:立石雅昭氏(新潟大学名誉教授)
司会:神保哲生、宮台真司

【ダイジェスト版】https://youtu.be/fxhelnz5-xQ
【番組ページ】http://www.videonews.com/

 今回の地震はどうもおかしい。

 震度7を2回も記録した大きな地震だったことはまちがいない。熊本市や周辺の町村では多くの家屋が倒壊し、既に48人の犠牲者を出している。依然として行方不明者の捜索も続く中、9万人以上が避難生活を強いられている。

 しかし、これまでとは何かが違う。震度7だった最初の「前震」から1週間以上が過ぎた今も、依然として震度3~4クラスの余震がひっきりなしに続き、一向に収束の様子を見せないのだ。既に震度7が2回、震度6弱以上の揺れも7回記録されている。震度3以上では300回近くにのぼり、震度1以上となると830回を超えている。しかも、震源が熊本から阿蘇、大分へと拡大し、行ったり来たりの移動を続けているのだ。

 一体、日本の地層に今、何が起きているのか。

 新潟大学名誉教授で、活断層の問題や地震のメカニズムなどに詳しい地質学者の立石雅昭氏は、今回の地震はこれまで日本で発生した地震とは大きく性格が異なり、今後の見通しについては専門家でさえ頭を抱えている状態だという。

 過去にも大きな本震の後にしばらく余震が続いた地震はあった。しかし、今回は2度の震度7を含め「余震」が800回を超えている上に、震源が九州を横断するように熊本から大分にまで及んでいる。これだけ広い地域でこれほど大きな地震が頻発することはかつてなかったと立石氏は指摘する。そのため専門家にも、今地層で何が起きているのかや、今後、揺れがどう収束していくのかなどが見通せないというのが正直なところだという。気象庁も今後どの程度の期間、「余震」が続くかわからないが、当面1週間程度は大きな揺れに警戒するように呼び掛けるのが、精一杯のようだ。

 元々、熊本市周辺には布田川・日奈久断層帯という大きな活断層の存在が確認されていた。一方で、大分県南部にも別府・万年山断層帯などの大きな断層があることは知られていた。国土地理院の断層地図を見ると、2つの断層帯は阿蘇山付近で一旦途切れるように見える。しかし、立石氏によると、その付近は活断層が確認されていないだけで、実際は多くの断層が分布している可能性が高いのだという。分厚い火山灰が堆積している阿蘇山周辺は調査が難しく、これまで十分な調査が行われなかったために、たまたま活断層が見つかっていない。そのため、地図には断層が書き込まれていないということなのだそうだ。

 地図に活断層が書き込まれていない場合、そこには活断層が存在しないことを意味するのではなく、まだ断層が見つかっていないと理解すべきだと立石氏は言う。今後の調査で、大分の別府・万年山断層帯と熊本の布田川・日奈久断層帯が実は続いていることが確認される可能性も否定できないのだ。

 同じことが、四国の北部を横断する中央構造線断層帯についても言える。国土地理院の断層地図では中央構造線断層帯は豊後水道で一旦切れていることになっている。しかし、これも実際は海底の断層を調べ切れていないだけで、これが大分の別府・万年山断層帯、そして熊本の布田川・日奈久断層帯へと繋がっている可能性は十分にあり得ると立石氏は言う。

 要するに、地震や地層、活断層などについては、まだ未知な部分が多いのだ。地震活動期に入った日本は、いつどこで大きな地震が起きてもおかしくないと考えるべき状態にあると立石氏は警鐘を鳴らす。

 震災の被害を抑える目的で活断層を示した断層地図や地震ハザードナップといったものが政府の手で作られているが、特に地震に関してはまだ未解明な部分も多いため、そうした情報を過信すべきではないと指摘する専門家は多い。現に、阪神淡路大震災や東日本大震災の震源地は、ハザードマップでそれほど危険とはされていなかった。今回の震源地となった熊本も特に危険性が高いとは見られていなかったため、住宅の耐震化率が全国平均よりも低くとどまるなど、地震に対する備えが必ずしも十分ではなかった面があったことは否めない。

 今回インタビューした東京大学のロバート・ゲラー教授も、ハザードマップや断層地図を過信して、危険とされた地域に過度な地震対策を行う一方で、危険性が低いとされた地域は地震対策や防災対策が疎かになっている日本の現状に懸念を表明している。

 今回、熊本で専門家の誰もが予想しなかったような揺れが続いている原因については、現時点では誰も確定的なことは言えそうにない。しかし、今回の地震が、これまでのわれわれの地震に対する常識を覆すものであるという事実は、地震や地球の地殻変動というものに関して、まだまだ現代の科学の力では解明できないことが多く残されていることを露わにしたと言えるだろう。

 ここまでの科学の知見で本当にわかっていることと、実はわかっていないことは何かを、今、あらためて整理した上で、現在のわれわれの地震に対する備えは十分と言えるのか、今回の地震の震源地から100キロ以内にあり、周辺の活断層の調査が十分に行われたとは言えない川内原発を今も稼働させておくことにどんなリスクがあるのかなどを、被災地を取材してきたジャーナリスト神保哲生の取材映像や専門家のインタビューを交えながら、地質学者の立石雅昭氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
 
<ゲストプロフィール>
立石雅昭(たていし まさあき)
新潟大学名誉教授
1945年大阪府生まれ。71年大阪市立大学理学部地学科卒業。73年京都大学大学院理学研究科修士課程修了。78年同大学院博士課程修了。新潟大学助教授、同教授などを経て、2011年より現職。理学博士。専門は地質学。新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会委員を兼任。著書に『地震列島日本の原発 柏崎刈羽と福島事故の教訓』、共著に『川内原発を巨大地震が襲う』など。



東京大学地震研究所のロバート・ゲラー教授が書いた「日本人は知らない地震予知の正体」(双葉社)を以前読んで、絶望的になったことを想い出す。
この間の地震予知に投入された血税は3000億円を超し、その金に群がる研究者や各種機関などがえがかれていた。それでも予知など不可能だと彼は書いていた。
確かに阪神淡路大震災も東日本大震災も、そして今回の九州大地震も予測など全くないまま、人々は無抵抗で被害に遭った。
今にも我が家は震度7の激震に襲われるかも知れないと思うと、地震の無い国に住んでみたいとまで思う。

それでも活断層は調査方法の進展につれてさらに明らかになるところも増えるだろう。
そうすれば活断層による被害は減らせることが出来る。
人間の知恵で被害を少なくする努力を続ける事はやはり大切だ。



今日はチェルノブイリ原発事故から30年。
現地では老朽化した石棺を、新しい石棺で覆い尽くす作業が進んでいるようだ。
こんな負の遺産と、30年経っても決別することが出来ない。
福島も同じような経過をたどるだろう。