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あらすじ(上記の写真は作品とは関係ありません。

 

 

数百年に一度訪れる特殊な霊脈に位置し、戦巫女、世界の崩壊を救う事の出来る乙女たちが集うと予言された高校。堕天使の曾孫で曾祖父が失った天界の籍を取り戻すべく、大国様からの任務に励む俺は、因幡の白兎と出雲の鼠たちと共に、日々善行を積み宇宙の秩序を維持するためがんばってる。俺だけの力じゃ追い付かない。戦巫女たちにも力を借りなきゃならない。偶然にも同い年だった俺が戦巫女たちが現れる運命の高校に通いながら彼女たちを育上げ……。宇宙をまたにかけたジュブイナイルが今始まる。

 

 

 

 

第一話 戦巫女育成~イクサミコイクセイ~その1~

 

 

 今、一陣の風が、誰もいない広い校庭を、吹き抜けていった。

 それは、軽いつむじ風となって舞い上がって、黄色い砂埃を巻き上げる。

 うたかたのように消えたその行方は、誰にも知られることはなく。

 

 雲もほとんど見当たらない、爽やかに晴れ渡った青空。

 春の日差しはまだまだ高く、白い校舎を輝かせていた。

 

 

 陽はようやく俺の座っている窓際二列目の席まで届き始めた。

 薄い水色のリノリウムの床に、窓越しの陽光がさし、天井のLED電灯とあいまって、明るい、長方形のよくある四十人学級。今日の欠席者は一人もいない。

 四階なので校庭のほぼすべてが見渡せる席だ。窓の外を何気なく見ると、よそ見をしている自分の顔と目があってしまった。

 少しばつが悪くなって正面を見直した。

 正面の壁には黒板、その前には教壇。そして生徒の席が整然と並んでいる。

 黒板の上にある丸時計は電波時計で、日本の標準時を正確に告げている。校内の正時計すべてが電波時計というほど、かっちりと時間管理されているのだ。

 俺の通っているこの洛燿高校は、きわめて特別でかつ強い龍脈の流れに位置し、大自然の聖霊の恩恵を受けた地の上にある。まあ、殆どの生徒や教諭はそんな事気にしてはいないだろうし、直接これといったことがあるわけでもない。

 ただ、確かに優秀な生徒が多く集まるのは事実だ。校区の特例とかいう条例で、他の地域からも受験が認められている事もあって、公立では地域一といっていい。

 さらにさらに。これが俺のこの学校に通うことになった最大の理由の一つなんだけど、今現在この地は何百年に一度有るか無いかの、龍脈の勢力が強くなる特定点に差し掛かっている。これだけ強くなるのはせいぜい三から五年、もって一〇年。

 今まさに歴史と大自然の神秘に裏打ちされた特別かつ神聖な地と化している。

 伝承にある七人の戦巫女がより集う、聖別の依り代。

 あ、人数に関してはは少しあいまいで、必ずしも七人とは限らない。戦巫女が現れるときはいつもそうなんだって。大体が三から五人位だとか。稀に十人以上現れることも。

 さて、時計を見てみると、本日最後の六限目もあと数分で終わりそうだ。

 高校生活にも慣れてきた。

 任務を帯びていることとはいえ、堕天使の曾孫である俺が、こうやって日本の高校に通うことが出来るのは感謝している。いや、感謝しています、恩に着ています。

 偶然にも霊脈発見当時、一年ちょい前だったかな?出現予定の戦巫女と同い年だって事から、高校に通うこの任務頂いたし、その前からやってた交渉任務も引き続きやらせてもらってる。

 いろいろありすぎて言うに言えないくらい大変だったけど、今は信頼していただいて、こうやって任務までいただいて、頑張らしてもらってる。

 数年前の最悪期は脱して、今まで何だったんだってくらい人生変わったから。

 曾祖父さんが失った天界の籍を取り戻すんだ。

 任務楽しいし、何より世のための仕事頑張れるし、やりがいもある。

 あ、その上公立高校といえば、施設の負担や授業料その他、かなりの面で税金の、つまり皆さんの税金で賄ってもらってるって事だ。これで任務はおろか勉強とかもおろそかにしたら、罰が当たる。

 で…俺が気楽に晴れやかにやってる割に、このクラスほぼ全員はどんよりと暗ーく沈み込んでいる。

 いつもはこんなじゃないのにってくらいに。

 やっぱり何のかんのいって進学校トップ、生徒もきっちりした連中が集まってきている。

 授業受けるときの真剣さは感心させられるし、何のかんの言って真面目だ。

 だからなんだろうな。

 今日は、高校生活初の定期テストが終わり、初めての授業。つまりテスト返却の日だ。

 公立高校には珍しく、テスト終了翌日に休みがある。それはいいのだが、その一日で教諭陣が採点を終え、得点結果をコンピュータ入力し、何を話し合うのかさっぱりわからないけど職員会議を開催し、結果を帳票出力し、翌朝、つまり今朝、A棟一階職員室前にでかでかと張り出すのだ。学年ごとの全生徒の順位と総得点を。

 個人情報、何それ?の世界だ。

 もちろん採点ミスとか有るから暫定値で、後日最終確定版も張り出されるけど。

 うちの自慢は授業内容の濃さと、それに伴う定期テストの難しさだ。もちろん教諭サイドからの自慢だが。教諭も選りすぐりで、公立なのに殆ど転勤もない。

 何が言いたいかといえば、生徒各員の合計得点が低いのだ。

 みんなして中学時代はトップクラス、テストも8割9割が当たり前だった連中だ。低い得点に全く免疫がない。みんなできてないということは平均も低い、条件的には一緒という事、頭で解ってても実際に自分の点を見たらショックを受けるんだろう。しかも今日一日でみんな最大6教科しか返してもらってない。でも自分の合計得点は発表されてる。それはつまり、明日以降に帰ってくるテストも悪いので心しておくようにとのお達しだ。

 ほぼ全員進学塾に通ったり、高価な家庭教師を雇ったりしているらしい。やってないような顔をして裏ではしっかり勉強している。

 それでもみんな、完全に打ちのめされてるんだ。

 塾や先輩、人によっては親兄弟に、うちのテストは難しいぞとさんざん聞かされてただろう。でも、こんなに頑張ったんだから自分だけはという思いは誰、しもあったんだろうな。

 そうそう、塾とかでは、他の学校は教えたり予想出来たりするけど、うちだけは無理だから、出来なくてもみんなできて無くって平均低いから気にするな、それでもめげずに頑張り続けたら、我々塾講師よりいい大学に行けるからと言ってるのだそうだ。

 はてさて、それっていいことなのか悪いことなのか?

 でもやっぱり特にダメージ大きいのが一年生。今朝の職員室前テスト結果ご開帳コーナーの前には、体の芯に数十キロの鉛が湧いてきたんじゃないだろうかってのがわんさかいたし、泣いてる女の子もいっぱいいた。あ、男も泣いてたか…。

 今(高)時点で将来何にとか考えてる奴はほとんどいないだろう。でも、取り合えず全力で頑張ろうと考えて、その結果に憂慮する。それっていいことだと思うし。

 俺の方は、任務も順調で評価高いし、わずか二か月少々で戦巫女(候補生)四人も見つけることができてほめていただいたし、最近結構上機嫌だ。

 ほんとに凄い事なんだ、それ。

 それらしいと思われる女の子をリストアップして、潜在霊力とか体力とか性格とか調べ上げて…最終候補とあいなりました四人をしっかりと見守って…。

 こんなこと言うと、まるでほっかむりして女の子の家とかを陰から覗いてるみたいだけど、とんでもない。

 戦巫女は七つの試練を乗り越えないといけないらしいから。あ、七つというのはいくつもの試練という意味らしくって、別に七個あるわけじゃないけど。これって、さっきに七人の戦巫女と同じニュアンスね。

 確かなのは、必ず一つ目の試練に遭遇する。

 でも、その時点ではただの女の子だから、怪我したり、場合によっては死んじゃったりしないように、きっちり護衛する。

 式神様の護符で監視して頂いているとはいえ、結構大変な事だ。

 有事の際には俺が駆けつける。

 その時、移転の護符の力で空間を瞬間的に移動するんだけど、これがまたきついんだよ…。異空間を通る時、ある程度の霊力があるものを転送するってのが前提なので、俺みたいにあんまり霊力強くないのだと、体が悲鳴上げてボロボロ。

 駆け付けたはなっから、そんな状態で女の子を助けないといけない。

 それでも頑張ったよ。ほとんどの場合、助けられるのはぎりぎり、終わったときにはこっちはぼろぼろ。

 なんせ俺は、遅ればせながらの修行の身。

 瞬間移動の際の衝撃緩和なんて、中学くらいに教わることができる簡単なものらしい。

 でも俺、そのころ人生最悪期で中学まともに行けなかったから。

 戦巫女(候補生)四人、つまり四回も滅茶苦茶、半死半生になりながら救って、そこからまた最大の難関というか、話したってわかってもらえるかどうかもわかったものじゃない、そんな類の話をして、戦巫女の運命を受け入れてもらって…。

 なんとか頑張りました。こんなことを二か月以上も。

 学校まで通ってるのは、全員見つけるまでにもう少し時間がかかるだろうと思っていたことに加え、見つけた後もつかず離れず保護してあげるためだ。もちろん教育というか、一人前になってもらうためのトレーニングをしてあげることも念頭に置いて。

 でも、あの子たちあんなに怖い目に合っておきながら、よく戦巫女の運命なんて受け入れてくれたなー。これからの修行も大変なのに…。

 あ、ところで、西洋の天使が何で日本に?と不思議に思うかもしれないけど、そもそも天使に国籍はない。天界に籍があるくらいかな。

 でも、先に言った通り、堕天使、つまるところ曾祖父さんが堕天してしまったおかげで、天界に俺の席はない。

 肩身狭いし、そのせいでひどい目にも合ってるのでなんとか籍を取り返したいと思ってるけど、そう簡単には行ってくれない。

 ただ、簡単にはいかないといっただけで、決して不可能な事じゃない。相当にハードル高いけどね。

 概念とか言葉とか相当難しい神学奥義的な事になるから、出来る限り平易に説明するけど、まあ、善行を積んで、任務をこなして、ポイントをたくさん集めればいいって事。ただ、天界に籍を回復させられるほどのポイントを獲得するのはそう簡単じゃない。それでもこうやって日々コツコツと頑張ってる。

 頑張り屋さんとい言ってくれる人と、馬鹿で身の程知らずという人、両方いるだろうな。

 

 

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