65歳、人生最後の就職先が決まった。
通勤に必要な足は、1ヶ月前子供から誕生日祝いでもらったバイクがある。準備万端。
これで、住宅ローンの支払いとばあさんの介護費と最低限の生活費が確保できた。
女房はパートに出なくていいし、好きな(と言う訳ではないが)活動も楽しく専念できる。
女房の夢だった東京行きは現実になって、着て行く服の品定めをしている。
眠れぬ夜の綱渡りごとき私生活は、妻や子や兄弟にハラハラさせ通しだった。
落ち着いて振り返れば、そんな私を、妻は一言も批判しなかった事に気づく。
もっと深く覗き込めば、すべて、黙々と祈る女房の思い通りになっているようだ。
