今でも覚えてる。

「あのエネルギーはどこ行ったんだ!!」




14歳の夏。。。


かねやんは思春期真っ只中。


どれくらい真っ只中というと、電車でノースリーブの女性を見つけたら、ギンギンにボッキしてしまうほどの思春期やった。


当時はよく言い聞かせた。


「息子よ。ノースリーブでギンギンやったら、

今後、生の女性のシタギ姿なんか見てしまったら、おまえはおれの下半身から飛んでいってしまうんちゃうか?」



スポンッ!!!

なんて音を立てて。



だけど28歳になった今も息子は無事に俺の下半身に付いている。(念のため)





そんな思春期の真っ只中。



当時、かねやんはガラケーは持っていたものの、

いわゆる「え っ ち な動画」を観れるほどの機能は無く、


興味をそそるものといえばやはり



エロ本だった!!!!!




特に興味を引いたのは、


漫画系よりは、本物の女性が写っている

コンビニの18禁コーナーにあるような、

エロ雑誌だった!






14歳の朝。

その日、俺は見つけてはいけないものを見つけてしまった。



それは当時30代のお世話になっていた、ある男性宅へ泊まりに行った時のことだった。


その男性は、うちのオカンと仲が良かった。


そして俺はその男性、【Nちゃん】としよう。

Nちゃんがよく遊んでくれたので好きだった。


Nちゃんは小さなアパートに住んでいた。


当時のうちの実家から自転車で30分ほどの距離にNちゃんは住んでいて、よくオカンの許可をもらって、1人でNちゃん宅に泊まらせてもらうことがあったわけだ。



そんな、俺がNちゃんの家に泊まりに行った日の夜に事件は起きた。


Nちゃんは部屋にあったゴミ袋をアパートの脇にあるゴミ捨て場に捨てに行くから、一緒に行こう!と誘ってくれた。


「そのあとラーメンでも食べにいこう(^^)」と優しい笑顔で言ってくれた。


『やったー(^^)!!』

無邪気に声変わりもしていない甲高い声をあげた、俺の頭の中は、美味しそうなラーメンでいっぱいだった。



2人でゴミ袋を持って、ゴミ捨て場に向かった。


ゴミ捨て場は、どうやら鍵はかけられていないらしく、

Nちゃんは、鉄の扉を「よっ」と言いながら開けた。


ゴゴゴゴと、独特の音を立てながら扉は開いた。



「いやー腹減ったねえ」とNちゃん。


俺も、ゴミ袋を定位置に置き、

ゴミ捨て場から出ようとしたその時だった。





!!!!!!!!!

「ぬぉ!!!!!!!!」



先に言っておこう。


この「ぬぉ!」という声をあげたのは僕ではない。

もちろん心の声でもない。


そう、「息子の声」だった。



俺が目にしたのは雑誌を捨てるコーナーに置かれたエロ雑誌の山だった。。。




雑誌の表紙を飾っている女優と目があった気がした。

すぐに息子はゴミ捨て場の天井に向けて立位する。


想像できるだろうか?


あなたの1番興味のあるものが、

急にあなたの現実に現れたときの驚きを。



14歳の少年にとって、「エロ」とは

神であり、全てだ!!!!


信仰しているのは「エロ」で、救いは「エロ」だ!!

何より学びたい教科は「保健体育」という猫を被った

「エロ」なのだ!!!




そんなモノとゴミ捨て場で出会えると誰が思うだろう。



15年ほど生き別れになっていた兄弟がサラッとコンビニに現れたらどうだろう?

「あれ?元気?」みたいに。


脳天をカチ割られる思いだろう。


それと同じ衝撃がその時はあった。


14歳といえばお金もない。

パソコンもiPhoneもない。

コンビニや本屋でアダルトな雑誌や本を読むことなんて出来るわけがない!!!


わかるだろうか?


思春期の頃に「古本市場」で、こっそりエロ漫画を立ち読みしている光景を同級生に見られたときの末路を。(実体験)


「うわ!!!エロいの見てる!!みんなに言おう!

うわ!!!!」


そうはやし立てられるのだ。


今なら言える!




エロいの見て何が悪い!

下半身ブリッジ封鎖できません!!!




でも、中学生にとって、失態の最上級である

「エロに露骨に関心を示した」というのを


学校で言いふらされそうになったとき

命の危機すら感じるのだ!!!





そんな腫れ物に触るような存在。。。



それをゴミ捨て場で見つけてしまった。


俺の目には積まれたエロ雑誌はこう見えた。




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辛かった。


とにかく今すぐ手にとって拝みたかった。



「ラーメン何食おうか?」


Nちゃんにそう聞かれたが、俺の頭の中にとうにラーメンは存在しなかった。



細くくびれた麺は、


細くくれびれた腰に変わり


膨よかな味付け卵は、


膨よかな、お○ぱい、に変換された。


美味しそうなラーメンの汁は。。。。

あああ!!!もうだめだ!!!


アメブロさんから記事が削除されちゃうからもうこれ以上言えないんだ!!!(はやく他で書けよ)



「あ、うーん、あれだね、醤油ラーメンかな」



やっとの思いで理性を保ちNちゃんに返事をする。


「ラーメン何食べる?」と聞かれて、


「お○ぱいに決まってんだろ!!!!」と叫びたくなる衝動を抑える。




ラーメン屋さんで麺をすするが味がしない。



ラーメン屋を飛び出してゴミ捨て場に走ろうかとも思った。


だけど、Nちゃんにそんなことがバレてはいけない。


Nちゃんと過ごす時間はとても好きだった。

誰より優しいお兄さんだった。

だからそんなNちゃんと過ごす時間は俺にとって大切な時間で、

Nちゃんといるときは、とにかく心がワクワクしていて、


その時もラーメンを食べながらNちゃんとの時間にワクワク。。。。



ちがう!!!!!




できない。。。


うそだろ。


許してくれ、Nちゃん。



おれはいまハッキリとわかった。


おれは、Nちゃんといるのに、Nちゃんといない。

そうだ。。。俺はオスなんだ。


頭の中はずっと


「あのゴミ捨て場からどうやってブツを取り出して自分の家まで運ぶか!!!」




それだけだった。



もはやラーメンの味も値段もどうでもよかった。


メンマを噛むことすらおとろしかった。


途中、Nちゃんが「うまいねラーメン!」と言ってきたが、ふと「うるせえ!もう帰らせろ!」と言いそうになった。




「う、うん、うまいね」(味などしない)



そのあとは言うまでもない。


風呂の時間もテレビの時間も寝る時も、


俺は息子と何度も家族会議をした。




「オマエ、正気か?」



息子は答えた。


「はやくしてくれ!もう限界だ」





翌日Nちゃんと別れを告げ、


実家に帰った。


その日の夜、オカンから「どうやった?」と聞かれ

「母上様、行ってまいります!」と戦場に向かうがごとく


「おかん、ちょっと行ってくるわ!」と告げて

自転車にまたがった。



「どこ行くの?」と聞かれたが、風のように颯爽と自転車を漕いで、俺はある場所へ向かった。





言えるわけがない。






ゴミ捨て場に用があるんだ!なんて。



ゴミ捨て場に俺の青春があるんだ!なんて。



ゴミ捨て場に置いてきた女がいるんだ!なんて。






自転車を漕ぐこと18分。

本来は30分かかる距離を18分に縮めたのは、


俺の足の筋力でもなければ、背筋でもない。


息子だ。



俺の息子が、自転車を漕いでる間にも


ギンギンになりながら司令塔としと


「さあ、こげ!!いけ!!!ほら!


はやく!!黄色信号関係なし!


俺の方が黄色信号だ!もう発射しちゃうよ!」


と、俺に叫び続けてきた。



Nちゃんのアパートの近くに自転車を止めて、徒歩で現場に近づく。


犯人は現場に戻るとはこのことだろうか。などと頭の中で妙れに冷静になる。



ゴミ捨て場にこっそり近づく。


ここでふいに頭の中で不安がよぎる。


もし


Nちゃんと遭遇したらどうする!!!



ゴミ捨て場の中にいたら!!




そんな起こる確率の低いことが頭をよぎる。



とっさに

「あ、Nちゃん家ここだったんだ?」という言い訳を思いつくが、

昨日泊まりに来たばかりなのに通用するはずもない。

驚くほど思考回路が破綻している自分を落ち着かせる。


深呼吸して、ゴミ捨て場に入る。

頼む!!!あってくれ!!

あの雑誌がすでに、業者に持っていかれていたら、俺は一生、ごみ収集という職業についている人間を嫌いになるだろう。

たのむ!!!




「あった!!!」



10冊ほど積まれた雑誌の中から

14年間生きてきた中で、過去最速のスピードで、

2冊のエロ雑誌をえらびぬく。


そのときの俺のI.Qは200を超えていたかもしれない。


そこでふと、袋もカバンも持ってないことに気がつく。



。。。仕方なく穿いていた短パンの中に入れる。


そうだ、ズボンの中だ。



短パンの中に雑誌を2冊入れ、自転車にまたがる。


とてつもない高揚感だった。



ルパン三世になった気分だった。



俺はゴミ捨て場から「青春」を盗み去ったんだ。



心臓が高鳴る。

大きく脈を打つ。


どくんどくん!


信号待ちのたびに

焦らされてる気分になる。


実家に帰り、こっそりと自分の部屋に入る。


おかんが寝た頃を計らい、布団の下に隠して置いた雑誌を取り出す。



そこでようやく気がついた。





「40代ジュクジョモノ。。。」






自分が手にしている2冊の雑誌が


思っている年齢の女性ではなく、


少しふくよかな女性が表紙を飾っていた。




思春期だからといって何でもいいわけじゃない。




その心の叫びは誰にも届かない。



ゴミ捨て場が暗かったことは間違いない。


だけど、表紙をちゃんと見たはずだった。


かなり動揺していたのだろうか。



14歳の少年には、40歳のハダカの女性は、

怪物に見えた。


それはまるで、昔話にしか登場しないような、妖怪にすら思えた。(当時の話だ。いまは女性をリスペクトしている)



仕方なく、その雑誌を近くのゴミ捨て場に捨てた。




それから5日くらいは、息子が口を聞いてくれなかった。



かなりショックだったのだろう。


2日も待ったんだ。


あのときのエネルギーは


どこいったんだ!!!!







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