MUTTとハーブティーとブーツ
M-151である。
JEEPではない、MUTTだ。
小さい、JEEPと比べるとだいぶ小さい。
ケーキを食べに行った。
いつものラーメン屋「まんぷくタイガー」ではない。
「もみのき」というこじゃれたカフェだ。
おしゃれな奥様がたのたまり場になっている。
そんなおしゃれなカフェのおしゃれなマガジンラックには
ヴァンサンカンとかマリ・クルレールとかいう見たこともない雑誌が並んでいた。
もちろん週刊アサヒ芸能などは置いていない。
手作りケーキとハーブティーが自慢らしい。
女の子と一緒に行った。 デートだ。
八歳だ。小学三年生。
犯罪ではない。我が娘である。
娘はぶどうジュースと
モーツアルトととかいう
よくわからんバイオリンの形をしたケーキを頼んだ。
感動社はいちごのショートケーキと
ローズヒップティーを頼んだ。
ローズヒップティーだ。
ネギ盛りにんにく味噌ラーメンではない。
昔のガールフレンドがハーブティにうるさかったので
感動社もローズヒップティーくらい知っている。
そのおしゃれなカフェにビーチサンダルをぺたぺた言わせながら行ったのだ。
そお、実を言うと感動社は靴というとビーサンとブーツしか持っていない。
結納も、婆様の葬式も、息子の卒業式も
すべてウェスコの黒のエンジニアブーツで通したのだった。
黒けりゃあ、いいのだ。黒けりゃあ。
さすがに座敷に上がる時には目立っていたが
だいぶ履き込んだので、くしゃあってなっていたし、ピカピカに磨きこんでいるのだ。
顰蹙をかうほどではない。
ようは黒けりゃいいのだ。
そのおしゃれなカフェの帰り道、娘に赤い長靴を買ってあげた。
そんな台風の日だった。
それじゃあ。
