◇大学生時代

 

入学式のとき、たまたま隣りに座った高橋さんと一緒に勧誘されるままにESSとYMCAに入った。

高橋さんは英文科だったせいかESSに積極的だった。

 

◇火事

 

 昭和57年3月23日未明
 町田裕彦(やすひこ)は一年に一度の最大の仕事でもあり、イベントでもある図案展を数日後に控えて、眠れぬ夜を過ごしていた。
 ドンッ、という音がした。外を見ると向かいの木工所の大工、大戸さんの家の玄関に炎が立ち上がっていた。
 大戸さんが静かに立っていた。「火事だ」裕彦は叫んだ。
 その声に延子は目覚め外へ出て火を消そうとした。慌てて汲んだ水はこぼれて火に届かなかった。


 大戸さんはじっと焚き火でもしているように火を見ていた。
 四囲は妙に明るく静かだった。
 「燃えちゃったんだよ、燃えちゃったんだよ」と呟いていた。
 その時、その人の目の前には灯油が20Lのポリタンク2本が満タンで置いてあった。後で本人が言っていた。
 大戸さんはエアコンを使っていた。3月の下旬、なぜ灯油が2本も必要だったのだろうか?

 

 

 木工所の2階には従業員5~6家族が暮らしていた。

 火元から遠い側の電柱を伝って避難し、(一人が落ちて骨折したが)15~6人全員無事だった。

 ただ大戸さんの奥さんが亡くなった。一階に暮らし、裏口もあったのに、布団の中で亡くなっていたと言う。翌日葬儀を出した。

 



 

 



 

 

その日の夕刊は紙面を沢山割いて報道した。

大戸さんの奥さんの名前は勿論、写真まで載せていた。

そして創作も入っていた。

 

#火事#自分史