みなさん、レンドンって、ご存じですか?

 これは中国、台湾、ベトナムで行われている道教の儀礼です。

 日本にある青森県のイタコに近いものです。

 でも、ユネスコの世界文化遺産として認められる格のあるものです。

 内容は道教から派生した聖母道で、他国の事は判りませんが、恐らく、ベトナム独自のものであると思います。

 それは中国人は奇数を好みますが、ベトナム人は偶数を好みます。

 ですから寺や祠(神社)の建築方法は、中国が3・5・7間の建物が多く、ベトナムでは、この横に半間を増築しています。

 この道教から派生した聖母道は中国では三座(三府、Tam Toa)ですが、ベトナムでは、四座(四府、四座)です。

 この一座がベトナムで生まれた柳杏公主 (Lieu Hanh、玉皇上帝の姫、Đoàn Thị Điểm著、関連の書籍・作者多い)が、主役を務めます。

 このレンドンは玉皇上帝は無論ですが、陳興道(陳朝の将軍、儒教の神)や五官吏、八海大王、朝、舅、姑など、広がりが多く、大きな世界になり、レンドン自身が大きな産業になっております。

 このメモ書きが供物の順番になります。

 祭壇には、東西南北の聖母の札が飾られています。

 右當境城隍本土大王尊神・これに対応する右當境云々があり、左南曹六司延壽星君聖前・これに対する北斗云々があり、7~8枚の神札が置かれています。

 祭壇は花が飾られて煌びやかです。

 先ず、バードンは坐ると、天の聖母の赤い色のアオザイに着替え、手を合わせ、手を清潔にして、口を漱ぎ、祭壇に頭を垂れ、手で祭壇の神と指で合図を送り交信します。神札は6枚ありますが、一枚は取り損ねました。恐らく右北斗・・・でしょう。

右の写真は後宮に祀られる柳杏像。この和馬祠には、以下のようになった柄杓型の建築方法です。

 山荘洞の前でも読経があげられる。

 生贄の鶏の肉、アヒルの肉、豚肉、それとこれから皆で食べる料理が供えられます

山荘洞の前でも読経があげられる。

 鳥籠の小鳥が放される。左は小鳥の入った鳥籠、すずめですかね。右はそれを放鳥する光景。一籠50万ドンもします。

 山荘洞窟(ソンチャン、山の聖母)の前には、渇き物(鶉の玉子、川蟹の茹でたもの、豆腐、ソーセージ、ココナッツの中身など)が供えられ、祭壇の前には生贄の鶏、家鴨、豚肉が供えられます。読経の途中で生贄は料理されて、野菜や肉を炒めたもの、スープなどが供えられます。料理の種類はいつも同じです。それに時々、揚げ春巻きが付きますが・・・。

 

 祈願文が読み上げられます。午前中はこの祈願文を読むと食事になります。

12:42 ① 白い衣装を着て座ると、口を漱いだ後、祈願文を持ち祭壇に祈願する。それが終わると祈願文は焼却される。

 その後、赤い布を被され、花と香と扇を持ち祈願を繰り返し、指で祭壇の聖母と交信する。赤い布を払いのけると、香を持ち衣装を清めて、次の聖母に変身する。

 そして、火のついた香と祈願文、謝礼のお金を持ち、祭壇に挨拶します。

10:25 大君が祈願文を読み上げる。下の写真、この場所で読経が行なわれるのは初めて・・・。

11:03参加する人が祈願文の作成を大君に頼む

    

     ○黄  神札の安置のされ方         祭   壇

                    〇    〇   〇

   最後方の中央に、          助手  バードン     衣装係                          ○緑      ○紫

       ○白            着替えを畳む係

   ○黄      ○赤


12:52 布を払いのけ、腰と胸に紐を巻き、背中に旗を差して、・・・。

 そして、立ち上がると、一本の香で数本の香をお祓いして香を持ったまま一度、深い礼をする。その後、香を放して三度跪いて深い礼を繰り返す。

 それから燃える香を一本の香でお祓いして燃える香を振り回して周辺を清める。

そして、祈願文をお祓いして、旗を振って座る。

 座ると、左の女性の注ぐ酒を三度口に運び、その後、タバコを咥えて、右の男性の話を聞き、それに答える。

 ③ その後、赤い龍の刺繍の入った衣装を着て、祈願文を清めると、祈願文を読む大君を待ち、それにサインして祭壇に示す。

 祈願文を読み上げる大君。

13:05 ③ 赤い龍の刺繍入り

 

 この変身した後、決まった行動がある。それは立ち上がると香を持ち一度礼をするその後、香を放して深い礼を三度繰り返す。その後、各パフォーマンスがあり、座ると酒を酌み、清めて三度口に運び、清めたタバコを咥え、男の話を聞く。

この男の話は、省略?することもある

 儀式はバードンが座って始められますが、大君の読経が終わらないと供物を下げません。その供物を参加者全員で食べるのが慣わしです。

 

その後、参加者全員がその供物を頂き、儀式が始まります。

 変身の後、布を被され、それを払いのけ、次の聖母に変身する。

13:17 ④ バードンの大切な仕事は、他に参加者や関係者に謝礼の禄(金銭)を配ることである。ビール

 聖母は、赤系の衣装が天の聖母、黄色が地の聖母、白が水の聖母、緑・青が山岳の聖母です。最近は、以前なかった色も加わって、アオザイが派手になりましたね。

13:34 ⑤ 白い衣装に着替え、変身する。

 この白い衣装は「水の聖母」である。因みに、「赤は天の聖母」、「黄色が地の聖母」、「緑が山・岳の聖母」である。この聖母に赤い馬、黄色い象、白い舟、緑の山荘で身代わりがその世界へ祈願文を届ける。

剣を両手に持って、供物:ビール

13:58 ⑥ 男の話だけ、パフォーマンスと禄・供物は無し。

14:04 ⑦ バッジ、ここでは祈願文をお祓いした後、「天府、地府、水府、トアイ府」と叫ぶとマーが全て焼却される。

14:23 ⑧黄色 大きな旗を持って周囲をお祓いする。

供物:ビール

14:34 ⑨ 赤いレースのショールを被り、直に座る。

14:40 ⑩  ネックレスをつけ、山荘がお祓いをされ運びだされる。腰に印籠を下げ、銭を撒くパフォーマンス。 供物:バインチュン

14:55 ⑪ 白 手に蝋燭と舟の櫂をもって俗世間を漕ぎ渡る。

供物:水ペットボトル

15:02 ⑫ 蝋燭でお祓いする。 お菓子

15:14 ⑬ 紺 香と花と扇を持って礼をして、燃える香でお祓いして蝋燭を参加者に渡す。ここではミニチャセットのお茶を飲む。供物:チャウ

小銭をもってバラ撒く。

15:30 ⑭ 黄色い衣装を着て、脚絆を穿き、剣と旗を振ってお祓いする。

供物:カップ焼きそば

扇をノートに見立て、ペンでサインする。  供物:カップ焼きそば

15:39 ⑮ 蝋燭を手にゆらゆらゆらす。そのろうそくの煙で体を清める。

その後、小銭を祭壇に撒き、参加者に配る。供物:みかん

ここで座ると暫し、音楽に合わせるかのように、聞き入る。

15:58 ⑯ 白い衣装に着替え、水の聖母に変身する。腰には印籠を下げ、

供物:ジュース

16:11 ⑰ 紫の衣装で山の女神に変身して、ここでも鈴をもって、すり合わせるようにして、奏でるような振りをする。供物:味の素

16:32 ⑱ 黄色い衣装は地の聖母に変身して・・・。旗を持って振り回す。

供物:ビール

○○

16:59 ⑲ 濃い緑の衣装。 蝋燭でお祓いして、小銭を投げるパフォーマンス。

供物 :カップヌードル

17:11 ⑳ 腰に印籠を下げ、一連の礼が終わると、鈴を打ち鳴らして、周囲を清める。供物:ジュース

16:11 (21) 紫の衣装に着替え、燃える香を持って、振り回し、両手に鈴を持って打ち鳴らす。                   供物:お菓子

17:35 (22) 扇と香と花を持って祭壇に礼をすると、両手にピンクの扇を持って舞う。供物:コーラ

17:45 (23) 脚絆を穿き、花を持って参加者に配る。

 ここでもパフォーマンスで小銭を撒く。都心では見られないが、地方へ行くとこのときばかりと子どもや老人が集まってきて、小銭を奪い合う。

 子ども達は日課のようにやってきては小遣い稼ぎをしているようである。

 貧しい地方では内職もなく、日銭が入る手段がないので親が進めているようだが、このレンドンを見ていると富の分配をしているようにも考えられる。

 このレンドンの行なわれる聖地では門前町が発達しており、この商売に係っていて生活が成り立っているようである。お土産やマー作りの職人、供物の荷物を運ぶ仕事喫茶店、民宿、両替や、畑収穫した作物を売る人、など。

18:00 (24) エンジというか茶色の衣装。ピンクの帯と緑と赤の紐、以前はこの4色の模様の衣装があったようだが・・・。

 衣装や線香、蝋燭も進歩している。

 線香は全て同じ色だったが、最近では衣装に合わせた色の香が発売されている。また蝋燭も一本一本バラであったものが最近は2本組、3本組が売られており、ベテランが指に起用に挟んでいた技術が誰でもできるようになってしまった。

 供物:ミニタオル

18:08 (25) 緑のチョッキ。

 緑の脚絆を穿き、頭は姉さんまき。

 床机に頭をこすり付けるように深い礼を三度繰り返す。

 座ると、最後の男性の話があり、逸れに答えるように参加者に話しかけて儀礼は終わる。供物:飴

 今回は25回の変身が行なわれ、立ったり座ったりが都度、100回に及ぶ重労働です。バードンは約4時間強、トイレも行かずに頑張ります。

 

 今回は、禄(金銭)が、445000ドン(約)2000円

    供物:缶ビール=5本、味の素、ミニタオル、缶ジュース=2本、

       バインチュン、カップヌードル、カップ焼きそば、菓子=2種類

       蜜柑、ペットボトルの水をいただきました。

 これが参加者全員(30~50人)に渡されます。

 禄(楽団員・一人100万ドン、着替えと助手・100万ドン、)は人によって額が違いますが・・・。

 お疲れ様でした。

 

 この儀式(レンドン、ユネスコ文化遺産に指定)は、寺(ほぼ全寺に聖母殿がある)や女性の神を祀る祠で、毎日のように行われている。

 参加者も多く、供物の品物を考えると、大きな産業と言えますね。

 今回は見られませんでしたが、マー(冥器、天に送る赤い馬と身代わりの人形、そして、案内の小竜・地の聖母に送る象・水の聖母に送る舟・山の聖母が山荘)が並べられます。これも、数万円になります。

 一回、レンドンの儀式をおこなうと、20~30万円にもなるでしょう。

 大変な産業になっている。

 

尚、詳しくは:

https://x.gd/fNawE