一月二十五日の就任会見で従軍慰安婦について「どこの国にもあった」などと発言したNHKの籾井勝人(もみいかつと)会長が、今月十二日の経営委員会で「記者会見のテキストを全部見てほしい。私は大変な失言をしたのでしょうか」と持論を述べていたことが二十二日、NHK関係者への取材で分かった。
籾井会長は就任会見直後に会見での発言を「個人的意見だった。視聴者、各方面にご迷惑を掛けた」として撤回したが、経営委では自身の発言を肯定していたと受け取られかねず、国会や視聴者から批判が強まるのは必至だ。
関係者によると、十二日の会合では委員の一人が失言に対する対応策を籾井会長にただした。会長は謝罪する一方で「発言の真意とはほど遠い報道がなされた」として会見録を通読するよう求め、「それでも私は大変な失言をしたのでしょうか」と述べた。
籾井会長は二十日の衆院予算委員会で経営委員会での発言について問われ「一部だけ申し上げると不正確になる恐れがあるので差し控えたい」と答えていた。十二日の会合の議事録は二十八日に公表される見通し。
籾井会長の就任会見後、NHKには一万件超の批判的な意見が視聴者から寄せられた。
経営委での籾井会長の発言について、ある経営委員は取材に対し「反省したと言っているが、全然反省していない」と指摘。別の委員も「就任会見での発言を悪かったとは思っていないのでは」と話した。
◆反省感じられない
<田島泰彦上智大教授(メディア法)の話> 籾井NHK会長は、就任会見での発言に問題はなかったと考えていることがうかがわれ、反省の態度が感じられない。説明責任を果たし、先頭に立ってNHKの信頼回復に取り組もうという当事者意識も希薄だ。公共放送のトップとしての資質に欠けると言わざるを得ない。一方で、経営委員会は、その場で厳しく追及すべきだった。就任会見での発言をめぐって会長の罷免を議論せず、注意にとどめた判断の是非も問われるだろう。
「東京新聞」より転載
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「日本ジャーナリスト会議」今週の風考計より転載
この国のトチ狂い具合は国際基準から見ると異常の範疇に入っているが、日本国民がそのことをきちんと認識できていないことが一番の問題かも知れない。
そのうち「困ったもんだね日本人」なんて世界中から言われかねない。
普通の国づくりを大きな共同で作り上げないと取り返しのつかないことになる。