『古事記』上巻その25~天孫降臨~ | 雲をつかんだ日

『古事記』上巻その25~天孫降臨~

葦原中国平定の報告が届くと、アマテラスはすかさず長男のアメノオシホミミに、葦原中国に降りて治めるように命じました。
しかし、あまり乗り気ではないアメノオシホミミは、ヨロズハタトヨアキツシヒメの間に生まれたばかりの子、アメニギシクニニギシアマツヒダカホノニニギを代わりに行かせることを進言しました。
アマテラスも「新しい国には、新しい神が合っている」と、快諾しました。
ただ、アメニギシクニニギシアマツヒダカホノニニギではあまりに長すぎるので、名前は「ニニギでいいよね」ということになりました。

数柱の共をしたがえ、いざ、葦原中国へ出発しようというときに、一風変わった神が現れました。
アマテラスに命じられて、アメノウズメが正体を確かめに行くと、赤ら顔で鼻の長いサルタヒコという国津神(くにつかみ)でした。
なんでも、「天孫ニニギ様が天下りされると聞きつけ、先導させていただこうと思い、お迎えに参りました。」ということ。

かくして、サルタヒコを先導役に、ニニギ一行11柱は葦原中国を目指します。
見送りの際に、アマテラスは「これを私だと思って祀りなさい」と、八咫鏡(やたのかがみ)をトヨウケヒメに預けました。
トヨウケヒメはイザナミの尿からワクムスビの娘で、八咫鏡(やたのかがみ)は伊勢神宮内宮に、トヨウケヒメは食物・穀物の神として伊勢神宮外宮に祀られています。
このトヨウケヒメと、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を持ったアメノイワトワケの2柱は初登場ですが、あとの7柱は天岩戸騒動の際に活躍しています。
まずは作戦を練った知恵袋オモイカネ、八咫鏡を作ったイシコリドメ、八尺瓊勾玉を作ったタマノヤ、それらを榊に装飾したフトタマ、祝福の祝詞を捧上したアメノコヤネ、天岩戸の前で舞を披露したアメノウズメ、そして、戸隠れ岩をぶん投げたアメノタヂカラオ。
アメノタヂカラオは、スサノオよりアマテラスに献上された天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を葦原中国まで運びました。
こうして、八咫鏡、八尺瓊勾玉、天叢雲剣の三種の神器は地上に移され、アマテラスの正統な子孫の証として受け継がれていくのです。

(礼拝)