つづき


昼の部、続いての演目は
艶容女舞衣より【酒屋の段】


このお園のクドキは、
文楽の本に必ず掲載されている有名な場面ということで
とっても楽しみにしていましたが


ダメでした。。

私、お園さんみたいな女性苦手~。


お話としては
不謹慎かもしれませんが、
故ダイアナ妃とチャールズ皇太子を思い出す様な人間関係です。

親に決められた結婚をしたお園と半七。

しかし、半七には馴染みの芸者三勝がおり
彼女との間に可愛い子供まで産まれていました。
結婚した後もお園には手も触れず
三勝の元へ通い続ける半七。


怒ったお園の父親が離縁させると言ってお園を連れて帰るのですが
お園がずっと嘆き悲しむので
また改めて半七の元へと連れてやってきた。

という所から舞台はスタートします。



半七の両親、つまりお園の義理の両親と
お園の父親との間で
戻らせてくれ、それはならん、などなど色んなやり取りがあるのですが
どちらの親も、我が子が可愛く
また、相手の事を想う心にあふれています。


ちょっとお園には聞かせられない話があるということで
三人が奥の間へ行った後
お園は半七への想いを一人語ります。


ここからがお園のクドキ
でも、このお園、今の感覚で言えば

とにかく怖い!


 今頃は半七様、どこにどうしてござらうぞ。

という有名な一文から始まるこのお園の独り言を
私なりの解釈で訳すと(間違っていたらごめんなさい)


私さえ居なければ、
子供まで為した二人の間をお義父さまが許される可能性もあったでしょうに
あぁ、私、去年の秋に病に伏した時に
死んでしまえば良かった。

愛される事は無いと解っていながら
本当の夫婦にはなれなくてもお傍に居たいと辛抱して
今まで生きながらえた事が半七さんを苦しめている。

一年前に死ぬ覚悟ができなかった
堪えてください半七様。

明日にでも
半七様の便りを聞く事があれば
私は思い死にしてしまう事でしょう。
もう生きてはいられない、死ぬ覚悟はできています。

たとえ嫌われていても
夫婦としてこの家で死ねたなら
来世でのご縁に繋がるかもしれない。。



いやいやいやいや
お園さん怖い!

どこがどう怖いかって
なんとも言えず全体的に怖い!


私が半七でも嫌やわ。。
これやったら、悋気を見せて
半七さんのバカ!!私の事も見て!!って言ってくれた方が良い気がする。

なんとも言えないこのねっとりした感じ。

自分が居る事で半七を苦しめている事なんて
分かりきっている事やったんじゃないかなぁ。
それでも別れなかったという事は
なにか理由があったのでしょうか。


個人的には
三勝が芸者って事でちょっと下に見てるんじゃないの?
自分が離縁されて、三勝が嫁になるなんて我慢できないだけなんじゃない?
って下衆の勘繰りをしてしまいます。


最初から観て聴いてみれば
このお園の恋心(執着心?)にも納得できるんでしょうか。



最終的に
半七と三勝は二人の間に産まれた子お通を半七の両親に預け
心中を決意します。

家の前で
死ぬ前に一目娘に会いたいと嘆き悲しむ三勝

一方、家の中で
お通を抱いてあやすお園


この最後のシーンでは
寒々しい家の外で、死に向かい、ただただ悲しみにあふれる三勝(と半七)

温かい家の中で、赤ちゃんを前にした時の喜びと希望にあふれるお園(と3人の親)
との対比が印象的でした。


どう考えても、三勝が可哀想。

ただ半七と恋しただけなのに
結婚を認めてもらえず
事件に巻き込まれ
子供と別れて死んでいかなければならないなんて…

この物語のヒロインは、
お園じゃなくて三勝でしょうよ!!



納得できないわぁ。。
と思って、今床本を読み返してみれば

最後の語りはこんな感じ

 大和五条の茜染め、いま色上げし艶容。
 その三勝が言の葉をこゝに、写して留めけれ


やっぱり~!!

これって、三勝のための物語だっていう解釈で合ってます?

やっぱり、そうですよね!

お園のクドキがクローズアップされてますが
三勝が悲劇のヒロイン。


これなら納得です。



三勝と半七の物語を観て聴きたいけれど
これも悲恋かぁ。。


ハッピーエンドを観て聴きたいです。