「uma い騎手」 | 金子光希オフィシャルブログ「そらとぶおにいちゃん」Powered by Ameba

「uma い騎手」

寮長です。こんにちは!



皆さんが、コイツは上手い!!乗れる乗り役だ!!と思う騎手は誰ですか?

今回は上手い騎手についてです。


ではまず、皆さんが見ていて上手いと思った瞬間はどんな時でしょう。

スタートで出遅れないスタートの上手さ。
道中の位置取りの良さ。
追い出しのタイミング。
追ってるときの、アクションを含め「追える(馬を動かせる)」上手さ。

色々あるかと思います。



では、どんな騎手が上手いのか・・・

以前、大先輩で一流騎手でもある「ノリさん」こと横山典弘さんと呑む機会がありま
した。

大人数の食事会で、少し離れたところにいた僕を

『光希、ちょっとこい!』とノリさん。

「お疲れさまです!!」とビール片手に挨拶する僕に、ノリさんいきなりビンタです。

親父にもぶたれたことないのに!!なんて懐かしの名台詞がでそうなもんですが、
これはノリさんなりの不器用な愛情表現。

空気を読んで、ドMになっておきました。


そして、いきなり闘魂注入をして下さったノリさんにこう聞かれました。

『光希、最近どうだ?最近、なかなか飲む機会もないからな。なにかあったら、なん
でも聞け。』

自分みたいな、下っ端でも気にかけてくれる大先輩。
今でもはっきり覚えてますが、ホント嬉しかったなぁ・・・



折角なので、思い切って質問してみました。

「ノリさんが思う馬乗りの上手さってなんですか??」

この、「馬乗りの上手さ」という質問。

僕の足らない頭をフル回転させて考え付いた質問なのですが、
何気に答え辛い質問なんです。

馬乗りの上手さというだけに、普通に馬に乗るときの心得をおっしゃる方もいるでしょ
うし、上に書いたように競馬中の上手さを答える方もいるかもしれません。

どんな答えでも間違いじゃないし、無数の答えが散らばってる・・・
あまりにもアバウトすぎる質問なんです。


そんな質問をノリさんはこう答えてくれました。

『人にもよるだろうが、俺はデットーリが好きだ。』
(ランフランコ・デットーリ。イタリア出身の一流騎手)

『何が上手いか分かるか?もちろん騎乗技術が上手いのは当たり前だが・・・』

『乗ってるの見て、カッコがいいだろ?パフォーマンスも様になる。』
(デットーリジャンプと言って、勝った馬の背から万歳しながら飛び降りるパフォー
マンスは有名です)

『そして、何より笑顔がいい。なにをやっても格好がつく人間なんだ。』

『だから俺は、デットーリが上手い一流の騎手だと思うんだよ。』

浅はかな僕はビックリしました。
もっと、競馬の内容や乗り方について返答してくれるかと思っていたからです。

もしかしたら、ノリさんは僕に自分と同じ次元の話をしても分からないと思ったのか
もしれません。
現に、そんな話理解しきれないだろうし、なにより実践するのは難しい。

騎手としても、そして人間としても一流の先輩の視点は流石ですよね。


また、関西から遠征に来ていた四位洋文さんとお話する機会もありました。

たまにしかお会いしないのに、競馬場でお会いするたび「この前勝ったろ!良かった
な!!」
と、いつも気さくに嬉しい声をかけてくれる四位さん。

調整ルームで、他の騎手を交えて談話している時に四位さんがこんな事を言ってまし
た。

『競馬は舞台で、騎手は役者。一つの舞台の上で、役を演じきらなきゃいけない。だ
から俺はいつも魅せるように心がけているんだ。』

G1レースにも、度々騎乗する中で襲い来るプレッシャーを跳ね除け役を演じきる一流
騎手達。
カッコ良すぎです四位さん。

こんな話を先輩方から伺っていると、世間的に言われる上手い騎手ってなんなのだろ
う・・・と感じます。

競馬が舞台で、シナリオを用意された一つのドラマなのだとしたら・・・
勝った馬と騎手が主演になるのでしょうか。

もちろん、シナリオなんてありません。
そして、出走する一組一組を必ず誰かが応援している。

ファンの方々を含め、そこにいる全員が織り成すドラマ。
結果はどうあろうと、そこで役を演じきれる騎手達一人一人全員がきっと上手い騎手
なのかな・・・なんて感じました。

長文とともに、なんか話の趣旨がチグハグですみません。


馬に聞いた訳ではないので、どんな乗り方が走りやすいとかは僕には分かりません。
そういう世界を垣間見ているからこそ、個人名にて、ここが上手いとか答え切れない
んです。

そんな事を考えてたら、上手い騎手はUMAい騎手・・・
UMA=未確認生物なんて、ふと思っちゃったのですよね。