マネーボール   MoneyBall | kane1の映画 言いたい放題

マネーボール   MoneyBall

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名だたる実在の偉人を史実に基づき描く伝記映画もいろいろあるが、これはかなり異質な作品だ。
メジャーリーグ中ダントツの弱小貧乏球団であるオークランドアスレチックスを再建すべくセイバーメトリクスを用いたマネーボール理論をベースに立ち上がったGM/ビリー・ビーンと彼を支えたブレーン/ピーターブランドの1年間に渡る孤高の戦いを描いた実録ドラマだ。


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主演のブラットピットが原作本に感銘を受け、いたく惚れ込み、自らプロデューサーを買って出た入魂の作品であることは、彼の見事な演技が物語っています。ベテラン俳優フィリップシーモアホフマン、ピーターブランドを演じるデブのコメディ俳優ジョナ・ヒルの怪演も相俟って、俳優陣の絶妙なコラボレーションが作品を盛り立てる。


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イマイチこの物語のキーとなる「マネーボール理論」の内容が映画だけでは把握できないので主人公ビリー・ビーンに感情移入しきれず、観客との間に温度差が生じ、この話の面白さを存分に味わえないのが難点だが、人間ドラマとしてはかなりの秀作として仕上がっている。

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ニューヨークメッツの一番指名によって鳴り物入りでメジャー界にデビューしたビリーは結局、野球選手としては大成できず、人生にトラウマをかかえたままスカウト職を経てGMという形で球団経営サイドに就く。貧乏球団をいかに優勝に導くかに執念を燃やし、「マネーボール理論」を信じてその立証にすべてを費やす。アメリカの文化ともなっている長年の野球の歴史を覆すようなこの理論に周囲からは鋭い反意にさらされる。しかしこの理論は間違ってはいない。
その証明は目前であったが最後の最後で理論だけではまかなえない壁に阻まれる。彼に理解を示し彼の理論を信じた豊富な資金を持つボストンレッドソックスのオーナーは、史上最高額のGM引き抜きのオファーを出すが、ビリーはかつて金にために大学進学をやめプロの道を選んで人生を棒に振った経験から二度と金によって人生を左右しないと決断していたこと、またこの理論は大金を使わずに立証することに意義があるというポリシーからオファーを断る。
低予算球団でこの理論を立証したい!という理念に基づきオークランドのGMに留まる。レッドソックスはその後、ビーンたちが実践していた理論と豊富な財力でワールドシリーズを制覇。皮肉なことにビーンがオファーを断ったレッドソックスがビーンの理論を立証する結果となった。ビーンは今でもオークランドでこの理論の立証にチャレンジし続けている・・・。


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ひとしきり1年間のドラマが展開した後にラストでこの後日談がクレジットされる。何とも言えない虚しさや切なさに襲われる・・・。
ドラマとして秀逸に描かれ、またそれが現在も進行中の事実であるという点がビリー・ビーンの物語に説得力と奇妙な感覚の感動がわき上がってくる。

一言で言うと「良い映画だが後味の悪い映画」だ・・・

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