拙作『Wake Up, Girls!』を始めた頃、僕が散々言い続けたことがある。
「アイドルとは『物語』である」
しかしそれは、始まりがあれば終わりがあるという意味も込めていて、アイドルはいつかは解散するんだ、解散すべきなんだ、という主張があった。
実際ユニット・Wake Up, Girls!は(多分偶然なのだろけど)「アイドルが一番輝く瞬間であり、終わる瞬間」とこれまた僕が主張する「結成6年後」で、最高の形で解散した。
しかし、最近はしぶとく(?)続けるアイドルも多い。
代替わりをしてでも続けるアイドルも多い。
モー娘。もそうだし、AKB辺りからそれに対してあまり好印象を持っていなかった。
ももクロ?何それまだいるの?と、忌避しているきらいはあった。
しかし、それを覆す、考え直すしかないユニットが現れた。
それが乃木坂46だ。
先述した通り、グループアイドルは「6年」を過ぎると、緩やかな下降線を描くしかない、というのが持論だ。
それは、実は現在でもほぼ間違っていないだろう。
ただ、物事には例外もあるものだ。
それに抗い、第二の頂点を築いた稀有な例が、乃木坂46なのだ。
どこかでも書いた通り、僕は結成14年で、初めて乃木坂を観に神宮球場まで赴いた。
そして先日のバースデーライブも、東京ドームで体験した。
それだけでなく、チケットが当たらなかった梅澤美波の卒業公演も、昨日配信で観た。
ここまで僕を入れ込ませるには、何か理由があるに違いない。
そう考え続けた時、僕はひとつの漫画を思い出した。
ちばあきお先生の『キャプテン』である。
『キャプテン』とは野球漫画で、凡百の野球部・墨谷二中に転校してきた谷口タカオが、弱小チームを強豪・青葉学院と互角に戦えるにまで育てあげた。しかし普通は、谷口が卒業したら、この物語は終わるしかない。主人公がいなくなるからだ。
しかしちば先生は、なんと次期キャプテン・丸井にバトンを渡し、連載を続ける。
漫画の連載中に主人公が代わるというのは、当時では画期的なことだったと思う(今でもそうだ)。
そこから丸井・イガラシ・近藤と、なんと4代にもわたって主人公を交代させ、いやもはや主人公と呼ぶのも不自然だろう、チームを代替わりさせてそこから新たな「物語」を紡ぎ出したのだ。
僕はこの「物語性」が、今の乃木坂に非常に良くマッチすると思う。
「キャプテン」の代が変わっても、「物語」を続けることはできるのだ。
僕は絶対的センター・齋藤飛鳥に何度か言及してきたし、彼女が卒業したら(というか1期生がいなくなったら)、乃木坂はまた他のグループ同様衰退するのだろう、と思っていた。
しかしバトンは渡された。3代目キャプテン・梅澤美波が、その強烈なキャプテンシーと愛情で、崩れ落ちそうになったチームを復活させたのだ。
前にも言ったが、1期生がいた時のような「超重量打線」ではなく、個々の魅力を最大限に引き出す「マシンガン打線」に変貌させたのだ。
僕が彼女を久保史緒里と共に「乃木坂中興の祖」と称するのは、何よりもう旬を過ぎて飽きかけていた僕を、それ以前以上に夢中にさせてくれたことだけでも証明できる。
実際乃木坂は、去年のレコード大賞でも(企画賞だが)受賞している。
そして1流のアイドルグループでも難しい、東京ドーム3daysを成功させた。
梅に対しては最大級の敬意と賛辞を贈りたい。
しかし、梅が超弩級の活躍を見せたが故に、今後の乃木坂の活動には正直不安を感じてしまう。
絶対的エースがいない、絶対的キャプテンがいない、そういう状況で乃木坂がどう持ちこたえるのか?あるいは「第三の頂点」が来るのか?
それに関しては、メンバーだけでなく運営の力量も量られるだろう。
乃木坂が『キャプテン』のように、また新しい「物語」を紡ぎ出せるのか?
ひとまずは見守ることにする。
