「潮流・下関2021」は写真企画
下関市立美術館は、下関出身または下関を活動拠点とした複数作家の歩みにスポットを当て、下関という場所が、作品や制作にどのような影響を与えたかを問いかけ、歴史ある街・下関から新たな芸術を発信し、文化の発展、美術の「潮流」を体感してほしいという「潮流・下関○○」という企画展を昨年から開催された。
昨年(2021)の第一回は、画家の石山義秀、日本画家・中原麻貴、彫刻家・伊東丈年各氏の見事な作品が出品されていた。
今年は、その第2弾「潮流・下関2021」として清水恒治・吉岡一生の二人に焦点を当て、グループSYS(清水恒治・吉岡一生・故新谷照人の三人で1962に結成した団体)の時代からの活動に「写真がとらえた人々、まち、歴史」を考察しようと、私たちの写真が展示されることになった。
私たちが、グループSYSとして写真活動していたころの作品は、郷遺跡関係が考古博物館、他の文化財展などのほとんどは下関市立図書館で保管されていた。
ところが、図書館の地下室は湿気が多く、気が付いたときには可成り廃棄せざるを得ない状態で、どうにか助かった作品群は、図書館新設移転のとき考古博物館に移されたが、保存環境は必ずしも良好ともいえず、展示には如何だろうか。
ほかに、二人の作品の幾らかは美術館に寄託していて、今回は、これらの市所蔵作品群で企画展開催を予定されていた。私たちとしては、非常に光栄で有り難いことだが、一つ寂しく思ったのは『秘められた国東』が無いことだった。
実は、国東関係の写真は、地元での大分展開催のとき別府大学の賀川教授と出会い「この作品群がお役に立つなら」と口約束で寄贈したことに問題があった。
今回の企画展が決まって、美術館から別府大に所蔵確認をされたそうだが、結局、別府大には無いことが分かり、今となっては何処に消えてしまったのかの確認も出来ず、美術館としても動きがないまま、その国東の作品をどうするかの相談もなく夏が過ぎた。
美術館の企画ではあっても、やはり『国東半島』の写真が無いのは寂しいと、清水氏とも相談して『秘められた国東』の趣旨を抜粋した「絢爛と無惨と」を少ない枚数だが新規制作し、また私としても『本をえらぶ日』の続編として『コロナ禍での選書会』も同時に、美術館に搬入して展示に加えて頂くことにした。
写真が誕生して約180余年。絵画と同じ2次元の世界で、ひと時その美意識、芸術性を云々された時代もあったが、写真はその記録的創造性も特性の一つで、必ずしも美の法則に追随しない風潮も可としている。
私の作品は、一見誰もが普通に撮っている「何でもない写真」で、特別に美しさを求めてもいない。それでも、70年間、写真を撮り続けた。その時その瞬間の思いが少しでも滲んでいるかもしれない。その思いを感じて頂けたらと思っている。
写真は下関市立美術館発行の「潮流・下関2021」展のリーフレットの両面
