ブログ連載一周年を記念し、ストーリーのまとめの為Wikiを制作しました。
こちらをご覧になれば、あらすじ等の理解に役立ちます。
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「いいさ、気にするな。せいぜい誰かが小屋に何かを取りに来たか、もしくは無事なのか見に来た程度の事だろう。それより、プローブドローンでエスメラルダを探してくれないか?」
「わーーーーーー」
グスタフイワノフがモバイルデバイスを操作し始めたとき、ハインツルドルフが声を上げた。
「どうした……」
その先にまた、忍び装束のホムンクルスが、仰向けに倒れていたのだが、顔面に甲羅長20センチほどの亀がめり込んでいるのだ。勿論亀はつぶれてしまってる。
そういや、銭亀と石亀の見分け方も知らない程度の知識しか持ち合わせていないのだが、このつぶれた亀がミドリガメだという事くらいは解った。
銭亀幣次ってやつの仕業だろうな。
「ミドリガメさんを顔にぶっつけて、ホムンクルスを殺すって……」
ハインツルドルフ達も驚いたというより、怯えてしまっている。
銭亀を主に使っていて、それを充分な数用意できず、今回たまたまミドリガメをぶつけたのか、それとも亀の種類もよくわからない馬鹿なのかは解らない。
しかし、安芸山小兵衛の仲間だけあって、かなり狂暴な奴であることは間違いない。
と、思っていたがそうでもないと言わざる事態が……。
「ねーーー、こ、こ、こ、こ、これ……」
またグスタフイワノフがなんかみて、おびえたような声を上げた。
なんとまあ、銭亀幣次が狂暴というわけではない、いや、確かに奴は狂暴だ……。
ただ、飛びぬけて狂暴というわけではない、と言いなおそう。
少し離れたところに、忍び装束のホムンクルスが、それはそれは、とてもとても子供に見せられないような、無残な姿で倒れ伏していたのだ。
「なんとまあ。おまえら、見るなといっても無理かもしれないが、出来る限りこれの事は忘れろ。PTSDにでもなったら困る。そうだ、万能回復薬に心理的効果はあったのか?いやどうだったかな?」
「う、うん、解ったよ」
「心理トラウマは、確かモバイルデバイス経由で、ハンビーの中でVR心理カウンセリングを受けられるはずだから、後で必ず受診しとくんだぞ」
「う、うん、解ったよ。でも、どうすれば、何を使えば、こんなに滅茶苦茶に人間が叩き潰せるの?」
「人間じゃない、ホムンクルスだ。カウンセリングを受けるまでこのことは頭の中から、出来るだけ消しとけ。しかし、剣で斬ったんじゃない。もっと、デカくて重くて、ハンマーみたいな破壊力があって、そして一応刃が付いているデカい武器で、ぶっ潰されるみたいに斬られてる」
「そうだよね。あのーー、このホムンクルスの刀、折れちゃってるみたいだけど……」
「受け太刀ごと身体を切り裂かれてるんだ。その武器はおそらく大斧、鉞か何かかもしれない」
「熊さんでも一撃で倒しちゃいそうだよね、これ見てると……」
「熊、そうか、おそらくだが、安芸山小兵衛の仲間で、エスメラルダが言ってた、金太郎侍ってやつだ」
「あのーーー」
「どうしたんだ?」
「バーサーカーと化しちゃってるけど、敵の作ったクローンが、じゃなくって、本人、っていうか、本物が狂暴なんだよね」
ハインツルドルフが、子供ながらにむな恐ろしいことをいった。
「普通に考えれば忍び装束のホムンクルスを斬り倒したのは、クローンではなくて、本物の方だろうな」
「やだよーー、思い出したけど、鬼を見かけたら襲い掛かって、それで、その仲間が何人かでやってきたら、それも斬り倒しちゃうよな、そんなのの仲間なんだよーー」
「唯一の救いは今のところその連中は一応、味方って感じの立ち位置だって事だ」
おびえるハインツルドルフ達をなだめられる限りなだめて、少し先に行くと、今度は……あ!
ハインツルドルフ達よりもまだ小さい、3つくらいの子供が倒れていた。
あれは確か、安芸山小兵衛の一子大二郎だったか、そんな名前の子じゃないのか?
粗末な灰色の着物風衣装に、頭頂部と耳のわきだけ毛を残し、あとは全部そった、こけし頭とか言う髪型。
周りに気を付けながら、その子の所に走っていった。
「おい、大丈夫か?酷い傷だ」
子供を斬られて親の安芸山小兵衛が怒ったのか?
と思っていたがそうではなく、子供の、3つくらいの子供が虫の生きながら、しゃべり始めたのだ。
「其処元らは、どちらの仲間なのだ……」
3歳くらいの子供とは思えない口調にハインツルドルフ達は少し戸惑っている。
「残念ながら、お前たちの見方ではない事だけは確かだな。だが、色々教えてくれるなら、助けてやってもいいぞ。万能回復薬を持っている」
「いや、構わない、どうせ数日の命」
「数日?お前はホムンクルスかクローンって事で間違いないんだな。成長促進剤を使ってるせいで、外見が3つくらいでも、中身は十分大人って事か?」
「好きに考えるがいい。我々はしくじった、帰っても死罪だ」
「しくじったというと?」
「襲撃をではない。あいつらのクローンを作って、戦闘力の高い人間からのクローン戦士をと考えていたのだが、完成したとたんに反逆し、研究施設で大暴れし、何もかも破壊した挙句、研究材料まで台無しにして、逃げだしたから、討伐に部隊を送ったのだ。が、ことごとくやられた」
「なんだって?後から来た忍び装束は、援軍じゃなく、討伐軍だって事なんだな?」
「そうだ。クローンは、本体の居所を追っていた資料を奪って出て行ったから、それを追ってきた」
ある一部だけを好意的に解釈すれば、必殺剣客商売人だったかのクローンが、敵のラボだか研究施設をものの見事にぶっ壊してくれて、万々歳といえなくはない。
なんでか知らないがそのあとで、クローンが自分の元になった人物を抹殺しようと考えて、ここまでやってきたってことで良いんだよな。