残業代ゼロで安倍首相 「対象限定」はごまかし | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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安倍首相は、労働時間規制をなくす「残業代ゼロ」制度導入を決めた28日の産業競争力会議で、「成果で評価される自由な働き方にふさわしい新たな選択肢を示す必要がある」とのべ、推進姿勢を示しました。


 労働時間規制は、労働者の生活と健康を守るためにつくられた最低基準です。これがなくなれば、「自由な働き方」どころか、成果をあげるために際限なく働かされることになるのは明瞭です。



 導入の要件について首相は、(1)職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人に絞り込む(2)賃金が減ることのないよう適正な処遇を確保する(3)働きすぎ防止のため、法令順守の取り組みを強化し、希望しない人には適用しない―と表明しました。



 しかし対象者は「中核・専門的人材」「幹部候補」「世界レベルの高度専門職」などと極めてあいまいで、なし崩し的に広がる危険があります。仮に対象者を絞り込んだとしても、全労働者に適用される最低限の労働基準を外していい理由にはなりません。



 今でも不払い残業代は104億円(1277社)。これも氷山の一角です。賃金が減らないようにするといっても、時間規制がなくなって際限なく働かされれば、適正どころか不払いの賃金が際限なく広がるだけです。



 法令順守といっても時間規制がなくなれば労働時間の管理もなくなり、取り締まることなど不可能です。使用者から制度適用を求められれば断ることなどできないことは明らかであり、希望すれば適用しないというのもごまかしです。



 首相は「対象者は限定的」といいますが、労働者派遣法は施行された1986年に13業種でしたが99年に原則自由化、今度は全面解禁しようとしています。“小さく生んで大きく育てる”―危険な本音は隠せません。

 (深山直人)



「しんぶん赤旗」より転載


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残業代ゼロ案修正
秘書も運転手も「名ばかり管理職」へ


安倍政権は、力ずくでも残業代ゼロ法案を通したいらしい。産業競争力会議の長谷川閑史議員(経済同友会代表幹事)は、対象を当初案の一般社員から“幹部候補”に狭めた修正案を出す。額面通りに解釈すれば、ヒラ社員は残業代ゼロ法案の対象から除外されそうだが、そんな単純な話ではない。



「修正案の『中核・専門的な職種の幹部候補』は、事業計画策定の現場責任者、いろいろな分野のコンサルタントなどを指すように報道されていますが、対象が曖昧で、解釈次第で、かなり職種は広がります。しかも、当初案にあった『1000万円以上』という年収制限が消えている。“幹部候補”という目くらましで、広く網をかけようとする魂胆がミエミエです」(人材コンサルタント・菅野宏三氏)


■「幹部候補に限定」は目くらまし

 管理職の残業代をゼロとする法的根拠は、労働基準法第41条「労働時間・休憩・休日規定の適用除外」。その第2号に「監督もしくは管理の地位にある者または機密の事務を取り扱う者」とある。課長に昇進すると、課長手当と引き換えに残業代がゼロになるのは、このためだ。


「社会問題になっている“名ばかり管理職”は、企業がこの規定を悪用して、適用を拡大したものです。たとえば、社長に寄り添う社長秘書や幹部専用車の運転手などは、第2号の“機密の事務を取り扱う者”とされ、アパレルや飲食店などではバイト上がりの限定正社員店長が“監督者”とみなされる。いずれも残業代をカットされてしまうのです。


こうした“名ばかり管理職”の人たちが訴えて、勝訴するケースが出てきました。それで、焦った企業側は、合法的に“名ばかり管理職”の残業代をカットする仕組みをつくろうとしているのです」(菅野宏三氏)


  08年のマクドナルド残業代未払い裁判で、東京地裁は「店長は管理職とはいえない」と認め、未払い残業代1350万円のうち755万円の支払いを命じた。


  産業競争力会議には、住友商事や武田薬品など財界の名門トップがズラリ。こうした企業トップとしては、“名ばかり管理職”に有利な裁判の流れを断ち切りたいのだろう。明治学院大・笹島芳雄名誉教授の試算によると、失われるサラリーマンの残業代は、年収の13%に上るという。


 やっぱり、こんな悪法、認めたらダメだ。
 



「日刊ゲンダイ」より転載


経団連の強欲ジイサンたちの中では、「春闘では政府の要請を聞いて賃上げをしてやったのだから、今度は貸しを返してもらう番だ」と残業代ゼロ実現に向け露骨に安倍内閣に圧力をかけるやからもいるらしい。
しかし、高々数百円から数千円程度の賃上げで、年収の13%分の賃下げになるという残業代ゼロを認めたら、強欲ジイサンたちの笑いが止まらないだろう。
こんな労働者を馬鹿にした話には、国民全体で反対しなきゃ駄目だ。