ゴシュジンサマ | 金子光希オフィシャルブログ「そらとぶおにいちゃん」Powered by Ameba

ゴシュジンサマ

決まったバレットはいないです。寮長です。
皆さま、こんばんは。

ただ、持つべきものは友とでも言いますでしょうか、落馬したときなどに鞍を片付けたり、心配してくれたりと、縁の下の力持ちで支えてくださっているのは確かです。

それはバレットだけではなく、他の騎手も同じで、嫌われていたら誰も心配してくれないだろうし、本当に困ったときに手助けもしてくれないでしょう。

いくらライバルで競馬は負けたくないといえど、仕事から離れれば一人の人間同士。
人は一人では生きていけないものだと、僕は思っています。




話は変わりまして、今日の朝のことなのですが、不思議な光景を見ました。



寒い・・・

拒絶する意思を振り切り、布団から飛び起きる。

週間予報が不穏な通りに、今にも雪が降りそうな暑い雲が空を覆っている。

急いで着替え、玄関へと歩みを進めると、ドアの外に何かを見つけた。


ピクリともしない小さなそれは、まるで置物のように行儀よくドアの前に座っている。

ゴシュジンサマ~


ゴシュジンサマはどちらですか?

そう訪ねてくるかの様に、じっとこちらを見つめていた。

あまりにも健気で、しかしシュールにも感じるその光景に思わず笑みをこぼす。

調教靴を履きドアを押しあけると、そこに佇むは不思議そうに首を傾げる小さな犬。

首輪をしているところを見ると、飼い犬なのは間違いなさそうだった。

顔をクシャクシャに撫でまわしながら彼に問う。

「お前はどこのお犬サマですか?」
「ゴシュジンサマは、多分ここにはいないと思いますよー?」

それでも、そこから動こうとしない。

そうしている間にも、時間は刻一刻と過ぎ去っていく。
困ったなぁ・・・と後ろ髪を引かれる思いだったが、そのまま仕事へ向かうことにした。

数時間後、仕事を終えた僕は帰宅しながらふと思い出す。

しかし寮に着いた時にはすでに、その姿はドアの前から消えていた。


ゴシュジンサマは見つかったのかな?


お家には帰れたのかな?


きっと余計な詮索だと思う。

彼にとっても、自分にとっても、たまたますれ違っただけで赤の他人というやつなのだから。

でも、ふと感じる。

人同士も少しだけ。

少しだけ、その赤の他人の事を考えてあげられれば、ちょっとは平和になるのかもしれない。