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ブログ連載一周年を記念し、ストーリーのまとめの為Wikiを制作しました。

 

こちらをご覧になれば、あらすじ等の理解に役立ちます。

 

但し、まだ制作中の部分も多々あります。

 

こちらは ↓ Wikiへのリンクです。

 

 

 

 

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 非舗装の土の道だったので、リミテッド・デフにもかかわらず、四輪全てがホイールスピンを起こし、激しく土煙を巻き上げる。

 ガッと、まるで後ろから押されるような加速でハンビーは進んだが、不整路をとらえきれず車輪は不規則に跳ねる。

「安芸山小兵衛とその仲間は知らんが、橘右近とエスメラルダが心配だ、急ぐぞ」

「ね、ね、ねえ、プローブドローンの画像、一回確かめてみようよ」

 

 

 

 ハインツルドルフに言われて思い出した、さっきまでジャミング電波が激しすぎて、飛ばすことが出来なかったプローブドローンだが、あっち、つまりエスメラルダのいるあたりには何機か常駐させているんだった。

「そうだったな、お前たち、プローブドローンの画像で、エスメラルダたちの様子を見てやってくれるか」

「うん、やってみるね……」

「あ、敵は増えてるんじゃないかな?例の忍び装束の連中も応援に駆けつけて来てるよ」

 二人はモニターを見ながら言った。

「なんだそれは。運転中はモニターを見られない、そっちで見て詳しく説明してくれないか?」

「わかったよ。えーーっと、炭焼小屋に来てたみたいな恰好の忍び装束が、一杯映ってるよ。多分20人以上はいるね。あ、立ってるのが20人くらいで、斬り倒されてしまってるのもいっぱいいるよ。それに、お侍さんもいるけど、知らない人が増えてるから、どれが味方でどれが敵だかわかんないよ」

「ね、ね、一人、岡っ引き姿の人がいて、忍者の顔に向かって、懐から出した亀をぶつけてるよ」

「なんなんだそれは。多分そいつが銭亀幣次ってやつだ」

 確認は取れていないが、おそらくその亀は銭亀なんだろうな。

 っていうか、そんなものを相手の顔にぶつけるのがそいつの戦法なのかよ!

「あ、亀さんつぶれちゃってる」

 亀がつぶれる程の勢いで、顔にぶっつけてるのか?

 さすがあの安芸山小兵衛が認めた仲間って事か……。

 いやいや、この分だと銭亀幣次以外の連中も同じようなもんに違いないぞ。

「忍び装束は何十人も来てたが、かなりやっつけられたって事だな」

「でも、どうやって隠れ家を見つけられたんだろうね?」

「簡単だ、その仲間の侍連中で、何とか必殺商売稼業だったかしらのおっさんどもが、合流するためにやってくるところをつけられたんだ」

 しかし不用心極まりない連中だな……。

「あ、そっか」

「橘右近さんと東垣弥五郎さんが、あいつらのこと疫病神みたいに言ってたけど、本当にそうなんだな……」

「ねえ、あんまりわかんないんだけど、その滅びた文明とか言うのが、出来るかできないかわかんないけど、ハイエンシェントと科学を使って、死んじゃった人たちの魂を、ホムンクルスとかの身体に呼び戻そうってしてるんだよね」

「そうらしいな」

「復活の体とかいうのを作るのが目的なんだったら、どう考えてもクローンの方がいいよね」

「そうなるな。滅びた文明は、科学力は高かったらしいから、もしかしたら遺伝情報みたいなものを保存しているかもしれないから、その分のクローンを復活の体とやらにするのかもしれないな」

「でも、それだったらホムンクルスは何なの?只の練習台?」

「そこんとこがわっぱりわかんないんだ」

「それに、ハイエンシェントで死んだ人の魂とか復活させなくても、お侍さんのクローンはちゃんと自分の意志で動けるんだよね」

「そのようだから、訳が分からないんだ」

「やっぱりそうだよね。何がしたいんだろ?」

「もっと深い何かがあるのか、それともただ単に世の中を混乱させたいだけのカルト集団なのか」

「でも、どうやってその何とか商売稼業だったっけの、お侍さんの遺伝情報を手に入れたんだろうね?全員分でしょ?」

 あ……。

「それについてはなんとなくだが察しが付く。あんまりモラルの高くないオッサン連中から遺伝子情報を手に入れるのは意外に簡単だが、それについては、今はお前らは考える必要ないからな」

 子供の教育に悪いじゃないか。

 それに、頭目の安芸山小兵衛は、子連れのはずなんだが、何をやってんだあのアホ侍どもは、俺の疑念は絶対に間違っていないと確信する!

「ふーーん」

「最初ぼく、みんなで献血でもしたのかなーーって考えてたんだけど」

「あーー、二人ともその話は忘れろ。それよりももっと大事な話は、さっきお前らも言ってた、復活の体なるものに関してだ」

「そうだったね。敵も幾つか派閥が有るんだよね。それで、殆どの人は復活なんかしたくないんだよね」

「そうだ。しかし、滅びた文明を再興するなんて錦の御旗があれば、カルト教団をまとめるのに絶好の口実になるかもしれないな」

「そうだよね」

「存外、クローンもホムンクルスもどっちも未完成で役に立たない代物で、カルト教団の教祖とその幹部連中が、自分たちの脳内妄想を叶えるためだけに、信者にやらしてるだけかもしれないしな。ま、その辺は帝国情報部が洗い出してくれるだろう」

「それじゃ、今僕らはあのおじさんたちが、クローンだかなんだかに襲われてるのを、助けりゃいいって事だよね」

「まあそういう事だが少し違うぞ、エスメラルダと橘家の人たちを助けに行くんだ」

「あ、そっかーーー、それ忘れていた」

 で、ハインツルドルフに引き続き、グスタフイワノフが言った。

「ああ、大酋長様、彩芽を助けに戻ってきてくださったのですね」

「やかましい!」

 丁度曲がり角だったので後輪を滑らせて曲がると、後ろの二人はどうなったのか知らないけど静かになった。

 


 

 

 


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