夏の名残惜しさに私達は川沿いで線香花火を始めた。
マフォのうなじに蚊が止まって血を吸い始めた。
私はマフォに尋ねた。
「蚊がとまっているから叩くがいいか?」
マフォは言った。
「万民を潤せ。」
翌日も蚊は同じところにとまっていた。
私はマフォに尋ねた。
「今日も同じところに蚊がとまっている。叩くがいいか?」
マフォは言った。
「3年待て。」
3年が経った。
大きく膨らんだ蚊のお腹に穴を開けると極上のワインが出てきた。
マフォは言った。
「万民を潤せ。」
噂はたちまちに広がりマフォのうなじには行列が絶えることはなかった。