怪我は何かと怖いです。(ぱーと2・入院先も怖かった)
皆さんこんばんは。
昨日の補足なんですが、鎖骨の場合、人によってはあまり痛くない人もいるようですね。
ほかの部分は骨折した事ないので分かりませんが、足などのほうが痛いのではないのでしょうか。
そして何より、怪我により休むと、馬乗りの感覚が麻痺してしまうのも問題なのですが、大きな怪我の復帰後はやはり恐怖心との闘いにもなります。
やや大げさに書いてみましたが、身体に染み付いた感覚と恐怖心は、時間が経てばどうにかなるものです。
今日は、入院生活で起こった出来事を。
福島から二時間半かけて帰寮すると、先輩から紹介された病院へと連絡した。
この病院は、今でこそ院長先生が高齢の為、手術は引き受けてないらしいが、その頃は先生の手腕を頼ってくる競輪選手や騎手も、よく入院していた病院だ。
受付の女性が電話にでると、話はすでに伝わっていたようで、今すぐにでも入院可能だということだった。
片腕でなんとか荷物をまとめると、タクシーに乗り目的地に向かう。
車で約30分。
龍ヶ崎市内にあるその病院へと到着した。
タクシーから降り、佇まいをシゲシゲと眺める。
一言で感想を言えば、ボロい。
これは失礼!
お世話になった病院にそんなことを言ってはいけない。
何というか、味がある。
年季が入っていると言ったほうが聞こえがよい。
そんなことを考えながら病院の玄関をくぐると、この日は病院が休院日だったため、当直の看護士さんしかいなかった。
簡単な手続きを済ませると、部屋へと案内してもらい、一息つく。
その晩。
いや、しばらくの間は、折れた鎖骨のせいで寝返りが打てないことが、何よりうっとおしく思えた。
次の日の朝、院長先生と挨拶し、怪我の容態・手術内容が決まると、衣服を着替え手術室へと案内される。
初めて手術室というものをリアルに見たが、ドラマと一緒だったのは、上からぶら下がるでっかいライトくらいなもので、あとは普通の部屋に手術台が置いてあるようにしか見えなかった。
大丈夫か?ここ・・・
初めての全身麻酔や、手術そのものよりも、その部屋で行うという事実に一番不安を感じてしまった。
しかし、手術台の上で腕に刺された注射から、冷たい麻酔薬が体内に流れ込むと、不安をよそにそのまま深い眠りへと落ちていくのだった。
無事に手術が終わった晩のこと。
テレビを見て、本を読んで・・・
すでに暇を弄びつつも、気がつくと眠りに落ちていた。
ふと、どこからか声がして目が覚めた。
ぁ~・・・
ぁぁぁ~・・・
猫の鳴き声のようにも聞こえる。
寝ぼけ眼をこすり、電気を付けると再び声がした。
ぎゃ~・・・
「え?なに・・・?」
おぎゃ~おぎゃ~・・・
耳をすませる必要もなく、意識のはっきりとした状態で耳にした声は、間違いなく赤子の泣き声だった。
恐ろしくなった僕は、そのまま電気を消すこともなく布団をかぶり、朝を迎えた。
そんな体験の最中、強いて幸運だったといえば、そのまま眠りにつけたことだろう。
スズメの鳴き声を目覚ましに朝起きると、昨夜の出来事を冷静に振り返る。
「きっと、気のせいだ!」
いかにも楽天家な、自分らしい答えで結論付けることにした。
しかし、このまま終わることはなかった。
その晩、昨日の出来事が嘘のように静かな夜を迎え寝ていると、急にトイレに行きたくなり目が覚めた。
痛む左肩をかばい、ゆっくりと起き上がる。
スリッパを履きドアへと向かい、ノブに手をかけた瞬間だった。
カチャン・・・ズズー
カチャン・・・ズズー
同じリズムで、松葉杖を使い歩く音がする。
しかも、心なしかこちらへと近づいてきているかのような・・・
カチャン・・・ズズー
カチャン・・・ズ・・・
そして、その音の主は僕の部屋の前までやってくると、ピタっと止まった。
ドアの隙間から零れる光が遮られ、影が「ぬっ」と伸びてきた。
ドアノブを握り締める自分の右手が、ジトッと汗を掻いてきている。
次の瞬間
ガチャ。ガチャガチャ!!
その相手はドア越しに、僕の掴んだ反対側のドアノブを乱暴にひねり回し、引き開けようとする。
怖かった。
何が何でも、このドアだけは死守してやる!
必死の抵抗だった。
しばらくノブを弄繰り回すと、相手は諦めたようで、再び
カチャン・・・ズズー
カチャン・・・ズズー
と同じように歩きだし、丁度、隣の部屋あたりで中に入る音がした。
ホッとし、恐る恐るドアをあける。
廊下を見渡すと、そこには何事もなかったかの様に、非常口の緑色のランプが煌々と輝き僕を見下ろしているのだった。
(完)
んー。
ちょっとは怖く書けましたかねー?
いらん長さになってしまい、ホントすみません。
いや、でもね。
一つ皆さんに言っておきたいのですが、産婦人科の階の下と周りがじっちゃん・ばっちゃんがいっぱい入院しているとこは気をつけたほうが良いですよ?
赤ちゃん夜鳴きすごいですし(世の中のお父さん、お母さんを尊敬します)
じっちゃん・ばっちゃん平気で自分の部屋間違えますから。
ドアの隙間から、隣のばぁちゃんのパジャマが見えたときは、心の中で
「ちがうー!ばぁちゃんちがうー!」
って叫んでましたもん。
昨日の補足なんですが、鎖骨の場合、人によってはあまり痛くない人もいるようですね。
ほかの部分は骨折した事ないので分かりませんが、足などのほうが痛いのではないのでしょうか。
そして何より、怪我により休むと、馬乗りの感覚が麻痺してしまうのも問題なのですが、大きな怪我の復帰後はやはり恐怖心との闘いにもなります。
やや大げさに書いてみましたが、身体に染み付いた感覚と恐怖心は、時間が経てばどうにかなるものです。
今日は、入院生活で起こった出来事を。
福島から二時間半かけて帰寮すると、先輩から紹介された病院へと連絡した。
この病院は、今でこそ院長先生が高齢の為、手術は引き受けてないらしいが、その頃は先生の手腕を頼ってくる競輪選手や騎手も、よく入院していた病院だ。
受付の女性が電話にでると、話はすでに伝わっていたようで、今すぐにでも入院可能だということだった。
片腕でなんとか荷物をまとめると、タクシーに乗り目的地に向かう。
車で約30分。
龍ヶ崎市内にあるその病院へと到着した。
タクシーから降り、佇まいをシゲシゲと眺める。
一言で感想を言えば、ボロい。
これは失礼!
お世話になった病院にそんなことを言ってはいけない。
何というか、味がある。
年季が入っていると言ったほうが聞こえがよい。
そんなことを考えながら病院の玄関をくぐると、この日は病院が休院日だったため、当直の看護士さんしかいなかった。
簡単な手続きを済ませると、部屋へと案内してもらい、一息つく。
その晩。
いや、しばらくの間は、折れた鎖骨のせいで寝返りが打てないことが、何よりうっとおしく思えた。
次の日の朝、院長先生と挨拶し、怪我の容態・手術内容が決まると、衣服を着替え手術室へと案内される。
初めて手術室というものをリアルに見たが、ドラマと一緒だったのは、上からぶら下がるでっかいライトくらいなもので、あとは普通の部屋に手術台が置いてあるようにしか見えなかった。
大丈夫か?ここ・・・
初めての全身麻酔や、手術そのものよりも、その部屋で行うという事実に一番不安を感じてしまった。
しかし、手術台の上で腕に刺された注射から、冷たい麻酔薬が体内に流れ込むと、不安をよそにそのまま深い眠りへと落ちていくのだった。
無事に手術が終わった晩のこと。
テレビを見て、本を読んで・・・
すでに暇を弄びつつも、気がつくと眠りに落ちていた。
ふと、どこからか声がして目が覚めた。
ぁ~・・・
ぁぁぁ~・・・
猫の鳴き声のようにも聞こえる。
寝ぼけ眼をこすり、電気を付けると再び声がした。
ぎゃ~・・・
「え?なに・・・?」
おぎゃ~おぎゃ~・・・
耳をすませる必要もなく、意識のはっきりとした状態で耳にした声は、間違いなく赤子の泣き声だった。
恐ろしくなった僕は、そのまま電気を消すこともなく布団をかぶり、朝を迎えた。
そんな体験の最中、強いて幸運だったといえば、そのまま眠りにつけたことだろう。
スズメの鳴き声を目覚ましに朝起きると、昨夜の出来事を冷静に振り返る。
「きっと、気のせいだ!」
いかにも楽天家な、自分らしい答えで結論付けることにした。
しかし、このまま終わることはなかった。
その晩、昨日の出来事が嘘のように静かな夜を迎え寝ていると、急にトイレに行きたくなり目が覚めた。
痛む左肩をかばい、ゆっくりと起き上がる。
スリッパを履きドアへと向かい、ノブに手をかけた瞬間だった。
カチャン・・・ズズー
カチャン・・・ズズー
同じリズムで、松葉杖を使い歩く音がする。
しかも、心なしかこちらへと近づいてきているかのような・・・
カチャン・・・ズズー
カチャン・・・ズ・・・
そして、その音の主は僕の部屋の前までやってくると、ピタっと止まった。
ドアの隙間から零れる光が遮られ、影が「ぬっ」と伸びてきた。
ドアノブを握り締める自分の右手が、ジトッと汗を掻いてきている。
次の瞬間
ガチャ。ガチャガチャ!!
その相手はドア越しに、僕の掴んだ反対側のドアノブを乱暴にひねり回し、引き開けようとする。
怖かった。
何が何でも、このドアだけは死守してやる!
必死の抵抗だった。
しばらくノブを弄繰り回すと、相手は諦めたようで、再び
カチャン・・・ズズー
カチャン・・・ズズー
と同じように歩きだし、丁度、隣の部屋あたりで中に入る音がした。
ホッとし、恐る恐るドアをあける。
廊下を見渡すと、そこには何事もなかったかの様に、非常口の緑色のランプが煌々と輝き僕を見下ろしているのだった。
(完)
んー。
ちょっとは怖く書けましたかねー?
いらん長さになってしまい、ホントすみません。
いや、でもね。
一つ皆さんに言っておきたいのですが、産婦人科の階の下と周りがじっちゃん・ばっちゃんがいっぱい入院しているとこは気をつけたほうが良いですよ?
赤ちゃん夜鳴きすごいですし(世の中のお父さん、お母さんを尊敬します)
じっちゃん・ばっちゃん平気で自分の部屋間違えますから。
ドアの隙間から、隣のばぁちゃんのパジャマが見えたときは、心の中で
「ちがうー!ばぁちゃんちがうー!」
って叫んでましたもん。