不当な農業改革 農協解体を総力で阻止 | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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政府の規制改革会議が農業改革提言を公表し、農業委員会、農協、農業生産法人の見直しを掲げた。


農業への全面的な企業参入に道を開き、JAグループを事実上解体に追い込む極めて不当な内容だ。とりわけ民間の協同組織であるJAに対する改革案は、無知と無理解に基づき到底容認できない。JAグループは今まさに主体的に自己改革に取り組んでいる。与党の議論も見据えながら、総力を挙げJAつぶしに抗していこう。


 これは、明らかに規制改革に名を借りたJA解体論であり、民間の独立組織への政治的介入である。そして、全ての協同組合セクターへの攻撃でもある。こうした提言を、政府が6月にまとめる成長戦略の改訂版に反映させることは断じて許されない。


  農協改革提言は、中央会制度の廃止、JA全農の株式会社化、単協信用事業の農林中金・信連への移管、准組合員の事業利用制限、理事会役員構成の見直しなどを盛り込んでいる。


  これをまとめた同会議農業ワーキンググループは、協同組合組織の歴史的成り立ちや基本的意義が理解できているのか。


いうまでもなくJAや連合会の目的は、経済的に弱い立場にある個々の農家が「協同組合」に結集することで、農家組合員の所得向上と国民への食料の安定供給を図ることである。その主役は組合員であり、JAは組合員の負託を受けて最大奉仕するための自主・自立の組織だ。株主の意向に左右される株式会社とは異なる。だから農協法によって利用者本位の事業運営を法的に措置しているのだ。


  全農や経済連が株式会社になったら、農家の所得向上のための共同経済行為はできなくなり、農機や肥料の価格交渉力は弱まるだろう。販売面で大手量販店などの買いたたきに対抗できるのも協同の結集力があるからだ。また、県域を越えた需給調整機能が、営利主義の株式会社にできるだろうか。


  中央会廃止論も、中央会指導が単協の独自性をそいでいるかのような誤った認識に基づいている。中央会は協同組織の指導機関として法的に位置付けられている。JAグループは、現場の実践を最大限尊重し、優良事例は横展開し相互に高め合う柔軟な組織構造を持っている。


萬歳章JA全中会長が8日の記者会見で「中央会の本来的な役割はJA・連合会の総合力発揮の推進力になること」と述べたように、上意下達のような指揮系統にはなっていない。単協の信用・共済事業切り離しも、世界の協同組合のモデルとなっている日本の総合事業の優位性を無視した暴論である。


  与党には現実に即した建設的な改革論議を期待したい。JAグループは今、農業者の所得増大に向けた革新プランに取り組んでいる。不当な介入をはね返すには、正しい情報発信と自己改革が不可欠だ。組織一丸となって攻撃に立ち向かおう。 




「日本農業新聞」論説より転載


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農協改革提言 「主役」不在の論議では(5月21日)

 主役である農家の姿が見えない「上からの改革」が農業の再生につながるとは思えない。


 政府の規制改革会議は、農業改革についての提言をまとめた。


 全国農業協同組合中央会(JA全中)を頂点とする中央会制度の廃止や、農業生産法人に対する企業の出資緩和が柱だ。安倍晋三首相も検討を指示した。


 農業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、農協が変革を迫られているのは明らかだ。提言が指摘する通り、各農協には地域に合った創意工夫が求められよう。


 しかし、その内容は組織見直しに終始し、本来の目的である強い農業の実現にどう結びつけていくかの視点が見えない。


 政府は6月にまとめる成長戦略の農業強化策で、農業振興への具体的な道筋を示す必要がある。


 今回の提言は、農業を医療・福祉と並ぶ「岩盤規制」の対象とみなし、徹底緩和を目指す安倍政権の意向が色濃く反映された。


 JA全中と、その傘下にあるJA北海道中央会を含むJA中央会の廃止は、その象徴と言える。


 JA全中は、環太平洋連携協定(TPP)参加に強硬に反対している。政府の推進する政策に異を唱える組織を「抵抗勢力」に見立て、骨抜きにするのが狙いなら、不当と言わざるを得ない。


 民間の自主的な協同組合である農協に、政府が一方的に組織解体を促すことも大いに疑問だ。


 提言は効率性や企業論理を重視し、企業の農業参入や農協同士の競争にも力点を置いている。


 確かに、農協を通して肥料や機具を購入すれば割高になるとの批判は根強い。農家の負担軽減のためには、改善は急務だ。


 一方で行き過ぎた利益追求の弊害を見過ごすわけにはいかない。農協がそろって利益の出る作物に集中すれば、生産が偏り安定供給に支障を来しかねないからだ。


 基盤の弱い農協が切り捨てられると、金融事業などを通じて地域住民の生活を支えてきた過疎地帯の農協の役割が損なわれることもありえよう。


 提言は農地売買の許可権限を持つ農業委員会制度も見直し、企業の参入加速を狙うが、利益が出ず撤退する企業が続出すれば、耕作放棄地が増える懸念も拭えない。


 農協を含む農業改革は、農家の意向が何より重要だ。大規模経営に取り組む道内農家の考えにも十分耳を傾けるべきだ。政府は農家の現実に向き合い、政策に反映させなければならない。


「北海道新聞」社説より転載


規制緩和なんていうと、なんだか国民の利益になるが如き幻想が振りまかれるが、高速バス事故の例を出すまでもなく、ひと事で言えば利益優先の仕組みをどう作るか、大企業が儲けるためにはどうするのかという視点からのものばかりで、ろくな結果を生んでこなかった。

農業への株式会社の参入などを認めれば、小規模でも頑張っている農家などは駆逐され、農業の集約化が一層進み、山里の荒廃は一層進むだろう。
株式会社が手のかかる棚田での稲作りなどやるわけがない。
それはまた日本の水の問題に直結する問題でもある。
都会の人間にとっても決して人ごとではない問題だ。