紅糸石硯 1
雲蝙文 紅糸石硯
月下蓮汀文 紅糸石硯(土瑪瑙)
憧れていた硯、いいなと思うものただ集めました。確かな知識や本物を見た経験はありませんでした。端渓硯以外は、洮河緑硯や紅糸硯は北宋時代に枯渇した伝説の名硯。
ときどきCHINAや日本のサイトで検索しました。底本みたいなものがあるようですが、情報が錯綜していました。実物を観て書いていないような気がしました。使用レポートはみたことがありません。
紅糸硯がいかなるものか、明確に示した資料を見つけることはできませんでした。
私が入手した紅糸石硯四面について感じた事を思うままに述べます。
四面のうち二面は瑪瑙文様でした。
雲蝙文 紅糸石硯
大硯
たて 206、よこ 255、たかさ 53
6100g
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/98/05/j/o1000075014633480712.jpg?caw=800)
月下蓮汀文 紅糸石硯(土瑪瑙)
大硯
たて 170、よこ 252、たかさ 47
4100g
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/6d/bc/j/o1000075014633480715.jpg?caw=800)
墨を磨ってみると紅糸石硯と土瑪瑙石硯の違いが一目瞭然です。
墨のすり心地を試したのは鉄斎墨の古いものを用いた。
紅糸石硯は吸いつくようなすり味で、摩擦感はありません。きわめて楽しい感覚を覚えます。端渓硯より高評価を受けていたことがわかります。墨色は艶がありすっきりとして、凛としています。墨もひじょうにたやすくおります。滲みも筆速に応じて素直に表現されるようです。
土瑪瑙石硯は硬くてツルツル。なかなか墨が磨れません。見た目は美しいです。瑪瑙なのです。
むかって左が紅糸石硯。普通に磨りました。
むかって右が土瑪瑙石硯。紅糸石硯の3倍以上時間をかけて磨りました。それでも降りていません。薄いです。
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/81/41/j/o1000075014633480721.jpg?caw=800)
唐代には青州の紅糸石硯は四代硯の最上位でした。晩唐期や北宋の文人墨客は紅糸石硯を第一位とし、端渓硯を第二位、歙州硯を第三位と考えていました。宋代の蘇軾などの士太夫や文人墨客が高く評価し愛用。
紅糸石は唐代の中和の頃から採掘がはじまり、硯材の層が薄く量も少なかった。宋代には硯材はとれなくなった。
さすが蘇軾が愛用したと云われる紅糸硯として文人墨客の憧れであったと思います。
本来の紅糸石硯の量は僅かで、以降に生産された土瑪瑙石を使った硯の方がはるかに多いように思います。古来から、現在でも紅糸石硯は入手不能といわれています。
文人文化
文人の多くは科挙をとおった超エリート。少なくとも地方長官、宰相はあたりまえ。リタイアしても年金暮らし。
日本の茶道と似てます。茶道の担い手は武将だったようです。
何れも「清貧」の思想を重んじていたそうです。。侘び、寂の思想も白居易の漢文に感じられると思います。
日本の茶道と似てます。茶道の担い手は武将だったようです。
何れも「清貧」の思想を重んじていたそうです。。侘び、寂の思想も白居易の漢文に感じられると思います。
茶道の場合茶碗、茶壺、茶入れなど武将のステイタス。
文人の場合は「紅糸石硯、洮河緑石硯」と思います。いずれも値千金、一国ほどの値打ち。
硯の観賞会=「洗硯会」では美しい瑪瑙文様の紅糸石硯(土瑪瑙石硯)の美しさは群を抜いていただろうと思います。姿の紅糸石硯として価値があったと思います。
紅糸石硯の年代推定・・・・北宋時代
硯のことを調べていたのですが、驚きました。端渓硯の外に、洮河緑石硯や紅糸石硯について調べていました。洮河緑石硯の一面に不明なものがありました。デザインも古いのか新しいのかわかりません。裏の隷に「林甫」とありましたが、CHINAのサイトで検索しても長い間謎でした。最近の検索で判明。北宋時代の詩人で隠者。宋朝の仁宗皇帝から謚“和靖先生“賜ったほどの文人墨客。その洮河緑硯の意匠と同じなのです。つまり北宋時代の紅糸石硯。昔から入手不可能といわれた紅糸石硯なのです。驚きました。
唐宋時代と明清時代は美意識、デザインなどが異なっているように感じています。
土瑪瑙石硯の年代推定・・・・清朝
他の2面の紅糸石硯の年代は清朝で、清朝時代に硯の観賞会=洗硯会で需要が高まったと思います。瑪瑙文様の紅糸石硯は見栄えがしたと思います。
紅糸石硯の詳細
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/b7/53/j/o1000075014633480729.jpg?caw=800)
![イメージ 5](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/a1/9e/j/o1000075014633480734.jpg?caw=800)
![イメージ 6](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/2a/9d/j/o1000075014633480739.jpg?caw=800)
![イメージ 7](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/16/82/j/o1000075014633480744.jpg?caw=800)
![イメージ 8](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/92/72/j/o1000075014633480749.jpg?caw=800)
紅糸は石の層の中に・・・・平行
![イメージ 9](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/5c/12/j/o1000075014633480752.jpg?caw=800)
![イメージ 10](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/7a/8a/j/o1000075014633480757.jpg?caw=800)
![イメージ 11](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/ce/8a/j/o1000075014633480762.jpg?caw=800)
![イメージ 12](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/6e/84/j/o1000075014633480765.jpg?caw=800)
土瑪瑙石硯の詳細
![イメージ 13](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/d0/9d/j/o1000075014633480770.jpg?caw=800)
![イメージ 14](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/32/bc/j/o1000075014633480773.jpg?caw=800)
![イメージ 15](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/67/e2/j/o1000075014633480775.jpg?caw=800)
![イメージ 16](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/d0/b6/j/o1000075014633480780.jpg?caw=800)
瑪瑙文様は石の層の重なりとと90°
![イメージ 17](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/6d/74/j/o1000075014633480784.jpg?caw=800)
![イメージ 18](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/9a/48/j/o1000075014633480787.jpg?caw=800)
![イメージ 19](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/37/b0/j/o1000075014633480789.jpg?caw=800)
![イメージ 20](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/e8/a1/j/o1000075014633480793.jpg?caw=800)
![イメージ 21](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/77/bf/j/o1000075014633480796.jpg?caw=800)
![イメージ 22](https://stat.ameba.jp/user_images/20191106/22/kanjakuan/df/8f/j/o1000075014633480799.jpg?caw=800)
でも、違いがよく判るのは触感だとおもいます。紅糸石硯と土瑪瑙石硯は見た目も違いはわかりやすいですが。触感は明らかにちがいます。
気がついたのは洮河緑硯と緑端溪硯。見た目にはほとんど色はおなじ。石の層がわずかに異なる。ところが触感は大違い。洮河緑硯と端渓硯はちがいます。石の硬さや粒子が。温感もちがいます。
資料にはかかれていません。実物を手にとって撫でまわさないとわかりません。
ここに紹介した古硯たちは裏面も磨かれ、撫でるように観賞されたように思われます。愛玩です。