掲載拒否に委員から批判が相次いだ「さいたま市公民館運営審議会」の会合=29日、さいたま市大宮区で(岡本太撮影) |
「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ市民の俳句を、さいたま市大宮区の三橋(みはし)公民館が月報への掲載を拒否した問題で、稲葉康久・市教育長は二十九日の定例会見で、「世論を二分しているものは月報にそぐわない。今後も掲載しない」と述べた。
市教育委員会は、今後の月報で俳句を掲載するかどうかを再検討していたが、掲載されないことがほぼ確実になった。
市教委は今回の問題を受け、各公民館での市民の文芸作品などの掲載について、独自の基準づくりも進めている。稲葉教育長は「集団的自衛権の問題が背景にあり、掲載すべきではなかった。今後もこの立場をご理解いただく」と話し、「世論を二分するような」テーマの作品は載せない基準にする考えを示した。
掲載拒否は、六月下旬に公民館が作者の女性らに連絡して判明。市教委は今月八日にいったん「今後も掲載しない」としたが、市民らから「表現の自由が萎縮する」などの批判が出て、十五日、一転して再検討の方針を明らかにした。
清水勇人(はやと)市長も十七日の会見で「世論が大きく分かれる問題で一方の意見を載せると、市の意見だと誤解を招く。(掲載拒否は)おおむね適正だ」と述べた。
◆「多様な学び 行政介入すべきでない」
公民館審議会
今回の掲載拒否問題への批判は、日に日に高まっている。市教委や市に掲載を求めている団体職員武内暁(さとる)さん(66)=さいたま市中央区=は「世論を二分するものを、なぜ載せてはいけないのか。公民館の主役は住民。基準で縛ろうという発想がおかしい」と憤る。
二十九日に開かれた「さいたま市公民館運営審議会」でも、有識者や住民代表の委員から、公民館や市教委の対応に厳しい意見が相次いだ。
審議会は大学教授、NPO法人や住民の代表ら十三人が、公民館の運営のあり方を話し合う。この日の会合では掲載拒否問題を約一時間にわたり議論。委員長を務める安藤聡彦(としひこ)・埼玉大教授(社会教育学)は「公民館運営の根本に関わる問題だ」と指摘した。
大高研道(おおたかけんどう)・聖学院大教授(同)は「『梅雨空-』の句を問題にすれば、(公民館の月報などに載せる)すべての作品を、政治的かどうか判断しなければならなくなる。公民館は多様な学びの場を保障するのが役割で、行政が介入するべきではない」と批判した。
稲葉教育長の定例会見は審議会の会合後にあった。教育長の発言を聞いたある委員は「審議会の議論とはまったく逆の方向だ。何が世論を二分しているかなど判断できるはずがないし、するべきではない」と反発した。 (岡本太)
「東京新聞」より転載
日本国憲法にはこう書いてある。
さいたま市の稲葉という教育長は日本国憲法なんか読んだことがないんだろう。
憲法の規範より自分たちの判断が優先されるという傲慢さは安倍晋三と共通する。
戦争への道とは、自由な言論の抑圧から始まる。
教育委員会が勝手に政治的と判断したら、全て拒否することが出来るなどと言う権限を市民は教育委員会の小役人たちに与えてなんかいない。憲法はそうした行為を禁じているのだ。
こうした一見小さな出来事も蟻の一穴で放っておくと、いつの間にやら自由な発言が出来なくなっていたという時代を招きかねない。
「梅雨空に『9条守れ』の女性デモ、拒否して恥じないさいたま市」 だね。