どうしよう…

どうしようどうしよう!!!
キュヒョンにどんな顔をして会ったら
いいんだよ―――!!!(泣)

もう、ヒョクの部屋に逃げるわけにも
行かないし…

逃げ場がない…
そんなこと考えているうちにキュヒョンが
帰ってきてしまう!!
あいつ、俺の気持ちを聞かせろとか
言ってたよな…?
そもそも俺の気持ちって…?
しかも何でリョウクに対して嫉妬みたいな
ことを言ってしまったんだろ…
あ―――!!!
ほんとどうすればいいんだよ~!!


…あっ、そうだ!!もう寝てしまえ!!

俺は、布団に潜り混んで必死に目を瞑る。
でも、さっきのキュヒョンとのキスを
思い出すとなんか変に体が火照ったりで
全然眠れそうもない。
全身に電気が走るような感覚に陥って、
身動きできないほどの蕩けるようなキス…

キュヒョナのヤツ、マンネのくせに
一体どこであんなキスを覚えたんだよ?
俺は、キュヒョナとしか経験ないって
のに!!(泣)

あ~……もう、明日の朝目が覚めたら
今日、起きた出来事が何もかもが夢で
ありますように…


何もかも…夢で……



俺は、そんなくだらないことを考えながら、
いつの間にか意識を手放していた。










…ん……あれ…もう朝…?


窓から差し込む朝日で目が覚める。
その時、背中に妙な違和感を感じた。
後ろを振り返ってみるとそこには
俺にぴったりと添い寝しているキュヒョン
の姿があった。


げっ!!!何でキュヒョンが俺のベッドに
寝てるんだよ!!??


「おい!キュヒョナ!起きろって!」


キュヒョンの肩を激しく揺らす。


「…ん~……」


キュヒョンが寝ぼけた声で答える。


「何でお前がここに寝てるんだよ!?」


「…ん~…ヒョン…もう…朝ですか…?」


眠たそうな目を擦りながらキュヒョンが
体を起こす。そして、力強く俺の体をバック
ハグしてきた。


「…な…何だよ…?///」


「ヒョン、昨日は俺が帰ってきたらヒョン
の気持ちを聞かせてくださいって言ってた
のに何で先に寝ちゃうんですか?」

キュヒョンが俺の耳元で囁くように言う。
それと同時に、自分の心臓がドキドキしす
ぎてキョヒョンに自分の心臓の音を聞かれ
てるんじゃないかと怖かった。


「ソンミニヒョン…俺は、ヒョンのことが
好きです。どうしようもないほどに。
今まで、色んなことを我慢してましたが
もう限界です。ヒョンに触れたくて仕方が
ない。」


キョヒョンの細い指が、俺の指に絡まる。


「キュヒョナ!離せって!///」


思わず赤面してしまう俺。


「ヒョンの顔、赤くなってる。かわいい。」


そう言って、俺の耳をペロっと舐める。


「ヒャッ!!」

思わず声が出てしまって体が思いっきり
ビクッと反応してしまう。


「お前、朝っぱらから何やってるん
だよ///!?」


「随分とかわいい反応するんですね。
とにかく、俺はヒョンの気持ちが今すぐ知り
たいんです。じゃないと、心臓が持たない…」



キョヒョンが俺の肩に顔を埋めて言う。



「気持ちを知りたいって言われても…
無理だって…」



結局、自分の答えは見つからないままだ。


「無理って…何でですか…?」


「何でって…俺達男同士だし、俺、ホモじゃ
ないし!それに…元々大嫌いなヤツとそうい
う関係とか無理だって…!」


「無理って…じゃあなんで昨日ヒョンにキス
をして押し倒しても抵抗しなかったんですか?リョウガが来なかったらあんたを抱こうとしてたんですよ?」


「そ…それはその…だから…とにかく!!
無理なものは無理なの!!」


このまま、自分の気持ちを認めてしまうのが
とにかく怖かった。認めてしまったら、俺達
のせっかく良くなってきた関係が何もか崩れ
そうで怖かった。


「期待させるような素振りを見せて、今さら
無理とかひどいじゃないですか。ヒョンは
元々は俺のことを嫌いだったかもしれません
が、最近少しは自分に気持ちが向いてきて
くれてるんじゃないかと思ってました。
でも、結局は俺のことは嫌いなままなんで
すね。」


キュヒョンが冷たい口調でいい放つ。


「今もお前のことを嫌いだなんて一言も言っ
てないだろ!?男同士で好き合うとか、そん
なの簡単なことじゃないんだよ!」


「なんで簡単じゃないんですか?俺は
ヒョンのことが好き。ヒョンも俺のことが
好き。それでいいじゃないですか?好きな
気持ちに男同士とか関係ない。それとも、
ヒョンはやっぱり俺のことを嫌いなままで
すか?」


何で、キュヒョンは俺の気持ちを分かって
くれないんだよ…


「じゃあ、今もキュヒョナのことを嫌い
だって言えば納得してあきらめてくれ
るのか!?」



「へぇ…、それがヒョンの本心なんですね。
分かりました…もういいです。」


「…え…?いや…だから…!」


キュヒョンの手がスルッと俺の体から
解かれて、スタスタとキュヒョンは部屋から
出て行ってしまった。


キュヒョナのバカ…分からず屋…!!


自分の気持ちを認めてしまうのが、怖くて
仕方がないのに…
あんな風に俺の気持ちの答えを早く求める
キュヒョンなんて大嫌いだ…









 それから、俺とキュヒョンはルームメイト
を始めた頃のようにほとんど話さなくなって
しまった。ワインも一緒に飲むことはもう
無かった。

キュヒョンは、俺達と食卓を囲むこともあまり無くなった。どうやらリョウク達の所に食べに行ってるらしい。


「ヒョン、俺、今日もご飯いりませんから。
リョウガの所で食べますから。」


キュヒョンは俺と目も合わせることなく
相変わらずの乾いた口調で毎日
「リョウガの所に行きます」
宣言をする。


なんだよ…リョウガリョウガリョウガって!!
そんなにリョウガの所に行きたいならリョウガ
と結婚すればいいだろっ!!!


俺は、開けた冷蔵庫の扉を思いっきり
バンっ!!と閉めて八つ当たりする。



「うわ~、ミニヒョンだいぶ荒れてるね!
キュヒョナと不仲中?今度は、何があったの?過去最高にヤバイケンカなんじゃない?
キュヒョナ、部屋を出て行くとか言い出すし。」

一部始終を見ていたドンヘが面白半分で
聞いてくる。

夕食の準備をしていた俺の手が止まる。


「キュヒョナが部屋を出て行くって
何だよ…?」



「あれ?知らないの?キュヒョナとヒチョリ
ヒョン、部屋を交代するみたいだよ?」



「は…はぁ!!??」


その時、

「ピンポ~ン」

と部屋のチャイムが鳴って、ヒチョリヒョンが
入ってきた。


「ソンミナ~、俺の荷物をもうお前の部屋に
運んでいいか確認しに来た。」


「ヒチョリヒョン!キュヒョナと部屋を
交代するってほんと!?」


「あれ?ソンミナは何も聞いてないの?
キュヒョナがどうしても『ソンミナヒョンと
の部屋は耐えられないから交代してくれ』っ
て言うから明日、こっちに引っ越して来る予定だったんだけど?何?お前ら不仲?
キュミンなのに?」




なっ…何だよそれ!!?
あいつ何言ってくれてんの!!?




     ~奇跡のような愛 最終話へ続く~

※画像はお借りしました。