ギターレッスンと教則本のリテラシーと規範
ギターが大好きなお友達のみんなチャオーン♪(´ε` )半年ぶりのウンコ●だから今回カチカチのヤツだから目次- 近年のレッスンと教則本事情- なぜ参考文献が掲載されないのか?- 俺、私のアイディアをパクるな!?- 海外サイトからパクろう?-リテラシーと規範のあり方- 天に唾を吐いたところで- 注釈- 参考文献- 参考文献が掲載されている教則本【近年のレッスンと教則本事情】 現在youtubeやblog、instagram、twitter、など「これが無料?」と驚くような優れたコンテンツが次々シェアされ新しい視点が広がっています。 しかし一方で「参考にしたサイトや動画、教則本を掲載せずに」自分のコンテンツに組み込んで配信するケースも見られます。音楽キャリアが長い人ほど「これはあの本で見かけた内容だな」、「あのミュージシャンの影響を受けた発言だな」、と感じられているのではないでしょうか。 ネットのネガティブな側面だと反射的に思いたくなりましたが、参考文献を掲載しない慣習はネットに始まったことではありませんでした。一つ前の媒体である「教則本」にどれくらい参考文献が掲載されているのかを大型書店や楽器店で確認してみました。________________________________________・声楽関連の教則本 10/60冊 16.6%・対位法や作曲、和声論 1/60冊 1.6%・ギター教則本 1/230冊 0.4%_________________________________________ 販売中の教則本を全て確認したわけではありませんが特にギターが参考文献を掲載する慣習がないようです(*1)。(本文中に著者オススメのアーティスト、CD、DVD、楽譜の紹介という参考文献に近い形式をとっているものは多いです。)【なぜ参考文献が掲載されないのか?】 参考文献が掲載されない理由には何が考えられるのでしょうか?ウィキペディアや法律関係のブログを覗いてみました。・まず他の書籍から引用文がなければ参考文献を掲載する必要はありません。 ・次に教則本は「オリジナリティに価値が置かれた一種の作品」だと捉えられます。 基礎的なリズム、メロディ、コード、プログレッション、などは「自然科学に関する論文」に位置付けられるため、著者は「独自の新しいコンセンプトやアイディアを」を加える必要があります(*2)。 これが教則本の基本的な形で私たちに馴染みのあるハウツー本です。・アイディアやコンセンプトは潜在的なニーズから同じタイミングでよく似たものを考えつく人が複数います。先発の権利と後発の権利のバランスをとって情報発信に柔軟性をもたせています(*3)。・そしてコンセンプトやアイディアの「固有名詞」は、情報が拡散されるにつれて「普通名称」として定着するため、最初に誰が提唱したのかわからなくなります。普通名称化してしまうと著作権は主張できなくなります(*4)。(代表的なもので言えば、CAGEDシステム、3ノートパーストリングなどが挙げられます。) こうしてみると教則本の実情は込み入っており、参考文献の掲載率の低さを一概にリテラシーと規範の低さに結び付けられません。ギターは新しい文化のため、まだ開発余地が十分にあります。むしろ厳格さを持たないことでギターが活発に発展してきた側面もあると言えそうです。【俺、私のアイディアをパクるな!?】 参考文献を掲載しない最大の問題が盗用疑惑です。孔子のことわざには「君子は李下に冠を正さず、瓜田に履を納れず」とあります。【なぜ参考文献が掲載されないのか】 で述べた事情を考慮し盗用とは言えない行為であったとしても、疑いを持たれないための配慮が必要になります。 特に無断転載している側、転載していると疑われてしまった側の、収益と社会的評価が大きくなるとトラブルに発展します。無断転載された側、転載されたと感じた側は、本来自分が受けるはずの対価と評価を奪われ、他人が受け取っていると解釈します。 書籍であれば少なくとも資料にお金を払っていますが、ネットの無償で提供された情報を使用しコンテンツの発信やレッスンを行っているとなれば、さらに批判は強まります。 【英語サイトからパクろう?】 盗用が隠れてしまうケースとして、英語サイトから無断で転用しアレンジを加えて使う方法が挙げられます。 エフェクターの個人ビルダーがチューブスクリーマーの回路を自分のオリジナル商品として販売したり、ワウペダルのラベルだけ自社ブランドに貼り替えて転売した問題によく似ています。 盗用に用いられたサイトは特定しずらく、被害を受けている人も日本語サイトを訪れる機会はほとんどないため、事態が発覚しません。仮に発覚したとしても日本語を理解してクレームを伝えるのが難しいこともあり、コンテンツ不足解消に悪用されやすいリスクを持っています。 もちろんご自身の英語能力を生かして有益な情報を提供しておられる方もいらっしゃいます。しかし情報を発信する人間の増加に伴い、今後ますます懸念される問題だと言えます。【リテラシーと規範のあり方とは?】 ここまでの内容を踏まえてどのようなリテラシーと規範が私たちに必要なのでしょうか?残念ながらフェアで堅苦しい情報より、アンフェアでも面白い情報に、著者もユーザーも管理者も流れてしまいがちです。テンポの速いネットではなおさらです。 著者は普段から参考文献を適切に示すことが大切です。参考文献を掲載する義務は実質ほとんどありませんが、情報発信においてフェアな著者だと理解されていれば、評価と対価を得た際にも「私たちの情報の総体」として信頼されます。 より難しいのがユーザーのあり方です。問題のあるコンテンツを利用しない「不買運動」に当たる姿勢が必要になります。しかし興味がある情報がフェアであるか否か判断し、なおかつ「タダであっても触れない」ように心がけるのはかなり難しい要求かもしれません。情報を提供している出版社、プロバイダー、サーバーなどの管理者側の問題も同時に考える必要があります。そうなるとやはり著者が先に立ってリテラシーと規範のモデルを示すことから始めるべきだと思いました。【天に唾を吐いたところで】 現状を批判しようと記事を書き始めましたが、まさに自分自身のブログに言える問題でもありました。自分のオリジナリティを守ることには敏感でありながら、他の誰かのオリジナリティは無頓着に拝借してしまいがちです。日記の延長で気楽に始め、直リンクのような初歩的なネチケットも意識していませんでした。 権利関係がブラックのyoutubeを視聴したり、紹介しています。また普通名称化した情報だと思い込んでいるものについては参考文献を省略していることも多いです。画像がないと記事が寂しいのでグーグル検索した画像を©、™、®表記なしで無断転載したことも何度かあります。 誰もが誰かの音楽を聴いて、本を読んで、動画を見て、レッスンを受けたりしながら楽器に触れていきます。それを正直に掲載することは、著者の言葉をより説得力のあるものにするためにも、ユーザーの学習のためにも非常に大切だと再確認しました。 私の先生は練習の素材を提供する時だけでなく、アーティストの発言や教訓でさえも誰のものなのか教えてくれました。そのことをもう一度思い出し、今後の記事をよりフェアなものにしていきたいです。【注釈】*1 参考文献が掲載されていれば必ず良い本という意味ではありません。掲載されていないものでも良い本はあります。 身体論や解剖学的な見地を扱う「声楽」では、参考文献の掲載は比較的多いと考えられます。また理論関係の本は、すでに著作権が切れている古い文献を参照したり、「自然科学の研究」に相当する情報の割合が多いために、参考文献が掲載されていないのだと推測できます。*2 とりわけロックやポップスにおいてオリジナリティは重要視されます。ギターはロックやポップスで使われる機会が多く、教則本もそれにならいオリジナリティがあるものが好まれる傾向にあると考えられます。 音源であれば「歌詞」や「演奏」が加わりオリジナリティを主張しやすいですが、ハウツーでは、どこまでが「自然科学」で、どこからが「独自の視点」か判断が難しいです。またギター教則本としては新しい情報でも、他の分野から見たすでに一般化している情報を取り入れたアイディアは「独自の視点」と見なせるかわかりません。*3.4 先発のアイディアとコンセプトもいずれは淘汰と分類を経て普通名詞になり、「自然科学の法則」に体系化されます。先行研究の権利があまり強固だと、後発研究になるほど先細りになって発展を妨げてしまうので、著作権はそのバランスを様々な判例から規定していきます。詳しくは参考文献を見てください。【参考文献】・https://ja.wikipedia.org/wiki/ハウツー・https://ja.wikipedia.org/wiki/参考文献・https://ja.wikipedia.org/wiki/著作権・https://ja.wikipedia.org/wiki/普通名称化した商標一覧・https://ja.wikipedia.org/wiki/無断リンク・weblio辞書・「音楽著作権侵害の判断手法について -『パクリ』と『侵害』の微妙な関係」弁護士 唐津真美(骨董通り法律事務所 for the Arts)・コラム:クレイ・ジョーンズが語るジョン・ランドグラフとボブ・バートの真実、そして日本のブティックペダル市場の夜明け 前編/後編(Gear Otaku)・Vertex Effects、AXIS WAH がBBE Ben Wah の外観を変えただけの製品と認め謝罪。回収、返金へ(Gear Otaku)【参考文献が掲載されている教則本】参考文献が掲載されている教則本を一部ですが紹介します。・ギター譜で学ぶ 新楽典 ~実践的音楽理論の手引き~現代ギター社( 2013/9/19)小川 伊作 (著)・どうして弾けなくなるの? <音楽家のジストニア>の正しい知識のために音楽之友社 2012/7/27ジャウメ ロセー イ リョベー (著), シルビア ファブレガス イ モラス (著),平 孝臣 (監修), & 2 その他・よくわかる日本音楽基礎講座―雅楽から民謡まで わたしたちの文化を知ろう、伝えよう–音楽之友社(2006/8/1)福井 昭史 (著)・ヴォイス・ケア・ブック: 声を使うすべての人のために音楽之友社( 2017/10/5)ガーフィールド・デイヴィス、アンソニー・ヤーン 著/竹田数章 監訳/他 訳・愛のうた: バッハの声楽作品春秋社(2017/6/26)マークス・ラータイ (著), 木村 佐千子 (翻訳)・声の科学: 歌う医師があなたの声をデザインする音楽之友社(2016/7/25)斉田 晴仁 (著)・決定版! 高い声で歌える本 (高音拡張のためのトレーニングCD付き)リットーミュージック( 2015/9/25)高田 三郎 (著)・ことばが届く歌い手になる: 「日本語を歌う」ための発声法と太郎次郎社エディタス(2015/7/1)飯村 孝夫 (著)・歌唱の仕組み音楽之友社( 2014/11/26)リチャード ミラー (著), 岸本 宏子 (翻訳), 八尋 久仁代 (翻訳)・偉大なるオペラ歌手たち[男声編] ~カルーソー、シャリアピンから三大テノールへの系譜~ 【CD-ROM付】ヤマハミュージックメディア(2014/6/21)リシャール・マルテ (著), 安川 智子 (翻訳), 室井 茜 (翻訳)・声優実演CD付 いろんな声が出せる! 歌がうまくなる! 超ラク! 物まねボイストレーニング主婦の友社(2013/12/9)羽島 亨 (著)・CD付き 奇跡のハイトーンボイストレーニングBOOK主婦の友社(2013/11/13)弓場 徹(著)・「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム―いまの発声法であなたののどは大丈夫ですか音楽之友社( 2004/11/1)萩野 仁志 (著), 後野 仁彦 (著)