約束
皆さん、こんばんは。
もっこりん寮長です。
皆さん、誰かと約束してますか?
友と友の固い絆の約束。
家族の真心を込めた約束。
そして男と男の約束。
また遊ぼう、また呑もう、また逢おう。
公約なんて大それたモノじゃないけど、大事なもの。
『よし光希。今度、関西来たら呑み行こうな!!』
なんで、関東所属でたまにしか会わないのに、こんなに目を掛けてくれるのか知らない。
関西の騎手で、てつさん(小林徹弥騎手)なんかには、関西に行く度に
「てつさぁ~ん、道具かして♪」
と気色悪く甘えて、
『懐くな!』
なんて笑われる。
けど同じ障害に乗ってはいるが、この人とはいつからこんなに親しくなったのだろう。
クリッとした茶色の目。
騎手の中では高いほうになるであろう、その身長。
温和な性格。
そんな趣味は持ち合わせてないが、男の僕でも、カッコいいなぁ・・・と思ってしまう人。
繁さん。(石山 繁騎手)
その日、僕は関東の競馬場で関西の競馬を見ていたと思う。
乗っていると、怖いなんて言ってられないが、下で見ているとかえって心配になるときがある。
そして、一頭落馬した。
「嫌な落ち方をしたな・・・・」
コロンと転がるような落馬ではなく、「グシャ!」っと地面に叩きつけられるような落ち方。
そして、その後、危篤の知らせが耳に入る。
『繁が落ちて、意識がない・・・』
『三日がヤマだ。』
誰かが言っていた。
気が気ではない・・・というのは、こういうことを言うのだろうか。
不安や色々混ざった気持ちを抑えるのに必死だった。
その事故から一週間、二週間と経ち、三週間目だったと思う。
関西で騎乗することが決まった。
羽田から伊丹の航空券を予約する。
競馬に乗る前日の行く便と、帰りは乗ったその日ではなく二日後。
騎乗が決まった時から、見舞いの為に一泊しようと決めていた。
無事に競馬を完走すると、終わったその足で繁さんの元へと向う。
病院に着き、集中治療室に案内されると奥さんが出迎えてくれた。
軽い自己紹介をし、容態を尋ねる。
『今日ね、凄い良い感じなの。話かけると目で合図してくれるのよ!お願い。声掛けてあげて』
光明が射し、少し高鳴る胸の鼓動を抑えながら病室に入る。
が、その姿を目の当たりにした瞬間、苦しくなった。
気持ちを落ち着かせ、耳元で声を掛ける。
「繁さん。調子どうですか?お久しぶりです。光希ですよ。分かります?」
僕くをじっと見つめ、ゆっくりと瞬きするその姿に、感情を抑える自信がなかった。
「繁さん。僕と約束しましたよね。覚えていますか?」
「僕は信じていました。いつか呑みに行こうって言っていた繁さんの言葉を。」
「男の約束です。元気になるまで待ってますよ。覚悟しといてくださいね!」
限界だ。もう溢れる雫を止められそうにない。
こんな格好のつかないところを、怪我人に見せたくない。
隣の部屋に移ると、奥さんが『ありがとう』と労ってくれた。
一番辛かったろうに、なんて気丈な人なんだろう。
落馬してからの日々を、少しずつ聞かせてくれた。
目を潤ませながら、話す奥さんを目の当たりにして、出ない言葉と代わりに溢れる涙が止まらなかった。
約束。
誰かと交わした大事なこと。
あの日置き忘れた大切なものを、果たせると信じて僕は待っています。
もっこりん寮長です。
皆さん、誰かと約束してますか?
友と友の固い絆の約束。
家族の真心を込めた約束。
そして男と男の約束。
また遊ぼう、また呑もう、また逢おう。
公約なんて大それたモノじゃないけど、大事なもの。
『よし光希。今度、関西来たら呑み行こうな!!』
なんで、関東所属でたまにしか会わないのに、こんなに目を掛けてくれるのか知らない。
関西の騎手で、てつさん(小林徹弥騎手)なんかには、関西に行く度に
「てつさぁ~ん、道具かして♪」
と気色悪く甘えて、
『懐くな!』
なんて笑われる。
けど同じ障害に乗ってはいるが、この人とはいつからこんなに親しくなったのだろう。
クリッとした茶色の目。
騎手の中では高いほうになるであろう、その身長。
温和な性格。
そんな趣味は持ち合わせてないが、男の僕でも、カッコいいなぁ・・・と思ってしまう人。
繁さん。(石山 繁騎手)
その日、僕は関東の競馬場で関西の競馬を見ていたと思う。
乗っていると、怖いなんて言ってられないが、下で見ているとかえって心配になるときがある。
そして、一頭落馬した。
「嫌な落ち方をしたな・・・・」
コロンと転がるような落馬ではなく、「グシャ!」っと地面に叩きつけられるような落ち方。
そして、その後、危篤の知らせが耳に入る。
『繁が落ちて、意識がない・・・』
『三日がヤマだ。』
誰かが言っていた。
気が気ではない・・・というのは、こういうことを言うのだろうか。
不安や色々混ざった気持ちを抑えるのに必死だった。
その事故から一週間、二週間と経ち、三週間目だったと思う。
関西で騎乗することが決まった。
羽田から伊丹の航空券を予約する。
競馬に乗る前日の行く便と、帰りは乗ったその日ではなく二日後。
騎乗が決まった時から、見舞いの為に一泊しようと決めていた。
無事に競馬を完走すると、終わったその足で繁さんの元へと向う。
病院に着き、集中治療室に案内されると奥さんが出迎えてくれた。
軽い自己紹介をし、容態を尋ねる。
『今日ね、凄い良い感じなの。話かけると目で合図してくれるのよ!お願い。声掛けてあげて』
光明が射し、少し高鳴る胸の鼓動を抑えながら病室に入る。
が、その姿を目の当たりにした瞬間、苦しくなった。
気持ちを落ち着かせ、耳元で声を掛ける。
「繁さん。調子どうですか?お久しぶりです。光希ですよ。分かります?」
僕くをじっと見つめ、ゆっくりと瞬きするその姿に、感情を抑える自信がなかった。
「繁さん。僕と約束しましたよね。覚えていますか?」
「僕は信じていました。いつか呑みに行こうって言っていた繁さんの言葉を。」
「男の約束です。元気になるまで待ってますよ。覚悟しといてくださいね!」
限界だ。もう溢れる雫を止められそうにない。
こんな格好のつかないところを、怪我人に見せたくない。
隣の部屋に移ると、奥さんが『ありがとう』と労ってくれた。
一番辛かったろうに、なんて気丈な人なんだろう。
落馬してからの日々を、少しずつ聞かせてくれた。
目を潤ませながら、話す奥さんを目の当たりにして、出ない言葉と代わりに溢れる涙が止まらなかった。
約束。
誰かと交わした大事なこと。
あの日置き忘れた大切なものを、果たせると信じて僕は待っています。