ブログ連載一周年を記念し、ストーリーのまとめの為Wikiを制作しました。
こちらをご覧になれば、あらすじ等の理解に役立ちます。
但し、まだ制作中の部分も多々あります。
こちらは ↓ Wikiへのリンクです。
このQRコード ↓ によりWiki版に移動できます。
ブログ連載一周年を記念し、ストーリーのまとめの為Wikiを制作しました。
こちらをご覧になれば、あらすじ等の理解に役立ちます。
但し、まだ制作中の部分も多々あります。
こちらは ↓ Wikiへのリンクです。
このQRコード ↓ によりWiki版に移動できます。
役人どもは老いも若きも男も女も関係なく、教団の信徒を縛り上げたのち、列に並ばせて連行していった。
飛び口で残骸を払いのけ、燃え残っている空間がありそうな所にはくまなく槍を刺し、火縄銃を打ち込んだ。
教団幹部や前教祖は捕えたが、現教祖がどこにも見つからないからだ。
引っ立てられる信者も誰もそれを知らず、いつしか教祖は奇跡の秘術で姿をくらまされたと語られるようになった。
取り方自身の内部の裏切り者すら疑いながら、教団施設をくまなく探したが、結局最後まで教祖は見つからず、火に巻かれて灰になったか、もしくは本当に奇跡の秘術かと囁かれはじめた。
取り方役人にとっての怖れは、教祖を捉えることが出来ねば、他の信者の希望となり、いつか教団を復活させるという事だ。
サバイバルキットのウエットバッグの中に潜み、モバイルデバイスに送られてくるプローブドローンの映像を、息を殺して見つめ続けていた。
取り方の大部隊は、捕えた大量の教団信者を護送する必要性から、ほぼ全員が教団施設から離れていった。
それだけ大量の、縛られているとはいえ反撃能力を持った者達を護送するのは大変な事なのだ。
教団施設に残った取り方役人の数は、必要最小限にも満たないと考えて間違いないだろう。
訓練された犬を連れてくるという習慣が、取り方役人になかったことも幸いした。
そろそろ姿を現して大丈夫だろうか?
数多く放っているプローブドローンのうち、近くを警戒させている物の画像を用心深く観察する。
ハインツルドルフ達には、もしも取り方役人に捕まりそうになったら、機銃やミサイルを使ってでも助けるようにと言っておいたが、幸いにもそう荒っぽい手段は使わずに済んだようだ。
そうなってたら下手すりゃ数百人の取り方役人を敵に回すことになって、切り捨てられてたかもしれないのだ。
戦って血路を開くのは避けるにこしたことがない。
しかし長かった……。
完全防水のウエットバックの中にこもり、その中に簡易使い捨てトイレ、水、食料を持ち込み、隠れる事ほぼ十余時間。
辺りが暗くなってしまっているので、目立つことは無いだろうが、慎重に慎重をきたし、もう一度赤外線映像をくまなく見る。
大丈夫と判断して、身体を起こした。高強度素材を使っているが、その見た目はビニール袋の巨大なやつをマミー型シュラフにしたようなものである、ウエットバッグは、体の動きに当然ながら追従する。
それが、肥溜めの底から姿を現したのを目にしたら、肥まみれの巨大ゾウリムシ怪獣か何かの様だろう。
手を使ってウエットバッグの顔の部分をぬぐい、不完全ながらもなんとか視界を確保する。
足を着いて立ち上がれば、頭が出る程度の深さの肥溜めの中、ウエットバッグの中では、あまり自由に手が使えないので、上までどうやって上がればいいのか難儀した。
肥が詰まってる深さが約1.5メートル強、そこから地面らしきところまで50センチ強といったところか。
飛び上がって手を伸ばせば何とか届くかと思ったが、少し無理だった。
立ち泳ぎの要領で出来る限り体を持ち上げ、なんとか、なんとか何とか……。
殆どぎりぎりだが、肥溜めのへりに片手がかかり、脱出できそうな感じになった。
片腕を肥溜めのへりに掛け、身体を持ち上げながらもう片手もへりに掛ける。
しかし、余計なものが体を取り巻くウエットバッグの外に塗りたくられてて、それが意外に重くのしかかるうえに、滑る。
上に上がっていく抵抗も予想以上なのだ。
しかし、今へこたれて下に落っこちたらえらい事になる。
なんとか、なんとか身体を持ち上げられて、肥溜めのへりにねじった体の片膝を掛けることが出来た。
少し安心したが、ここで気を抜いてはならないので、最後まで慎重に脱出行為を続けていった。
苦労したが、肥まみれ巨大ゾウリムシはなんとか肥溜めから脱出できた。
そのまま少し歩き、建物の残骸がまだ燃えている熾火に近づいていき、慎重にウエットバッグのファスナーを中からあけていく。
外側に付いていた肥の臭いが思いのほか強い。
出来る限り、というか絶体に肥に触れないようにウエットバッグを脱ぎ、熾火の中に放り込んだ。
まずないと思うが、こんな手段で肥溜めに隠れていたと気付かれて、追ってこられることを避けるためだ。 しかし、だ、完全気密保障のウエットバッグの中とはいえ、肥溜めの底に十数時間も潜む羽目になるとは…‥‥。
最近この展開多すぎる気がすると思ってたが、まさか自分もそうなるとは。
いや、完全気密のウエットバッグの中にいたから、全く問題は無いと考えても大丈夫だよな。
直接は触れてないから大丈夫だよな。
そう考えないと、力を落とすどころか生きてさえいけない、そんな風に考える程気が弱ってしまってる。
肥溜めの中で半日以上過ごすというのは、それほど心を弱らせるものなのだ。
あーーあ、プローブドローンが見てるんだから、エスメラルダも当然知ってるんだ、兄のように慕ってくれてる子なのに……。
ハインツルドルフとグスタフイワノフも知ってるんだろうな。
あ、それどころか、データーアンドロイドⅤ5も知ってるって事じゃないか、あいつはあほだから平気で情報流すぞ、こっちの気も知らずに。