福島原発事故の原因はまだ判明していない/なのに川内原発再稼働とは!! | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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先週、今週と原発再稼働をめぐり、真逆の司法判断が相次いで下った。

 原発再稼働の差し止め請求訴訟で4月14日、福井地裁は高浜原発3、4号機の運転を禁じる仮処分決定を下した。その一方で、4月22日には鹿児島地裁が川内原発1、2号機の差し止め請求を退ける判断を示している。

  両者の判断を分けたものは、原子力規制委員会が策定した原発再稼働のための新規制基準に対する評価だった。福井地裁の樋口英明裁判長は、新規制基準が合理性を欠くと判断したが、その大前提が、現時点ではまだ福島第一原発の事故原因が十分に究明されたとは言えないというものだった。

  福島の原発事故はもっぱら津波による全電源喪失によって引き起こされたものだったのか、それとも津波が到達する前の大地震の地震動によって、原発は既に制御不能な状態に陥っていたのか。その答えによって、現在の原発の新規制基準への評価は180度変わってくる。福井と鹿児島の相矛盾するかに見える司法判断の背後には、事故原因に対する認識のギャップがあった。

  それにしてもわれわれの多くは、福島第一原発の事故は津波によって全電源停止が起きたことが事故の原因だったと理解しているのではないか。だから、津波対策さえ万全にしておけば、再び原発事故が起きる可能性はそれほど心配しなくてもいいもののように思っていないだろうか。

  しかし、実は事故の原因が本当に津波だけだったのか、それとも地震によって既に原発は危機的な状況に陥っていて、そこにとどめを刺すように津波が襲ってきたのかは、未だにはっきりとはわかっていない。

  それをしつこく追求しているのが、今回のゲストで、かつて国会事故調の委員として事故原因の究明に関わった科学ジャーナリストの田中三彦氏だ。元々技術者として福島第一原発4号機の圧力容器の設計に携わった田中氏は現在、新潟県の原子力発電所の安全管理に関する技術委員会の委員として、引き続き福島原発事故の原因究明に取り組んでいる。

  その田中氏が新潟県の技術委員会の委員らとともに今年2月21日、東京電力から許可を得て、福島第一原発の一号機の原子炉建屋の中を視察し、その模様を映像で撮影することに成功した。

  今週のマル激ではその映像を見ながら、福島第一原発の一号機に何が起きていたと思われるかを田中氏に聞いた。

  田中氏は1号機建屋の4階部分がどのような状態にあるかをとりわけ気にしていた。これまで一号機については、原子炉上部から漏れ出した水素が建屋5階で爆発し、建屋上部を吹き飛ばしたために、大量の放射能が外部に漏れ出したと説明されていた。

  そしてその大前提は、津波が押し寄せる前の段階で、地震動よって5階以外で配管の破断などが発生し、そこから水素が漏れ出したというようなことはないということだった。

  しかし、今回、田中氏らが1号機建屋の4階に入ったところ、そこの破壊状況はすさまじいものがあった。また、4階部分の爆風が4階の天井の排気ダクトを押しつぶしていることも確認され、4階部分の破壊が5階の爆発による爆風が4階にまで及んだ結果と考えることには無理があることがわかった。

  また、4階に設置されていた復水器のタンクや周辺の配管にも、無数の水蒸気が付着し滴り落ちた後があった。これは4階部分がサウナのような状態にあったことを示していた。4階部分の温度がそこまで上昇していたとすれば、4階部分で配管の破断があった可能性が非常に高いと田中氏は指摘する。

4階部分でも爆発があったとすれば、それは地震によって原子炉と外部のタービン建屋などを結ぶ配管が破断し、4階部分にも水素や水蒸気が漏れ出していた結果と考えられる。つまり、福島第一原発事故はもっぱら津波が引き起こしたものとは言えず、まず地震動によって原子炉と外部を結ぶ配管に重大な破断や損傷が発生し、水素漏れなどが起きていた可能性が否定できないことになる。

  田中氏は新潟県の技術委員会として東電に対し、今回の視察から生じた疑問点を質問し、その回答を待っているところだという。しかし、それにしてもこれは、事故原因に対する根本的な疑問であり、同時にそれは、原発の安全対策を考える上でも、これまでの前提を抜本的に改める必要が出てくる可能性がある重大な問題と考えるべきだろう。

  大量の放射能が外部に漏れ出す直接の原因となった水素爆発についてでさえ、水素が漏れ出した経路から、爆発に至るメカニズムまで、その原因は未だに解明されていないと田中氏は言う。

  ことほどさように原発事故については、事故から4年がたった今も、原因究明すら十分とは言えない状態にある。よくよく聞けば、原子力規制委員会の田中俊一委員長も、「事故の原因は大体大きなところはわかっている。基本的には津波が一番大きな直接的な原因で、地震による一部損壊の可能性を全く否定する訳ではないが。事故の本当の原因を究明するといってもそう簡単にできることではない」などと、意味不明なことを言っている。

原因がわかっていないのであれば、なぜ地震の影響は小さかったなどと言えるのだろうか。そして、それを前提に拙速に新規制基準を定め、「世界でもっとも厳しい基準」などと胸を張って言えるのだろうか。


  日本政府は2011年6月に、IAEA(国際原子力k機関)に対して、福島原発事故の原因は津波によるものであり、「原子炉施設の安全上重要な設備や機器については地震による大きな損壊は確認されていない」との報告をあげている。原発事故から3ヶ月しか経っていない段階でのことだ。まだ何もわかっていない段階でこのような報告を出したことは、何とか原発政策を継続したい政府にとって、事故原因に地震が含まれてしまうことがどうしても不都合だと考えていたとしか思えないのではないか。

  津波は防潮堤を高くしたり、バックアップの電源を増やすことで対応が可能かもしれないが、もし地震が原子炉そのものや、原子炉につながる配管を破壊・破断してしまうとすれば、こればかりはどうにも対応できない。

  福島第一原発一号機の4階建屋の映像から見えてくる、原発の事故の地震の影響について、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が田中氏に聞いた。


マル激トーク・オン・ディマンド 第733回

ゲスト:田中三彦氏(元国会事故調委員・科学ジャーナリスト)
1943年栃木県生まれ。68年東京工業大学工学部卒業。同年バブコック日立入社。77年退社、同年より科学ジャーナリスト。2011年東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)委員。13年4月より新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会委員。著書に『原発はなぜ危険か・元設計技師の証言』、共著・訳書に『複雑系の選択』、『デカルトの誤り・情動、理性、人間の脳』など。


http://www.videonews.com/marugeki-talk/733/より転載



以前から指摘されていたことだけど、現場を検証しての見方だけに頷かせるモノがある。
津波対策さえ万全なら心配ないなどいう虚構を許さない世論づくりに多いに役立つ情報だと思う。
浜岡原発には高さ22メートルの防潮堤を現代版万里の長城よろしく建設中だが、そんなものが出来たからと言って再稼働なんてとんでもないよという話になる。

昨夜、三島の「市民のひろば」で映画「日本と原発」の河合弘之監督兼弁護士を招いて語り合いが開催されたので参加した。
全体で50人ほどの参加者が河合さんの話に熱心に聞き入った。

彼は最初に矢部宏治著『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか』の間違いを指摘した。この本は反原発運動を進める人たちにも多く読まれている本だそうだが(僕は残念ながら読んでいない)その否定的影響を無視できないからだという。

この本で書かれている日米原子力協定によって日本は原発を自分の意思だけでやめることは出来なくなっており、日本が脱原発を実現出来ないのは、日米原子力協定という「憲法の上位法」が壁になっているからだという主張は日米原子力協定の理解の間違いがあり、まったくそんなことはないと断言した。
この問題について河合さんは「世界」5月号に「法廷で再稼働を食い止める-日米原子力協定は脱原発の壁か」を書いているので、関心のある方は「世界」をお読み下さい。

その後、話は高浜原発や川内原発の再稼働を巡る裁判の話になり、裏話を含めて含蓄に富んだ話が聞けた。

毎年2000億円からの金が原子力ムラから日本のあらゆる分野にバラ撒かれており、その金なしではやっていけない人間や組織がたくさんあること、さらに「資源小国の日本では永久自己完結型のエネルギーが必要だ」という破綻した「大義名分」がまだ通用している部分がある、この両輪が脱原発を妨げている大きな要因だと述べた。

「日本の原発なんて地雷原でダンスを踊っているようなもの」「原発を動かすのはロシアンルーレットに国の命運をかけるに等しい」「原発は後世に残す悪夢」などの言葉がポンポン飛び出して飽きなかった。

「浜岡で事故が起これば、ここらも人が住めなくなりますよ。日本の大動脈は寸断され、首都圏にも人が住めなくなるかも知れない。そんなものを動かそうなんてまったくの間違いだ」という河合さんの指摘は、僕たちが以前から訴えてきたことでもあり、もっともっと多くの人に知らせなければならない。

関西電力にとって高浜再稼働は至上命題だっただけに、福井地裁の仮処分決定は彼らにとって極めて強烈な衝撃だったという。
その衝撃をさらに拡げるために、脱原発の世論を多いに拡散していくことが重要だと痛感した話だった。

話は変わるが統一地方選挙後半戦、函南町議選挙の結果が出た。
16人の当選者の内訳は共産2、公明1、民主1、無所属12となり、無所属議員のうち8人は自民会派所属議員だと思われる。自民党と名乗れば良いのにね。


「原発なくそうミツバチの会」の原発問題アンケートで浜岡原発
の再稼働に反対と意思表示した候補者7人は新人含めて全員が当選した。

注目したいのは今までダントツトップだった公明党候補の得票数を共産党2人の得票が上回ったことだ。共産党は前回得票を1.4倍化し、公・共の得票数が今回逆転した。

日本共産党の候補者は、「戦争できる国づくりを許さない」「浜岡原発再稼働絶対反対」と主張していたし、東駿河湾環状道路の開通に関わっての総事業費27億5千万円の「かんなみ道の駅」事業についても批判的論陣を張っていたが、そうした政策的訴えが少しは住民の間に浸透したのかもしれない。