ブログ連載一周年を記念し、ストーリーのまとめの為Wikiを制作しました。
こちらをご覧になれば、あらすじ等の理解に役立ちます。
但し、まだ制作中の部分も多々あります。
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「実験用と申しましてもほぼ完成品であり実験に使ったというだけの話でありましてわざわざ性能の劣る実験装置を作ったり致しません」
「という事は乙女十字軍が若さゆえにはやる心を諫めるために、グランドマザーあたりが実験段階だと言えと言ったってところか?」
「いえおそらく責任を取らされるのが嫌で開発部門あたりがそういったのではないかと」
「ちがうだろーーーー。せめて、トレスパスのクルーは潜入任務の為に長期間、専門の訓練を受けた特殊部隊で、その辺のスキルが乙女十字軍には今一つ欠けてるくらいの事を言え!」
「ではきっとそうなのでしょう」
「しかし本当の所、バージニア・クルッセイダー号は共和国の目と鼻の先、いや、比喩はやめよう、ニュートラルゾーンにまで来ているんだよな」
「ですからそれは既に申しあげたとおりです」
「(このアホめ)まあ、呼べばすぐ来られるところで旧文明だかなんだかの解析とかしてくれてるんだよな」
「本当は貴方様に呼んでいただきたく思っておりますがその真意は秘密にしたいとのことでした」
またこんなことを平気でしゃべる、乙女心なんか全然わかってないのか……。
いや、こいつに怒っても無駄なんだ。
「しかしだ、今は本当に急にたくさんの発見が有ったから、そっちの方の解析に回ることのできる能力のある者が、一人でも多いほうがいいに決まっている。というわけで、バージニア・クルッセイダー号はニュートラルゾーンにて待機、乙女十字軍は解析の任務に当たってもらうように」
よし、格好はついた。
なんか最高指揮官らしいことも言えたしな。
「ところがそうもいかない模様なのです」
「何だ?そんなに物分かりの悪い娘たちじゃないはずだぞ」
「たった今入りましたニュースによりますと」
「お前いつからニュース番組のアナウンサーになったんだ?」
「共和国領惑星白金軌道上にて遮蔽装置稼働状態で条約違反状態で待機中の潜入艦トレスパスの主たる設備に重大な障害が発生した模様ですなお現在の所死者は確認されておりません」
「なんだって?まさか、攻撃を受けたのか?完全な遮蔽装置を持つトレスパスを発見、攻撃することは不可能に近い。ただ、無理にそれができるとしたらハイエンシェントをつかった異能攻撃か?」
「いえ残念ながらハイエンシェントによる攻撃も貴方様のお仲間と近くに停泊中のバージニア・クルッセイダー号が高い確率で未然に阻止できるものと思います」
「まさか、やみくもにそれらしいところに、イオン妨害ミサイルでも打ち込んできたっていうのか?」
帝国最新の特殊潜入艦だ、そんなものでも使わない限り機能停止はおろか発見することも無理なはずだ。
「いえそうでもありません」
「いいからわかってることを早く言え!」
「原因は目下捜索中ですが遮蔽状態でミュー粒子を使った地中スキャンを行った際に不十分な状態でしかブリッジの機能が働いていないのを無理をさせてしまい予想もしていなかったトラブルに進展した可能性が非常に高いとの現場の機関部クルーからの報告がございました」
「なんでそんな不十分な……」
あ、そうだ……。
「予備部品その他の積み込みは軍規どおりでしたが通常の考察では艦の中心部ともいえるブリッジ内部のみがあれほどまでに重大な損傷を受けるという事は想定されておらずまた予備部品も充分とはいえないない中クルーは最大限努力して修理をいたしましたので貴方も最高司令官として罰をお与えにならないほうがよろしいかと思います」
「アホーーーーーーー!」
だれがそんな酷いことするか!
「では艦長をはじめクルーの処分をどういたしますか」
「お前が壊したんだろう!普通ならブリッジ内部であんなに火器をつかうかーーー!」
艦内に侵入テロが有った際、データーアンドロイド二体が排除したんだが、その時人間だったら絶対に躊躇うブリッジ内での重火器の大量使用を行ったのだ。
勿論それくらいしないといけない事情もあったが。
「では私を機能停止処分にいたしましょう」
「アホーーーーーーー!そんなことより、この事態をどうすれば片づけられるのかを考えろ!」
「私が把握している艦内コンピューターによりますチェックシーケンスの回答によりますとこのままではメインフレームによるダメージコントロールの範囲を大きく超えてしまい遮蔽装置その他も停止しメインエンジンが止まり惑星白金に墜落することになる可能性がございますが中途半端に頑丈に作っているため艦は燃え尽きずさりとて高熱でクルーは全員消滅し落下した艦は主だった形を保ったまま拿捕される見込みですので現時点での艦の自爆を進言いたします」
「アホーーーーーーー!」
「御心配なさらなくても今トレスパスが爆発しても惑星軌道上の小さな光としか認識されませんうえ特殊潜航艇としての責務から残骸を残さず破壊できます自爆装置ですのでその点ご安心ください」
「あ……」
アホと怒鳴ることもできないくらい参らされた。
「大丈夫ですほぼ同様の機能を備えたバージニア・クルッセイダー号が近くのニュートラルゾーンに停泊している為任務の引継ぎは可能で我々を回収することも同じく可能ですのでご安心ください」
「もっと建設的に考えられないのか、希望的観測!お前にそれがなくても、乙女十字軍は神の御使いだろ、奇跡でも何でも頼れるものは頼れ」