長夜(ロングナイト)


            参拾陸


ただずっと後悔し、
ただずっとカナミを見ていた。

僕が気がついた時には、
雨が上がっていた。

雲のなくなった空は赤かった。
西の空には赤く輝く恒星があった。

その光に照らされて、
動かなくなったカナミの白髪は赤く輝いていた。

カナミの作られた左目は
その恒星をいちずに見つめていた。

僕はもう耐えられなかった。

僕は僕の右目に手をかけ、
三本の指を右目にあてがい、
一気に引き抜いた。

無理にカナミの空いた右目に押し込んだ。

とても痛かった。
僕の目はいびつな僕の目をしたカナミをみていた。

もう一つの僕の目が僕の方を向いていた。