家族とは、何か。
 
原家族。
現家族。
 
前者は大人になるまで一緒に暮らした家族のこと。
後者は今現在の家族のこと。
 
夫にとっても、私にとっても、
家族とは、ほぼほぼ、現家族を差します。
 
夫は単身赴任をしたことがあります。
8ヶ月ほどの海外出張と、
私が今のこの土地に来る前の2年間。
私はその頃、結構な役職についていて、夫の転勤に合わせて、すぐに退職は出来ませんでした。
あと、子どもにとってもキリのいいところで転校させてやりたかった。
私は2年かけて、退職の準備を整え、夫の後を追って、今のこの土地に来ました。
 
その間の2年間、夫は実家で義父母と暮らしました。
義父母がすごく望んだこともおおきかったと思います。
私と子どもが合流するまで、義父母と実家で暮らしました。
 
でも、この2年は、家族全員にとって、かなりきつい時期となりました。
父親が大好きな二人の娘の寂しさ。
家事、育児を折半出来ていた夫の不在による私の負担。
そして、夫も私もお互いがいない寂しさ。
 
電車や飛行機を乗り継ぎ、片道10時間かかりながらも、夫は月に一回かかさず帰ってきていました。
二泊ほどして、また娘たちの号泣のなか、戻っていく。
3日に一回は、家族でLINEカメラ電話をし、
その後子どもたちが眠ったあと、また夫婦でLINEカメラ電話をする。
 
そんな日々でした。
正直、私は日々の生活がいっぱいいっぱいで、
3日に一回の2時間ほどになる夫との深夜の電話は負担でした。
それでも続けた理由は、夫が、どんどん不安定になっていったからです。
娘たちのことで楽しい話をすると、
「いいなぁ、楽しいことばかりで。」
娘たちの困ったことを話すると
「いいなぁ、そんな心配が出きることがうらやましい」
あまり話さないようにすると
「俺だけ知らないことあるんだろうな」
 
あとは、夫が帰省したときには、出きる限り仕事を休んでほしいと希望されていました。
出きる限りそばにいてほしいと。
 
正直、かなりメンドウクサイオットになっていました。
本気で心療内科を勧めようかと思ったことも数知れず。
 
そして、どんどん、義父母への愚痴も増えていきました。
義父母にとっては、数十年ぶりに一緒に暮らせることの喜び。
あれこれ干渉できていた高校生の息子のままなのでしょう。
夫は優しい人なので、反論もしなかった分、ストレスをためていました。
生活習慣が違うことがこんなにもすとれすだなんて、とよく愚痴をこぼしていました。
 
私はといえば、
仕事の引き継ぎ、
ワンオペの育児と家事、
離れて暮らす夫の精神的フォロー、
今までで一番忙しかったあの頃の自分を誉めてやりたいと思います。
 
 
そして、
義妹の夫は、現在単身赴任中です。
単身赴任をし始めたのは、2年ほど前です。
そのときに、義父母や妹夫婦と話していたときのこと。
 
「家族と離れるのは寂しいね。◯◯(夫)も、単身赴任の時はものすごい寂しがってたよね。」
「ああ、あれは本当に寂しいよ。2年で終わったけど、あれ以上は耐えられなかったと思う。」
 
すると、義母が
「◯◯(夫)は、私たちと一緒だったから、そんなに寂しくなかったと思うけど、◻️◻️(義妹の夫)は一人暮らしだから、寂しいわよね。」
 
目の前の夫は、苦笑いをし、小さく頭を降っていましたが、
隣の隣に座っていた義母には、夫のそんな姿が見えなかったようです。
 
夫にとっての家族は現家族である私と子ども。
原家族である義父母ではない。
でも、義父母にとっての、現家族にはちゃんと夫が含まれている。
 
これは、義両親の感覚を掴む良い土台になりました。
 
いつか、娘に新しい家族が出来たとき、
大人になったとき、
私は、娘を自分の現家族から外す意識を持たなくてはいけないのだと思っています。
私たちにとって、娘は永遠に現家族でも、
娘に、現家族が出来たときに、
もしくは独り立ちしたときに、
私たちは、原家族となるのです。
距離感が必要なのです。
 
それにしても、こういう感覚を持ちながらも
敷地内別居をしている私たちへの節度ある義両親の態度は尊敬します。
かなり努力してくれているのだろうと思います。