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ブログ連載一周年を記念し、ストーリーのまとめの為Wikiを制作しました。

 

こちらをご覧になれば、あらすじ等の理解に役立ちます。

 

但し、まだ制作中の部分も多々あります。

 

こちらは ↓ Wikiへのリンクです。

 

 

 

 

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「その、かいなげ、と申す方が、油の管理をなさっておいでの方ですか?」

「そうにござる。腕稲毛問答(かいなげもんど)と申す我らが同士にて」

「腕稲毛問答殿でございまするな……」

「作用。腕稲毛問答殿、敵に浴びせれば大被害を与えることが出来る油があまりにも消え失せてしまうので、嘆いておられたわ」

「乾いて候。と」

 

 

 

 

 む、無関心が一番だ……。

 この連中は確かに腕こそ立つと思う。

 けどそれ以上に危険な胸騒ぎが起こる。

 しかし、このまま付かづ離れずなんて、虫のいい真似もできないだろう。

「橘殿、これからのことをじっくりと話し合わねばなりませんな」

 そう言っただけでわかってくれた。

 いや、橘右近の方が、わかってくれたか、うれしい、とでもいった顔をしている。

「では大酋長様、私どもと、全てではござりませんが、共闘いたしてくださるという事にございますな」

 ウぬ!とばかりにうなづいて返した。

「その件、承り申した」

「かたじけのうございまする」

「ところで、今、当方の間者が来ておる故、情報を聞きに行きたく存ずるのだが」

「な、なんと、そのような者がいつの間に」

 あれ、気付いていなかったみたいだな。

 ってことはあいつらの潜伏スキルって、そこそこの域に達してきているんじゃないだろうか?

「かよう、小屋の焼け跡の影に潜ませておりまする」

「なななんと、全く、全くに、気付き申しませんでした。さすがは……」

 これ、本気らしいな。

 それよりもこっちもあいつらの情報を聞かせてもらわないといけない。

 こっちは、奉行所の機密書類を帝国情報部に引き渡す、という手柄をあげるにはあげたが、探していた『ほおの木』とか、ホムンクルスの成長促進剤といったものについては、皆目見当がついていないのだ。

「相すみませぬが、しばしお時間いただきまする」

「は。では手前どもも、弥五郎としばし相談の時を持つことにいたしまする

 そうそう、待ってる時間は有効に使っててくれ。

 そして、ハインツルドルフたちの隠れている方に向かって歩いた。

「おぅ、大酋長殿、どちらへ?」

 安芸山小兵衛の声は聞こえないふりをさせていただいた。

 炭焼き小屋の焼け跡を少し迂回して、後ろの木立か雑木林に近づく。

 暗いところでは判別しにくかったが、やはりこいつら忍者ごっこしてたな。

 忍装束風の衣装を着て、今は外しているが、おそらくは黒い覆面と頭巾をしていたと思われるその髪についた癖、火災の隅汚れを何とか払ってはいるがその可哀そうさを漂わせる、子供忍者……。

「お前たちもよく頑張ってくれてるな。あれだけの情報が手に入ったおかげで、帝国情報部も相当助かってると聞いてる」

 そうそう、一応ハインツルドルフとグスタフイワノフを労ってやるつもりなのだ。

「有難き幸せ!」

 ハインツルドルフまでなぜか変な言葉遣いになってるが、忍装束効果という事にしといてやろう。

「ところで、奉行所から抜け出して、その後ほかに何かつかめたか?」

「勿論!」

 今度はグスタフイワノフが胸を張った。

「ほんとなのか?感心だな、あの短時間で」

「大酋長が、またもまたも、きれいなおねえさんの心をつかむところを、じーーーっくりと見て、明日の為にメモにしーーっかりとまとめてたんだーーー」

「何なんだそれは!そういや、そんなメモとるとか前に言ってた気がするが、まだやってたのか……」

 というか、任務中に何やってんだこいつらと言いたいが。

 それにおそらく無駄な努力を積み重ねてるだけだと思うし。

「僕ら、一生懸命頑張って任務果たして、そして腕を上げて、きれいなおねえさんにモテモテになるんだーー」

 前も言ってたな。

「お前ら、そんなにもてたいのか」

「モテたい」

「きれいなおねえさんに、自分から好きって言ってもらいたい」

「それはお前らの自由だが、さっきの話からすれば、任務より俺の観察をしていたように聞こえてしょうがないんだが?」

「大酋長様、グスタフはお慕い申しておりまする」

「大酋長様、ハインツは遠くより御身を見守っておりまする」

 ガツん!   ゴツん!

 いつの間にか近くに来てたエスメラルダが、ハインツルドルフとグスタフイワノフを殴った音。

 彩芽嬢の口真似をしたことが大そうお冠だったらしく、二人はエスメラルダに引っ張られて、あっちの方にいってしまった。

「あのアホどもを甘やかさないでね」

 すこすこと帰ってきたエスメラルダが、またかなりふくれっ面でいった、

「そうバンバン殴ってやるなよ」

「だめよ、もしかしたらあいつらがそんなことにかまけているうちに、大切な任務の大切な何かに気付かなかったってことも在り得るのよ」

「そうともいうかもしれないが……」

「それよりも、よ。あの安芸山小兵衛と大破れ傘踏襲の二人が、ついさっき変な事を……あ、いつも変なこと言ってるけど」

「まさか、任務に関係ありそうな、変な事なのか?」

「ええ。あいつら、鬼の手を持ってる、っていうか、戦って切り取って戦利品にしてるって。どこかの寺か見世物小屋に売れないかって不純な動機だけどね」

 

 


 

 

 


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