部屋に戻ると、キュヒョンはいなかったけど
キョヒョンの荷物がまとめられていた。


あいつ、ほんとにこの部屋を出ていくんだな。


『ソンミナヒョンに耐えられない』


キョヒョナがヒチョリヒョンに言った言葉…
なんだよ…俺が悪者みたいな言い方して…


『キュヒョンに耐えられない』


前、俺がよく言ってた言葉。
実際に自分が言われると結構つらい…
次の瞬間、自分の瞳から涙がポロっと
こぼれ落ちた。



あれ…?俺、何で泣いてるの…?



涙を止めたくても次から次へと流れてくる。

俺、どうしちゃったんだよ…?
この短期間にいろんな感情を受けすぎて
おかしくなってしまったのだろうか…?


その時、カチャッとドアの開く音がして
キュヒョンが部屋に入ってきた。
俺は、慌てて涙を拭う。
キュヒョンは相変わらず俺と話すことは
なく、黙々と荷物をまとめ始める。
そんなキュヒョンの姿を見て、怒りが
込み上げてくる。


「いきなり部屋を出て行くってどういう
ことだよ?」


少しの間沈黙が流れた後、キュヒョンが
口を開いた。


「俺はあんたのことが好き、あんたは
そうじゃない。ただ、それだけです。」


キョヒョンの投げやりな言い方にさらに
カチンとくる。


「『ソンミニヒョンに耐えられない』って、
何で俺のせいになってるんだよ?お前が勝手
に俺のことを好きになって失恋しただけだろ?」



「だって、そうじゃないですか…俺は、
ヒョンに欲情してるサイテーな人間なんで
すよ?今でも、こうしてヒョンの顔を見て、
声を聞いてるだけで触れたくて…抱き締めたく
て仕方がないんです。そんな気持ちを抱えた
まま、ヒョンと一緒の部屋に居続けるのは
無理です。」


そう言って、キュヒョンは黙々と再び
荷物をまとめ始めた。


「なんだよ…俺だって戸惑ってるだよ…大嫌い
だったはずなのに、いつの間にか勝手に人の
心にズカズカ入り込んで来て、キョヒョナに
触れられる度に体が熱くなって、心臓がうる
さくて…キョヒョナのことで頭がいっぱいになって…いつも一緒にいるリョウガにだってすごく嫉妬したのは事実だしそれに、スパショの恐怖から守ってあげたいって心からそう思ったし…」


いつの間にか、俺の瞳から再びこぼれ始める
涙。


「でも、自分の気持ちを認めるのが怖いん
だよ…男が好きだなんて認めたくはない…でも
またキュヒョナと一緒にワイン飲んだり、笑い合ったりしたいんだ…なんで、俺にだけ何も言わないで出て行くんだよ…?
勝手に出て行くなよ…散々俺の気持ちを掻き乱して、勝手なことをするお前なんて大嫌いなんだよ!!」


抑えられない涙が次から次へと溢れてくる。




キュヒョンの柔らかい手が、俺の頬を
流れる涙をそっと拭う。



「まったく、あんたって人はほんと呆れるくらいに意地っぱりですね。こんなに素直じゃなくてかわいい人、見たことないですよ。」


キュヒョンが俺の体をそっと引き寄せて
抱き締めた。


「お前がこの部屋を出ていくなら、いつも
みたいに『ヒョンが出ていって下さい』て
生意気な口叩けばいいだろ?
バカ…」



「ヒョンの気持ちが分かった今、追い出す
ヤツがどこにいるんですか?もう、ヒョンも
俺のことを好きってことでいいですよね?」


俺は、キュヒョンの胸の中でコクッと頷いた。


「ヒョンの泣き顔もかわいいですね。」


「俺は『かわいい』って言われるのが
嫌いなんだよ…俺をホモにした責任を
取れよな。」


キュヒョンはクスッと笑って俺の唇を指で
なぞる。


「責任ならいくらでも取りますよ。絶対にヒョンのことを離しません。それに、ヒョンはホモなんかじゃありません。俺のことを好き、ただそれだけです。」



そして、キュヒョンの顔がゆっくり
近づいてきて俺はそっと目を閉じた。



その時、部屋のドアをノックする音と同時に、


「おい、キュヒョナ~、結局俺達部屋を
交代するの……か…よ…?」


俺達が抱き合ってる部屋にヒチョリヒョン
がいきなり入ってきた。


「あっ……ごめん……いきなり入ってきて…
てかうそ…?……お前ら、ガチ……?」




ヒチョリヒョンはそう言い残してそそくさと
部屋を出て行った。


「…あっ…あぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!
ヒチョリヒョンに見られてしまったーーーー
ーぁ!!メンバーに噂が広まったらどうし
よーーーーー!!」


俺は思わず頭を抱えてうずくまって
しまった。


「いいじゃないですか?ヒョン達の公認の
仲になりたいです。」


「お前、何言ってるの!!??(泣)」



案の定、俺達の噂はあっという間に広まった。
それ以降、俺達の部屋には頑丈に鍵がかけら
れるようになった。











そして、いよいよSJ初のスパショが始まる。
最終リハーサルを入念に繰り返し、気合いが
入る俺達。

でも、1人、めんどくさいヤツがいる…



「シウォナヒョン、リハーサルなのにいちい
ちソンミニヒョンに触れないでください。」

キュヒョンは俺とシウォンの手を思いっきり
引き裂いて離す。


「出た!キュヒョナの嫉妬!」


それを見ていたメンバー達が影でコソコソ
笑う。


「おい!キュヒョナ!いちいち嫉妬して
リハーサル止めるなよな!パフォーマンスの
1つなのに何ムキになってるんだよ!?」


「だって…ヒョンに誰も触れてほしくありません。ヒョンの隣は俺のものです。
特に、シウォナヒョンはスキンシップが激しいから嫌です。」


「お前だってペン達から『ウォンキュ』とか
言われてるだろ~よ?」


「それって、もしかしてやきもちですか?」


キュヒョンがニヤニヤと俺の顔を除き込む。


「違うって!!///」


「違うんですか?残念だな。ヒョン、俺、
ヒョンの口からも『好き』って言葉を
聞きたいです。まだ、ちゃんと聞いたこと
ないから…そうすれば俺、安心できると思い
ます。」


「べ…別に言わなくても分かるだろ!?///」


「言ってくれないと分かりません。」


「嫌だ!!///」


「そうですか…じゃあ、いつか
気が向いたら聞かせてくださいね。」


キュヒョンがあまりにも残念そうな顔を
するから俺は思わず…


「…じゃあ、1回しか言わないからちゃんと
聞いとけよ…」


「え?」




「キュヒョナ、大好きだよ。俺の隣は
お前のものだ。」


そう言って、少し背伸びをしてキュヒョナ
の唇にそっとキスをした。
みるみるキュヒョンの顔が赤くなる。
正直、かわいいと思ってしまうバカな自分。


「……ヒョンからキスをしてくれるなんて
以外でした///俺達、キスをするのは3回目
ですね。」


「バ~カ!3回目じゃなくて4回目だよ!」


「あと1回いつでしたっけ?」


お前が寝ぼけて俺のファーストキスを奪った
時だよ!って言いたいけど、これは自分だけ
の永遠の秘密にしよう。


「さぁなっ!」


そう言って笑って、キュヒョンの胸に
飛び込んだ。




SUPRE JUNIORとしてデビューして

大嫌いなヤツと出会い

大嫌いなヤツとルームメイトになって

大嫌いなヤツと恋に落ちて…



もしかしたら、この愛は


   “奇跡”


なのかもしれない。



              ~END~

画像はお借りしました。



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2月から書き始めたキュミン小説、やっと
終わりましたw
最後までお読みくださった皆さん、本当に
ありがとうございました!えーん
このお話はこれで終わりではありませんw

来月のキュミンdayにこのお話しの続きを
 秘密の保管庫でアップしようと思います。
R-18の内容となりますので、ご理解のある
方のみお願いしますおねがい