感動したのです、日記 -2ページ目

まほろば

僕達急行を観た翌日、さらに凄い低気圧が襲ってくるのだけど朝はピーカン晴れていた。

それでひょっとして天気予想が外れたのかもと淡い期待をよせて、高校ラグビーの選抜大会が

行われている熊谷ラグビー場へ向かったのです、しかし電車は都内に近づくにつれて進まなくなり

池袋までえらい時間がかかってしまった、この頃になると天気は嵐の予感になっていて

高校ラグビーは池袋で断念しました。

で、これからどうしようと思案して、新国立劇場でマチネの舞台があるのを思い出して観に行くことに。

無事当日券で前から3列目をゲット、この日観る舞台『まほろぼ』 は、若手劇作家とベテラン演出家に

よるコラボレーション企画なのだそうで、岸田國士戯曲賞を受賞を受賞した作品の再演です。

舞台はとある田舎町の夏祭りの夜、旧家に残された6人の女が妊娠出産のあれこれをぐだぐだ言い合う

という話だった。

出演する女優はかなり豪華、それでもやはり秋山菜津子が抜群に上手いし存在感で舞台をリードして

いきます、ただあまりに舞台に破たんがないというか余りに芝居が安定しすぎていて

ちょっとウトウトとしてしまいました。

誰かひとりアブなっかっしい役者さんが入っていたらもっと良かったのかも。

この舞台はそのウダウダの会話がつづく1時間40分が伏線となっていてラストの力強い骨太な

メッセージへと繋がるのです。

40過ぎて月経が止まった秋山菜津子が実は妊娠していたという展開となり、旧家も守っている

母親の三田和代が跡継ぎが出来たことに喜ぶのだが、子供は産まないと言い張る秋山菜津子と

対立をしたり、消息不明から急に表れた姪の前田亜季は不倫相手の子供を身ごもって産もうか

おろそうか迷っていたりとあたふたな急展開となるのだけど、

最後の最後に女の本能の話へと到達するのです、かなりの力技を観させていただきました。

観に来てよかったです。

でも子供のいない夫婦とかが見るときつい舞台ですよね。


それで舞台のあと、前田亜季といえば金子修介ということで新宿で上映されている

「青いソラ白い雲」を観ようとしたら新宿は暴風雨で映画館までたどり着くのは危険と判断

本日2度目の断念をしました。


僕達急行 A列車で行こう

この日そして翌日と日本を襲った爆弾低気圧のせいで、私は朝から軽い偏頭痛に悩まされて

いました、本当は細々とした書類の制作などしないといけなかったのだけど、ぜんぜん集中力が

でなくて、致し方なく映画館へ現実逃避することに。

で、横浜ブルグ13にて森田芳光監督の最後の作品となった「僕達急行 A列車で行こう 」を鑑賞。

この映画は、ヨコハマ映画祭で大人気だった瑛太さんと松山ケンイチ演じるふたりの鉄っちゃんの

話で、「の・ようなもの」の鉄ちゃんバージョンみたいになっているのかなと思ったら、

在りし日のプログラムピクチャーの作り込みだった。

でもちょっとした会話のタイミングをずらしたり、会話そのもののギャップを作ったりの作業が楽しい。

それとこの映画はなんか露骨に階級社会が描かれていて、社長(ピエール瀧)・上場企業社員(松山ケンイチ)

潰れそうな町工場の2代目(瑛太)が共通の趣味である鉄で、それぞれの階級の差を超えて友達となるという

美しい物語と表向きはなっているような。

でも本当のところは、それぞれ置かれてしまった立場を致し方なく演じているという風にみえます、

だってこの映画ってお金の価値感を逆転して描いているように思うのです。

瑛太が福岡へ単身赴任した松山ケンイチの元へ訪れるのに青春18きっぷを使うと

「青春18きっぷで来たのかぁ、なんて羨ましいんだ」

とかの会話がさらりと流れたりするのです。

安いコストで時間を買えるって素敵なことですよ。


エンドロールの最後に ありがとう 森田芳光 と自筆で書かれた文字が現れて

最後にちょっとぐっと来てしまった。

最後の作品がこんなに軽身のあるおよそ遺作として扱えない(いい意味で)映画を撮るなんて

素敵な人生の終わらせ方だなぁ。


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pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち

新宿バルト9のマチネ割引でピナ・バウシュ踊り続けるいのち を3Dで鑑賞。

この映画はヴィム・ヴェンダースがピナ・バウシュひとりを追いかけたドキュメンタリー映画を

撮るつもりだったのが、突然ピナ・バウシュがこの世界から消えてしまい、製作そのものが中断したものの

カンパニーの要請もあり製作を再開してしまったようです。
なんかもうその時点で撮るべきものがなくなってしまったように思えます。

映画は、ピナ・バウシュのかつての名作舞台の本当に断片をコラージュしていくのですが

やはりぶつぎれ感はいなめません、1作品1~2分しかないダンスシーンになにを観ればいいのでしょう、

そんなものなにも伝わりませんよ。

ただピナ・バウシュのカッコいいフォルムだけを切り取っているので

自分にインテリジェンスがあることを見せたい系の人は、この作品を褒めたりするんだろうなぁ。

で、そういう人は今同時公開されている「ピナ・バウシュ 夢の教室 」のほうは絶対観ないよ、たぶん。

そしてこの作品の3Dが無様なことになっております、ダンサーが激しく手足を動かせば動かすほど

まるでお人形さんが踊っているようにしか見えないんだもの。

あまりにひどいので一度あのうざったいメガネを外してみると結構美しい画面がそこに現れて

しばしメガネを外して2Dで観てしまいました。


今うちはCATVでクラシカジャパンが観れるのですが、このチャンネルでオンエアされている

バレエの舞台中継は上手いです撮り方が、NHKやWOWOWでバレエ中継を観るとやはりつまらない

のだけど、ヨーロッパの伝統のなせる業なのか最後まで見てしまいます。

そもそも舞踊団のダンスそのものを撮るということは映画監督の範疇ではないよなぁ。


僕が演劇を観るようになったときには、もうすでにピナ・バウシュの全盛期はとっくに過ぎていて

日本公演の劇評は本当に酷評されていて、「そんなに酷いのかなぁ」と思い込んでしまい、

結局舞台を生で観ることができませんでした、その後悔がこの映画を観てされに募りました。
ピナ・バウシュの踊りは日本の舞踏にその精神性が通じるものがあるように

この映画でも唐突に大野一雄の死が知らされるのですが、コンテンポラリーダンスの中では

理解し易いものだけになおさらです。

舞台は生で同じ空間で同じ空気を吸わないとダメですね。

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