1977年、当時14歳だった僕は、母親がなぜかチケットをもらったというので、「ナベサダ」という人の新宿厚生年金会館でのジャズライブコンサートに連れて行ってもらった。


46年前、まだアナログ全盛期の時代。チケットを手に入れるには、電話予約や徹夜で並んでいい席を確保するしかなかった。母親がわざわざお金を出して買うとは思えないので、おそらく誰かから何かの都合で譲ってもらったのだろう。

余談だが、コンサートは資生堂の男性化粧品とタイアップしていたので、会場入り口で試供品の小瓶をもらった。家に帰ってそれを使ってみたのが、ちょっと色気づいた小学生だった僕の初めての「男を意識した瞬間」だった(笑)。

肝心のコンサートだが、あれはおそらく『My Dear Life』というアルバムと同名のツアーだったと思う。当時、井上陽水やチューリップに憧れていたフォーク・ロック少年の僕に一番衝撃を与えたのは、BOSSのコーラスアンサンブルとオレンジスクイーザーというコンプレッサーを駆使したリー・リトナーのギターサウンド。そして、その洗練されたコードワークだ。

今では当たり前のことだが、デイブ・グルーシン、ハービー・メイソン、エイブ・ラボリエル、アーニー・ワッツにパトリース・ラッシェンという豪華なメンバーが、当時の最先端西海岸サウンドを生み出していたことがよくわかる。とはいえ、あの日はそもそもジャズという音楽ジャンル自体に初めて触れた日だったので、ただただ圧倒され、興奮していた。

タイトル曲の「My Dear Life」は素晴らしいバラードだったが、その後FM東京で放送されて録音したカセットテープで、一番繰り返し聴いたのは「キャプテンカリブ」だった。軽快なリズムとカッコいいキメ、全てが新鮮な刺激だった。