ピグノニアが咲いた。
ピグノニアはカレーの香りがする。
ピグノニアは実はとんでもない蔦である。
庭中に蔓を這わせる。
三面の塀に取り付いている。
コノテガシワの天辺、濃緑の中で黄色く目立つ。
昔のことだが教科書にギリシャ的抒情詩が載っていた。
抒情詩は喜怒哀歓を湿度の中で発酵させたもの。
しかしギリシャ的は乾燥した抒情であった。
感想を百字で書けと言われて弱った。
まったくお手上げであった。
わからないものは書けない。
ところが六十年経って。
-ただ青いスモモの藪から太陽が出て
またスモモの藪へ沈む
少年は小川でドルフィンを捉えて笑った
の詩において、ドルフィンはポセイドンの使い。
幸運を先導するという神話解説を読むと何かが分かる。
-岬のはずれに少年は魚つり
青い芒の小径を帰るのか
とどこか感じが通い合いませんか。
ご存知、いい日旅立ちの歌詞、二番ですが。
うまく説明できないのはこなれていないからだな。