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ブログ連載一周年を記念し、ストーリーのまとめの為Wikiを制作しました。

 

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「これは非常に言いにくい話だ、特に東垣弥五郎さんや彩芽嬢の前ではな。しかしお前たちには言っておこう。紳士、聖人君子、そういうものは日頃の行い、考え方、学問、努力によって辿り着くものだ。安易に薬なんかに頼るのは、あまり見上げた方法じゃない。それに、見たり聞いたりした限りだと、解脱の聖水の失敗作なんて薬を飲めば、それまで持ってた人格が無くなり、頭の中が、何かに上書きされるみたいな感じだ。つまり、自分が自分じゃなくなるみたいなんだ。いいか、決してそんな安易な方法に走るような、そんな真似だけはするんじゃないぞ」

 

 

 

 

「解ってるよ、勿論さ」

「僕ら、こうやって毎日一分一秒を惜しんで任務に打ち込むことで、成長していけるように頑張ってるんだ」

 二人は満面自慢げな笑顔を浮かべて言う。

 嘘いうな、エスメラルダから聞いてるぞ。

 といってるうちに、目的地に着いた。

 ここが橘家の用意した者なのかどうかは聞いていないが、こじんまりした東屋で、垣根まである。

 囲炉裏の煙らしきものが見えるから、そろそろ誰か目覚めて朝食の支度でもしているんだろう。

 エスメラルダだった、帰ってくると聞いて、朝食を用意してくれてたらしい。

 正直言って眠いし、空腹だが、その辺のことは汲んでくれているだろう。

「おかえりなさい、本当にご苦労様……。聞いたわ、大変だったって。今は何も言わないで、消化のいいもの作っといたから食べて、少し眠って」

 くせ毛のショートの下、釣った目を優し気に見せる笑みを浮かべながら、東屋の中にて招きした。

「う……。うれしいよ。食事もまだだし、寝てもいないし、いつ倒れるのか解んない状況だったんだ」

「わかってるわ。お粥と削り節と梅、それに小魚と豆よ、早く食べて眠った方がいいわ、疲れてると思うから」

 言われるままに中に入り、畳敷きの部屋に置かれたちゃぶ台の上の食事を見て、不思議なほどの安心感に包まれた。

 気が楽になってくると、今までよく耐えてたと思えるほど疲れが出てきた。

「ありがとう、早速いただくよ」

「そんな他人行儀なこと言ってないで、お疲れ様なんだから、とりあえずは食べて、眠ってね。お風呂がないのが残念だけど」

「風呂なんていいよ、いや、何処かに有れば後で入るかもしれないけど。とりあえず今は食事に預かって、布団に入って眠れるだけで満足だ」

 そういって用意された食事を取り始めた。

 よかったーー、味噌汁まであって、生き返った気がする。

 肥溜めの中って、発酵してるからか意外に熱があって、圧力もあって、体温を奪われて低体温で死ぬことは無かったけど……。

 いや、その話は無し、記憶から消そう。

 どうやって食事を終えた後、布団に入り込んだのか全く覚えていない。

 しかし、気が付くと布団の中で目覚めていた。

 少し聞くと4つ半(9時間)ほど眠り込んでいたようだ。

「すまなかったな、完全に眠り込んでた」

「何言ってんのよ、あれだけ頑張って、お疲れなんだから、眠らないと駄目なんだから。さ、お昼ご飯用意してるわ」

「な、な、なん、か、泣けてきそうになってきたよ。普通に眠れて、食事できることがこんなにいい事だったなんて……。この東屋に布団が用意されてるとは思えないから、何処かから運んでくれたんだろ、食事だって……」

 普通に眠れて食事出来てってまったく、肥溜めに十数時間も潜んでると、精神的に参りそうになるもんなんだって、よくわかった。

 この話題はやめようと思っても、意識にこびりついてるな。

「だからいいんだって。私たちにできる事なんて、これくらいしかないんだから。さ、覚めるわよ、電子レンジとかないんだから、早く食べて」

 魚の開きに刻み野菜、卵焼きに味噌汁、白米。

「う、う、う、う…‥‥」

「変な声出してないで。あ、四半里程離れてるけど、お風呂に入れる、仲間の家があるから、食べたら行って来る?今ハインツルドルフとグスタフイワノフも行ってるから」

「ふ、風呂まで入れるのか?」

「どうしたの、思ってたよりずっと、気分的に弱り切ってるみたいだけど。そりゃね、奉行所から手配人にされちゃってるってのも解るけど、写真どころかモンタージュもないのよ、人相書きが精いっぱいなのよ、そんな状況で捕まるわけないじゃない」

「それもあるよ、手配人になって気分がいいわけない。それ以上に気になるのは、東垣弥五郎さんや、彩芽嬢の事なんだよ。しっかり管理するように言っとかなかったんでああなっちゃっあのかなとか、いやな事ばかり考えるんだ」

「それ言うなら、私の方が重罪よ、傍にいたのに気づかずに飲まれちゃったんだから」

「とりあえず、食べ終わったら風呂に行って、それから様子を見に行こう。風呂くらいは言っとかないと不衛生だからな」

「わかったわ。あ、橘家だけどお家取りつぶしを免れて、今かなり風向きはよくなってきたらしいけど、それでもまだもう少し用心した方がいいって言っておいたわ。最後の最後まで気を抜いたら命とりだからね」

「そうか、そうだった、橘家のお取りつぶしは免れたんだったな」

「それについて、物凄く感謝されてたわ。全部じゃないけどどういう事が起って、どうなって、その結果お取りつぶしが無くなったって、結構しっかり解ってるみたいだし」

「そんなことになるなんて夢にも思ってなかったけど、上手くいってうれしいし、このまま全てうまくいってくれることを祈りたいんだが……」


 

 

 


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