ゴシュジンサマ
決まったバレットはいないです。寮長です。
皆さま、こんばんは。
ただ、持つべきものは友とでも言いますでしょうか、落馬したときなどに鞍を片付けたり、心配してくれたりと、縁の下の力持ちで支えてくださっているのは確かです。
それはバレットだけではなく、他の騎手も同じで、嫌われていたら誰も心配してくれないだろうし、本当に困ったときに手助けもしてくれないでしょう。
いくらライバルで競馬は負けたくないといえど、仕事から離れれば一人の人間同士。
人は一人では生きていけないものだと、僕は思っています。
話は変わりまして、今日の朝のことなのですが、不思議な光景を見ました。
寒い・・・
拒絶する意思を振り切り、布団から飛び起きる。
週間予報が不穏な通りに、今にも雪が降りそうな暑い雲が空を覆っている。
急いで着替え、玄関へと歩みを進めると、ドアの外に何かを見つけた。
ピクリともしない小さなそれは、まるで置物のように行儀よくドアの前に座っている。
![ゴシュジンサマ~](https://stat.ameba.jp/user_images/20090324/07/kaneko-soratobu/1d/b8/j/o0160028410156289925.jpg?160284=&caw=800)
ゴシュジンサマはどちらですか?
そう訪ねてくるかの様に、じっとこちらを見つめていた。
あまりにも健気で、しかしシュールにも感じるその光景に思わず笑みをこぼす。
調教靴を履きドアを押しあけると、そこに佇むは不思議そうに首を傾げる小さな犬。
首輪をしているところを見ると、飼い犬なのは間違いなさそうだった。
顔をクシャクシャに撫でまわしながら彼に問う。
「お前はどこのお犬サマですか?」
「ゴシュジンサマは、多分ここにはいないと思いますよー?」
それでも、そこから動こうとしない。
そうしている間にも、時間は刻一刻と過ぎ去っていく。
困ったなぁ・・・と後ろ髪を引かれる思いだったが、そのまま仕事へ向かうことにした。
数時間後、仕事を終えた僕は帰宅しながらふと思い出す。
しかし寮に着いた時にはすでに、その姿はドアの前から消えていた。
ゴシュジンサマは見つかったのかな?
お家には帰れたのかな?
きっと余計な詮索だと思う。
彼にとっても、自分にとっても、たまたますれ違っただけで赤の他人というやつなのだから。
でも、ふと感じる。
人同士も少しだけ。
少しだけ、その赤の他人の事を考えてあげられれば、ちょっとは平和になるのかもしれない。
皆さま、こんばんは。
ただ、持つべきものは友とでも言いますでしょうか、落馬したときなどに鞍を片付けたり、心配してくれたりと、縁の下の力持ちで支えてくださっているのは確かです。
それはバレットだけではなく、他の騎手も同じで、嫌われていたら誰も心配してくれないだろうし、本当に困ったときに手助けもしてくれないでしょう。
いくらライバルで競馬は負けたくないといえど、仕事から離れれば一人の人間同士。
人は一人では生きていけないものだと、僕は思っています。
話は変わりまして、今日の朝のことなのですが、不思議な光景を見ました。
寒い・・・
拒絶する意思を振り切り、布団から飛び起きる。
週間予報が不穏な通りに、今にも雪が降りそうな暑い雲が空を覆っている。
急いで着替え、玄関へと歩みを進めると、ドアの外に何かを見つけた。
ピクリともしない小さなそれは、まるで置物のように行儀よくドアの前に座っている。
![ゴシュジンサマ~](https://stat.ameba.jp/user_images/20090324/07/kaneko-soratobu/1d/b8/j/o0160028410156289925.jpg?160284=&caw=800)
ゴシュジンサマはどちらですか?
そう訪ねてくるかの様に、じっとこちらを見つめていた。
あまりにも健気で、しかしシュールにも感じるその光景に思わず笑みをこぼす。
調教靴を履きドアを押しあけると、そこに佇むは不思議そうに首を傾げる小さな犬。
首輪をしているところを見ると、飼い犬なのは間違いなさそうだった。
顔をクシャクシャに撫でまわしながら彼に問う。
「お前はどこのお犬サマですか?」
「ゴシュジンサマは、多分ここにはいないと思いますよー?」
それでも、そこから動こうとしない。
そうしている間にも、時間は刻一刻と過ぎ去っていく。
困ったなぁ・・・と後ろ髪を引かれる思いだったが、そのまま仕事へ向かうことにした。
数時間後、仕事を終えた僕は帰宅しながらふと思い出す。
しかし寮に着いた時にはすでに、その姿はドアの前から消えていた。
ゴシュジンサマは見つかったのかな?
お家には帰れたのかな?
きっと余計な詮索だと思う。
彼にとっても、自分にとっても、たまたますれ違っただけで赤の他人というやつなのだから。
でも、ふと感じる。
人同士も少しだけ。
少しだけ、その赤の他人の事を考えてあげられれば、ちょっとは平和になるのかもしれない。