サード側ベンチに座る渡辺監督は終始顔をしかめていた。それもそのはず、先発・ワズティンがピリっとしないと思っていたら出す投手出す投手が失点し気が付くと11-2。岡本慎、そして9回の大沼以外は自責点が付いた。エラーや外野の後逸などで長打を許す場面も多々見られ、実に守備のリズムが悪かった。単にバッドラックとも思える部分もあったが、それを跳ね返す覇気が見られなかったのも事実だ。
 沖縄出身の剛腕が数多くのピンチを跳ね除け、今季初白星。前回登板に後悔が残るだけに嬉しい1勝だ。17日のソフトバンク戦に登板した大嶺は7回を無失点という好投を見せるも、後続のリリーフ陣が追い付かれて白星は消滅。この日9回のマウンドに上がって勝利投手になった荻野は「大嶺を勝ち投手にしてそういう(クローザーとして9回にマウンドに上がる)試合をしたかった」と語った。
 それでもめげずに26日の西武戦に登板。初回に早くも2点の援護をもらうが、その裏に満塁のピンチ。しかしここはクレバーなピッチングを見せて5番・G.G.佐藤をショートゴロゲッツーに抑えてピンチを凌いだ。5回にもゲッツーを奪うなど、モデルチェンジしたピッチングスタイルが光った。その後中継ぎ陣が3点を奪われるなど浮き足立つ場面も見られたが、8回のビックイニングに助けられ大嶺はプロ3勝目。報道陣の前でバレンタイン監督に頭を撫でられ笑う姿はあまりにも年相応なもので、とても150km/hを投げ込む剛腕には思えなかった。
 この試合で先制点を挙げたバーナムJr.は来日初打点。3回にもタイムリーを放つなど、3打数2安打2打点の活躍を見せた。




◇西武・中村、ホームラン放つも笑顔なし…オリックス・ローズ、通算450号◇


 この試合が始まるまでホームランダービートップタイだった男に笑顔はなかった。同日にスカイマークスタジアムで行われた試合で、同じくトップだったオリックス・ローズが一試合3本塁打で一気に二桁本塁打数に到達。試合を落とした上にライバルに引き離されてしまった。大敗ムードの中、8回にロッテ・中郷から7点差まで詰め寄る8号ツーランホームラン。しかしダイヤモンドを回る若き4番に笑顔はなかった。
 ローズは今日の8号ホームランで通算450号ホームラン。外国人選手では初の快挙だ。この日ローズはこのホームランを含む3本塁打。通算を452本塁打とした。


(編集員 K)

 全国的に大荒れの天気ながら、マリーンズ戦士たちの顔は明るい。ようやく連敗を脱した23日の対楽天戦、しかし続く24日の対西武戦でエース・涌井に打線が完全に封じ込まれて連勝ならず。唐川が好投していただけに、後悔が残る試合となった。連勝はならずとも連敗もならなかった、今シーズンは負けが続けば続き、勝ちが続けば続くという非常にアンバランスな戦績だっただけに、黒星が連続で付かなかったことは大きいだろう。
 今季二度目の登板の左腕エースはキレがあった。前回登板は6回を4失点と先発の役割を果たせなかったものの、今回は強力西武打線を4安打に抑える好投。ランナーを三塁に置いても7番・佐藤を見逃し三振を奪うなど一昨年を思わせる力投を見せた。対する帆足も渡辺監督が「今年一番の内容」と言うほどの内容だったが、7回にエラーから失点。5安打されたうちの2安打をこの回に集められた。しかしなんといっても伏兵の一打がこの試合を決めたと言っても過言ではない。
 プロ初のお立ち台に「実感湧かないですね」と笑う姿は、三球団を渡り歩いてきた苦労人にしては幼く感じた。7回にサブローが先制タイムリーツーベースを放った直後、尚もランナー一二塁の場面。バレンタイン監督が代打に指名したのは、プロ6年目の苦労人・新里賢だった。アウトコースのストレートを踏み込んで打った打球は一塁手の頭を越えライト線へ。ライト・G.G.佐藤が滑り込んで抑えようとするも届かず、転々とフェンス際まで転がっていった。プロ初打点はライトスリーベース、三塁ベース上に立つ新里は顔を綻ばせた。
 直後の7回裏に成瀬が残したランナーを二番手・伊藤が還してしまったものの、バトンを受け取ったシコースキーが断ち切って3-2。逆転を許さない継投で守護神・荻野が9回のマウンドへ。二死から片岡を遊撃手内野安打を許してしまったものの、2番・栗山を見逃しの三振に打ち取ってゲームセット。二つ目のセーブをマークした。
 ビジター応援デーの今日はライトスタンド全体にマリーンズサポーターの姿があった。ロッテのマスコットキャラクター・マーくんに手を引かれ「背番号26」を掲げる姿は初々しい。去年から内野手兼任のキャッチャーは、見事に少ないチャンスをモノにした。


(編集員 K)

 平成の怪童は日本一、アジア一、そして世界一を経験した男に届かなかった。
 先日の4月23日、マリーンズ先発・小野と打線が噛み合っての連敗ストップ。チームのムードもそのままに連勝を狙いたいマリーンズは翌日の今日、先発陣でNo,1の安定度を誇る唐川が登板。しかしそんなマリーンズの前に西武のエース・涌井が立ち塞がった。
 悔やんでも悔やみきれない。唐川は先発投手として責任を十分に果たしているとはいえ、決して打たれて良い場面ではなかった。同点で迎えた6回、2アウトから昨年のホームラン王・中村の打球はバックスクリーンを直撃。マウンドに立つ19歳の若きピッチャーは天を仰いだ。先制された直後、マスクを被る里崎が2号ソロホームランで振り出しに。「女房役として先制された直後に援護できたのは、すごく嬉しい」と語った里崎に応えることができなかった。
 それでも下を向くことは許されない。再びキャッチャー・里崎に向き直り、後続を断ち切った。7回も三者凡退に抑えたものの、8回先頭の9番・ボカチカに再びソロ。3番・中島にあわやホームランというフェンス直撃のツーベースを打たれたところで唐川は降板。しかしそれでも7回2/3、6被安打2四球は責められる数字ではない。低めに球を集める丁寧なピッチングは貫禄さえ思わせる投球だった。
 対する涌井は今季初完投。9回4被安打3四球1失点、12奪三振は圧巻の一言だ。2回に先頭の4番・井口に死球、続く5番・橋本に四球を与えるなどややボールが先行していたが、それでも勝負所のストレートに力があった。西武の若きエースは今年も健在、3勝目をマークした。




◇正捕手・里崎に復調の兆しか◇


 世界一を経験した男が遂に目を覚ました。4月22日まで.176だった打率も.220まで上がり、今日もバックスクリーン右に吸い込まれる2号ソロホームランを放った。17日のソフトバンク戦から3試合無安打に終わっていたが、23日の楽天戦で3安打をマーク。復調の兆しが見えてきた。
 女房役の目が覚め始め、投壊寸前の先発陣も奮起するか。


(編集員 K)