聖地巡礼の大きな目的は聖母道の儀礼・レンドンです。

 聖地でレンドンを行う、これはシャーマンの夢です。

 この日の祭壇には、何の飾りもありません。手前の箱は、彼の国で使うお金です。

 ベトナム最高位の聖地は、フーザイ(南定省)になりますが、他にも、陳興道を祀る劫泊祠(キエップ・バック)や崇山祠(清化省)や広平省の柳杏降臨地などがあります。また、聖母道を行う場歩は、女性の英雄を祀る祠(日本の神社)や寺には聖母を祀る祠が必ず?あります。

 聖母道とは、道教から派生した儀礼で、侯僮(ㇹウドン)とかレンドンと呼ばれている。これは天の領域を支配する聖母と地の領域を支配する聖母、そして、水の領域を支配する聖母だが、奇数を好む中国の聖母道であり、偶数を好むベトナム人はもう一人加えた。それがベトナム最高位の聖母柳杏である。山岳と音楽界を支配するだけでなく、天の領域も支配する。

 タインドンの読経で始まります。

 祈願文を読み上げます。

 ソンチャン洞に供えられた供物、乾きものが多い。

 祭壇に捧げた供物を参加者でいただきます。

 バードンが坐ると聖母と交信する。

 基本衣装は、天が赤色、地が黄色、水が白色、山岳が緑色が中心になります。

 着替えて変身すると、祭壇に深い礼をして、香を振り回して周囲をお祓いする。

 バードンが被っている冠は、帯を使って、作ります。

 柳杏はベトナムで生まれた聖母であり、上岸聖母(雄王の孫娘ともいわれる)とかソンチャン(山荘)と混同される。

 レンドンはこの聖母の世界と塵芥(人間の住む世界)を結ぶシャーマンがおり、このシャーマンを通して、人間の煩悩(悩み)を聖母に解消してもらう方法です。

 レンドンは、必ず行うのが、道教の節日である大元(陰暦1月15日)、中元(陰暦7月15日)、そして、下元(陰暦10月15日)には行われています。

 この節日は、中国の神話の時代である大元が堯、中元が舜、下元が兎にあたり、如何に大事な日か分かります。

 今日紹介するのは、その大元の日のレンドンで、祠(神社)主催の行事です。

 普段は個人が悩みを聖母に解消してもらうために祈願するのですが、聖母と塵芥の人間は交信がとれないため、仲立ちをシャーマンがとってくれます。

 進行はこの祈願文に則って進められます。

 飾りつけはこの人特有のピン止めを使って作ります。

 前半は燃える香を、後半はろうそくを使ってお祓いします。

 お金を清めてもらいに参加者がきます。

 後半は少数民族の衣装を着て、山岳聖母に変身します。

 それをレンドンといいますが、その祈願文を届ける乗り物が、天の聖母の世界には赤い馬で、地の世界には黄色い象に乗り、水の世界には、白い舟に乗って、山岳の世界には緑のソンチャンが代行して、祈願文を届けます。

 ただ、今回は祠が主催のためそれらの乗り物(マー・紙製の冥器)はありませんが、それは後日紹介したいと思います。

 

レンドンについては、詳しくは、Kindleをご覧ください。

 

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