アユ | Issay's Essay

アユ

656 落ちアユの塩焼き

 漢字では、鮎・香魚・年魚・銀口魚など、呼び方にもアイ・アア・シロイオ、幼魚を・アイナゴ・ハイカラ・氷魚など地方や成長段階などで呼び分けが様々。語源は川を下ることから「アユル」(落ちるの意)、神前に供える「アエ(饗)」に由来するなど。
 伝説に「神功皇后が三韓遠征のとき、九州松浦の里で勝てるなら魚が釣れると祈ったところ、アユが釣れた」とある。そこで漢字の由来に占ったからとか、縄張りを独占するなどとある。この記紀伝説は、京都祇園祭の占出山(鮎釣り山)のご神体・神功皇后が、釣り竿と鮎を持った姿で飾られている。
 成魚は一般に10~20センチ。北海道から中国など東アジヤ一帯に分布するが、石に着いた藻類を食すので大河より日本の河川に適応した魚といわれ、渓流に橙色の斑点をちらつかせて機敏に泳ぐ爽やかさを清流の美女と例えている。
 秋に孵化した仔魚は海まで下り、幼魚になって春になると川を遡って成魚まで成長し、川の下流部で産卵する回遊魚である。ただ琵琶湖などの湖だけで生殖を繰り返しているアユもいる。群馬、岐阜、奈良県は県魚に指定している。
 山口県の12河川には、漁業権が設定されウナギ・モクズガニ・アマゴなどが放流されるが、アユも4~5月にかけて約15トンが放流され、山口県は通常6月1日がアユの解禁日となり、シーズンには漁協組合員や遊漁、釣り客で賑わい、初夏の代表的な味覚となる。主な水系としては、錦川、佐波川、椹野川、阿武川などがあり、防府天満宮ではシーズン前に金鮎祭が行われ、錦川では鵜飼いが観光客を楽しませている。
 魚は、刺身が最良だがアユの場合は寄生虫などを考慮してあまり薦められない。もちろん清涼感のある活造りはアユの香気と独特の歯ごたえを楽しむこともできる。一般的には、若アユを青竹の串にさして塩をふりかけ焼いたものを蓼酢で食べるのが絶品で、天ぷらも珍重され蓼酢、蓼みそなどで食べる。塩焼きのアユは、後に残った骨を炙り熱燗を注いで骨酒を味わうのも良い。
 アユは、酢や塩につけて、酢飯と合わせた「鮎寿司」「鮎の姿寿司」、腸などを塩辛にした「うるか」も珍味だが山口県で話題になることはあまりない。
 清らかな環境で汚いものをため込まない、鮎のような人生を過ごしたい。
 写真は、落ちアユの塩焼き