「ラクダの背中に揺られて、マルコポーロの船の上……」
3月28日は「シルクロードの日」。シルクロードといえば東洋と西洋を結ぶ砂漠の道というイメージを持つ人が多いかもしれない。しかし、九州大学理学部の北村泰一名誉教授によると、実際はそうではなかったらしい。過去においてはシルクロードは水と緑に満ちた、旅の素人でも旅行できる道であったという。
ところで絹は何からできているか、ご存知だろうか。そんなの知るか、いやシルク?
天然高分子化合物の天然繊維に分類されるかと思うのだが、高校化学の教科書でもあまり書かれていないようだ。『理系大学受験 化学の新研究 第3版』(卜部𠮷庸著、2023年)を開くと、次のように説明されている。
絹 蚕の繭から得られる長繊維を利用する。1個の繭から太さ20µm程度で、1000~1200mの糸が得られる。その断面は、 フィブロインとよばれるタンパク質からなる丸味のある三角形をした2本の繊維を、 セリシンとよばれるニカワ質のタンパク質が覆った構造をしている。
通常、1本の糸では細すぎるので、数十個の繭から引き出した繊維を合わせ、撚りをかけながら1本の糸にする。こうしてできた糸が生糸である。
生糸には、セリシンが残っているために光沢が少ない。そこで、セッケン水とともに煮沸すると、セリシンだけが除かれ*1. 光沢のある絹糸になる。これを絹の精練という。

*1 セリシンには親水性のアミノ酸が多く含まれ、熱水に溶ける。一方、フィブロインには疎水性のアミノ酸が多く、熱水に溶けにくい。絹の精練によりその質量は約30%減少する。
*2 絹織物がこすれると“キュッキュッ”という独特な音がする。これを絹鳴りという。
始まりは20µm程度の細い糸が寄り合わさって生糸ができ、絹の精錬を経て光沢のある美しい絹糸ができる。その価値に惹かれ、東洋と西洋を結ぶ遠大なシルクロードまで生まれてきたというのだから不思議なものだ。
天宙の春は来ぬ。対立し分裂する東西の思想や異なるイデオロギーを繋ぐような現代のシルクロードはありやなしや。
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