47人が死亡し戦後最悪の火山災害となった長野、岐阜県境にある御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)の噴火で、長野県災害対策本部は3日、47人以外になお16人の安否不明者がいると発表した。16人からさらに増える可能性もあるという。また、山頂付近の雨のため、2次災害の恐れがあるとして、同日午前4時55分、この日の捜索中止を決めた。
◇さらに増える可能性
県の青柳郁生・危機管理部長と大林英夫・県警警備部長が同日午前10時半から記者会見。大林部長は安否不明の根拠を(1)県警の専用フリーダイヤルへの届け出(2)登山届(3)登山口の駐車場の駐車車両(4)パーティーの同伴者への聞き取り--などから判断したと強調。さらに増える可能性について県は「そういう方はいる」と認めた。青柳部長は「16人がゼロになることを目指し(期限を設けずに)捜索を続ける」とした。
当初検討していた不明者の氏名や住所などのリストは家族の意向などにより公表しない。「外に情報を求める必要はないと判断した」としており、年代、性別も「言えない」としている。
一方、木曽広域消防本部は3日の取材に、把握している人数は35人と答えた。
この日は、犠牲者が多く見つかった山頂付近の四つのエリアを重点的に捜索する予定だった。降雨後の捜索再開は▽雨がやんだ後、斜面が安定する3時間が経過▽捜索隊の移動に最大7時間かかるとし、予報で7時間以上は降雨がなく、日没までに帰還できる--ことなどを確認後、判断するとしている。今後は「これまでは目視だったが、捜索の範囲を登山道から外れた場所まで広げるとともに金属探知機で火山灰や土の中を捜す」とした。
気象庁の予報では、御嶽山周辺は3日夜まで雨で、4日午前6時までの24時間に予想される雨量は多いところで30ミリ。その後いったん回復するものの、大型で非常に強い台風18号が3日正午現在、日本の南海上を時速20キロで北西に進んでいる。今後、御嶽山周辺を通過する可能性もあるとして、気象庁は強い雨と風への警戒を呼びかけている。山頂付近では2日も雨が降り、大量の雨が降れば、積もった火山灰が土砂と共に斜面を流れ落ちる土石流が起きる恐れがある。