メダカ事情
町なかを歩いていて、ふと北向きのお店のまえに、小さな可憐な花?が群がっている石臼があった。それは石臼の中の鉢に植えた水性植物のシラサギカヤツリグサというらしい。如何にも優雅で楚々とした美しさがあるが、これは花ではなく苞だと聞いた。
石臼は満水で、ほかに布袋草が水面を覆い、その隙間にメダカが見えたのである。
私の子供のころは、田んぼ近くの溝などでメダカを見ていたが、何時しか「道の駅」などで瓶に入れて売られているのを見たことがある。もちろん金魚と同様、古くから観賞用として飼われてはいるが、最近はあまり意識することも無かった。
戦後の日本では、無秩序な農薬の使用、生活排水や農地改良による小川の減少などと、生物の生存に影響する様々な環境変化で、メダカまでも絶滅危惧種Ⅱ類に指定されているという。
折角だから写真を撮らせて頂いた。臼の中で、誰が生徒か先生かも知れず、みんな元気に遊んでいた?それが川の流れにそってではなく、狭い臼の中での思い思いの方向である。「めだかの学校」のフレーズを口ずさみながら数枚を撮影した。
聞き覚えの童謡「めだかの学校」の誕生を調べてみると、作詞・茶木滋、作曲・中田喜直で、昭和26年(1951)3月、NHK幼児の時間で発表されている。私が聞いたことがあるのは子どもたちの幼稚園のころであろうか。
今回、シャッターを切りながら、改めて泳ぎを追った感じでは、まさに歌詞に読まれた「つ―いつい」であって「すーいすい」ではなかった。たしかに動き始めが敏捷で、童謡作家たちの観察力に敬服である。
それにしても、私の記憶にあるメダカは淡い褐色か透明な感じで、あまり目立たないと思っていたが、ヒメダカはともかく、妙に青白く輝くようなメダカがいたのが不思議だった。これらはやはり観賞用に出回っているものであろうが、あのメタリックな輝きは、なんだかメダカアニメ世界のヒーローという気分ではないか。
思えば、石臼の中では田んぼの中のように水生昆虫(タガメやヤゴ)や鳥(サギやカワセミ)に襲われることもなくヒーローの必要もなさそうだが、店の方は「このメダカたち、自分たちが産んだ卵や生れたばかりの小さなメダカさえ食べちゃうんですよ、だから卵を見つけると、そっと隔離するようにしていますがね」と話されていた。適当に水の補給さえできていればこれほどの楽園もあるまい・・と思ったが。そういえば「目敏いカラスもいるし徘徊している猫もいるんじゃないですか?」と尋ねたが「今のところ、それはないようです」と、そこには特別な防御も無かった。余分な心配でした。
絶滅危惧種とはいわれても、石臼の中で育ったメダカは果たして自然界に順応することが出来るのだろうかと他愛なことまで思ってしまったが「これらのメダカは自然に放ってはいけないことになっています」とも教えられた。
写真は店頭で見かけた石臼の中のメダカ
