藤井聡京都大学大学院教授と森裕之立命館大学教授が4月27日ごろから呼びかけを始め、わずか1週間で、趣旨に賛同し所見を寄稿した学者は100人を超えました。詳細は藤井氏のホームページでも公表しており、9、10の両日には市内で市民向けの学者による説明会も開催します。
藤井氏は、「都」構想については、学者の間では数多く指摘されている重大な危険性が市民には十分に知られておらず、イメージ論が先行していると指摘。関西学院大学の北山俊哉教授が「うさんくさいお医者さんが手術させろと言っている。危険性をよく知ってから判断していただきたい」と述べました。
高寄昇三甲南大学名誉教授が「制度を変えたらすべて上手にいくと市長自身が錯覚している」と批判。立命大の村上弘教授が「大阪市をなくすとサービスも下がるけど、大阪の力自体も下がる」と警鐘を鳴らしました。
関西大学の鶴田廣巳教授は、権限と財源を府に吸い上げる「都」構想が分権に逆行していることを指摘し「今やるべきは都市内分権。参加の仕組みづくりだ」と強調。中山徹奈良女子大学教授は、「都」構想は大阪に失敗をもたらしてきた「東京追随策」と指摘。大阪の発展には大阪の歴史や文化をどう生かすかが大事だと強調しました。
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福祉機能は下がる、教育条件劣化明らか
学者19人会見 専門分野から「大阪都」構想反対
5日に開かれた「大阪都」構想の危険性を明らかにする学者記者会見では、出席した19人の学者が、行政にかかわる「防災論」「地方自治論」「経済産業政策論」「都市計画論」など、各分野から問題点を指摘しました。
「地方財政や行政を変えるのに、制度を変えたからといってすべて解決するものではない」と批判した高寄昇三・甲南大学名誉教授は「財政事情を見ても、制度を変えたらシステムとしての福祉機能は下がるのが真実だろう」と指摘しました。
小野田正利・大阪大学教授は、3年前に橋下・維新が導入した「教育基本条例」に触れ「大阪に教員が集まらなくなってきている。その中で特別区の財政が逼迫(ひっぱく)すれば、教育条件の劣化は火を見るよりも明らかだ」と指摘しました。
木村收・阪南大学元教授は「市町村合併と同じように大阪市廃止・分割問題を見ている向きがあるのではないか。市を解体し五つの特別区に分割することは割り切れない割り算。財政もなく自治権が乏しいところで団体の自治、住民自治もありえない」と話しました。
「都」構想の唯一の経済政策がカジノ誘致だと指摘した桜田照雄・阪南大学教授は「地域の実態、支える人々、学者やビジネスをする人たちの力を集めて、人口減少する大阪の経済をどう立て直すのか、どう住みよいまちをつくるのか。その議論を進めるのが府や市の責任。その点からみて、カジノが地方自治の経済対策だというのは薄ら寒い」と批判しました。
以上「しんぶん赤旗」より転載
公明党の裏切りで突如浮上した住民投票がいよいよ17日投票。
大阪市制発足は1889年と言うから、126年の歴史に終止符をうつかどうかが問われているのだが、賛否が拮抗などという報道に接すると、事の本質はどこかに置かれたまま、橋下流の過激な提起が一定の支持を得ているのだろうと想像できる。
「2重行政を止めて無駄をはぶく」という橋下の提起が功を奏している面もあるのだろうが、その無駄とは、病院や図書館、公園など市民生活に密接なものを省くことだと見抜ける目を住民が持てれば、反対が多くなるだろうと思う。
吸い上げた税金が無駄な大型公共事業やカジノ設置に回されるのでは住民も浮かばれまい。
賢い選択を大阪市民がしてくれて歴史に咲いた徒花がものの見事に散ることを期待している。
そして改憲に向けた国民投票の予備行為とも言われる今回の住民投票を真に住民の意思が反映されたものにするために、心ある人たちの奮闘を願う。