大飯再稼働、迫られる難しい判断 町長と議会、民意どうくみ取る | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に関するおおい町の住民説明会が26日終わり、時岡忍町長と町会それぞれの是非判断が焦点となってきた。両者とも説明会での町民の反応を判断の参考にするとしていたが、限られた時間の中で意見を述べたのは参加者546人のうち8人のみ。安全性に対する不安、疑問は根強く、町民の理解がどこまで進んだかは不明だ。運転停止による地元経済の疲弊を訴える意見もあり、複雑に交錯する町民の意思をどうくみ取るのか、町長、町会は難しい判断を迫られる。(青木伸方)

 
 説明会で経済産業省の柳沢光美副大臣は、スクリーンも使って2基の安全性と原発の必要性を説明した。ただ、質疑では「予想を上回る地震が起きたらどうなるのか」などと安全面への不安を訴える住民が多かった。会場では、再稼働への容認論、慎重意見が述べられると、それぞれ拍手も起きたが、多くの参加者はじっくりと政府の説明を聞く姿勢だった。


 終了後、柳沢副大臣は「理解いただくのはまだ(時間が)掛かると率直に思った」と述べる一方、「それほど強い反発ではなく、ある程度理解は進んだ」との認識を示した。時岡町長も「副大臣が説明し、町民も十分発言してもらい、目的は達成できた」と感想を述べた。


 ただ、大島地区の無職男性(65)は、質問しようと手を挙げたが、予定時間を過ぎて質疑は打ち切られ、発言できなかったと憤慨。「エネルギー政策の方針が決まらないのに再稼働を要請する説明会を開いても意味はない」と吐露する。


 町の人口は約8800人。説明会の参加者は1割にも満たないが、時岡町長は「民意集約は十分できる」との認識だ。再度の説明会やアンケート調査などはあらためて否定した。


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 「町は安全に対する不安、経済や生活の実害という二重苦の状況」。柳沢副大臣と町会の意見交換で、町議の一人は端的に町の窮状を訴えた。


 町の主要産業は原発との関連が深い。運転停止の長期化で定期検査や補修の仕事は減り、作業員が宿泊する民宿や仕出し弁当を扱う飲食業のダメージも大きい。早期の再稼働を求める町民は少なくない。町会には「早期の再稼働が一番の経済対策」との声もある。


 安全性か、地元経済かで町民の胸中は複雑だ。しかし、説明会で大島地区の男性は「経済面と安全面は切り離して考えるべきだ」と述べ、てんびんにかける問題ではないとも指摘した。


 ある町議は「安全確保と経済を二律背反の問題にしてはいけない」と強調。安全性はもちろん、原発を長年よりどころとしてきた地域経済も重要で、総合的に見極めて再稼働の是非判断をする考えだという。


 町会は19、20日に各地区で開いた議会報告会でも多くの意見を聞いた。町会の意思をどうまとめるか、27日も非公式に協議したが、慎重な意見が相次ぎ、結論は出なかったという。


 時岡町長も同日、記者団に「議会の集約を一番重く受け止める」としつつ「各種団体の人の話なども聞いて判断したい」と話した。


 
  「福井新聞」より転載