ヒットラーの「緊急事態条項」成立への道を学ぶ | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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ドイツ基本法の緊急事態条項の「秘密」


NHK「新・映像の世紀」第3回「時代は独裁者を求めた」は録画して何度もみた。いろいろな発見があった。国会放火事件を「奇貨」として一気に制定された「授権法」(Ermächtigungsgesetz)(別名「全権委任法」、正式名称は「民族および国家の危難を除去するための法律」1933年3月24日)の制定の様子がリアルに描かれていた。


議会を突撃隊(SA)が取り囲み、共産党議員は身柄拘束されて議場に入れなかった。議場で反対討論する社民党(SPD)党首の声を初めて聞いた。「強権によってもたらされた平和は認められるべきではない。その根底に正当性はあるのか」と。


ヒトラーは猛烈に怒り、「私はお前たちの票など欲しくない。(この法律で)ドイツは自由になるのだ」と叫んだ。


この法律は、二重の意味での「法の下克上」(「政・府・が・制・定・した法律は、・・・憲・法・に・違・反・することができる」(2条))である点に注意する必要がある。


ただ、「新・映像の世紀」では、国会議事堂放火事件のあとに、ヴァイマル憲法48条2項に基づく「民族および国家の保護のためのライヒ大統領令」(2月28日)が出され、7つの基本権(人身の自由、言論の自由、集会の権利など)が停止された事実に触れられていなかった。この大統領令によって、逮捕令状なしの身柄拘束が行われるという状況のもとで総選挙が行われた。それでもナチスは過半数の議席を獲得できなかった。



授権法(全権委任法)は「憲法改正法律」(ヴァイマル憲法76条)として制定されたので、「3分の2の出席で、その3分の2の賛成」という特別多数が必要である。そのため、大統領令により共産党議員を逮捕して総議員の母数を減らすとともに、保守党、中間政党の議員への脅迫と懐柔を行って成立した。


憲法の緊急事態条項の悪用・濫用によって、授権法は誕生したわけである。そうした歴史的体験から、戦後の基本法(憲法)制定過程では、政府に緊急事態権能を安易に与えなかった(当初案にあった111条(緊急事態条項)は削除された)。



ドイツ基本法に緊急事態条項が誕生したのは、1968年の17回目の基本法改正によってである。ベルリン危機やキューバ危機の時代ではなく、むしろ緊張緩和(デタント)の時代になぜ「緊急事態」のための憲法(基本法)改正なのか。


これは旧西ドイツが占領3カ国(米英仏)から完全に独立するためには、ドイツが自力で緊急事態に対応できる法制を整える必要があったことに起因している(ドイツ条約5条2項の占領留保権)。戦争に対応するというよりも、ドイツの西側3カ国からの自立が主な狙いだった。


したがって、過去の緊急事態条項の「復活」は意識的に忌避され、徹底した議会統制の仕組みが追求されたのである。これは社会民主党(SPD)や自由民主党(FDP)の主張が反映した面が大きい。(以下略)

早大教授水島朝穂「平和憲法のメッセージ」より一部転載




いま安倍政権が憲法改正で実現しようと狙っている重要条項は「緊急事態条項」だが、その先例とも言うべきナチスドイツによる「全権委任法」の成立過程とは文字通り無理押しの連続であった。
国会放火事件を共産党によるものとしてでっち上げ、最大の反対勢力であったドイツ共産党を弾圧しながら、ヒットラーナチスは全権を握っていったのだが、その時ドイツ財界はまだヒットラーの影響力を過小評価していたという。
自分たちの意のままになりうると判断していたのだ。

ファシズムは突然やって来るのではなく、周到な戦略と戦術の上で実現していくものなのだろう。

日本のマスコミは清原と北朝鮮ミサイル発射問題で大騒ぎしているが、支配者側にとってこんなに好都合な問題は他にない。
甘利金権問題なんかどこかに飛んで行ってしまった。
安倍政権の応援団=金正恩だね。
PAC3やイージス艦配備で大はしゃぎの首相官邸の様子が目に見える。

自民党は参議院選挙比例区に元SPEEDの今井絵理子を立候補させるらしいが、沖縄出身と障害を持つ子どもを抱えるシングルマザーという側面を最大限活かしながら票を獲得する戦術はやはり支配政党らしい知恵だと感ぜざるを得ない。

昨日「戦争させない!静岡東部の会第4回討論会」が三島で開催され、会場に入りきれないくらいの50人近い人々が集まった。
論議の主題は「戦争法廃棄に向けて特に参議院選挙で何が出来るのか」という点であったが議論百出、明確な我々の方針が固められたわけでは無い。
自民党の知恵を上回る市民運動の盛り上がりをどう作り出すことが出来るのか。
知恵比べはまだまだ続く。