梨&株式会社闇『その怪文書を読みましたか』(太田出版)
「怪文書」
意味不明な主張をしている文章のこと。
内容は誹謗中傷や被害妄想、非現実的なものが多い。
ほとんどが根拠不明で誤った情報を元にしている。
―本当にそうなのでしょうか?
今月まで巡業していた展覧会「その怪文書を読みましたか」。
ホラー作家の「梨」さんが集めた(という設定の)怪文書を読んで、隠された物語を考察するという企画。
興味あったけど行きそびれてしまった……
これはその展覧会の書籍版。
展示されていた怪文書の写真を図録みたいに載せている。
後ろの顔に監視されてる?
妖精を探しているらしい。
もう遅かった?
一見どの文書も意味不明だけど、順番に読んでいくと物語が浮かび上がる仕掛け。
メインとなる怪文書には解説がついているので、全体の流れはつかみやすい。
解説のない文書も、実はメインの文書と繋がっていたりするので要注目。
考察し始めたら楽しくて夢中になってしまった🌟
何度もページを行ったり来たりして、メモもたくさん書いた。
クラフト・エヴィング商會みたく断片から物語を想像するのって好きなんだよね。
「あなたも怪文書を書きませんか」のコーナー。
質問に答えるだけで簡単に怪文書が作れる。
データをダウンロードして作ってみた。
現実が近づいても嬉しくない(笑)!
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以下、自分なりにストーリーをまとめてみた。
あくまで私の考察、かつネタバレ全開なのでご注意を。
・「妖精さん」なるものを崇拝する「妖精ともの会」という組織が存在する。
・「妖精さん」は異世界の住人なので、その意思を直接理解することはできない。なので「ともの会」は「妖精さん」の言葉を「翻訳」できる人を探している。
・「翻訳」は「怪文書」という形で現れる。怪文書の作者は知らないうちに「妖精さん」の言葉を受け取って文章にしているのだが、内容が高度過ぎて傍目には怪文書にしか見えないのだ……と「ともの会」は信じている。
・「妖精ともの会」は怪文書を書く人間に近付き、その人が本当に「翻訳者」なのかどうか調査する(要はストーカー)。「翻訳者」と認めた人には「当選通知」を送る。
・「当選通知」を送られた人間は死亡もしくは失踪する。恐らく「妖精ともの会」に誘拐され、無理やり「翻訳」させられているのだろう。
・そして「ともの会」は梨さんを操って(?)、「その怪文書を読みましたか」という展覧会を開いた。参加者に怪文書を考察させたり書かせたりして、「翻訳者」にふさわしい人物を探そうとしているのだ。
・選ばれてしまった人は恐らく…
全ては「妖精ともの会」の陰謀だった!というオチ。
最後にこちら側を巻き込んじゃうのは怖いな~
「妖精さん」が本当にいるのかどうか、ちょっとわからない。
どちらにしても「ともの会」の行動は常軌を逸してるので、やっぱりお化けより人間が一番怖いんだなぁと思った。
展覧会に行けてたらもっと楽しめたと思う。
もし第2弾があったら絶対行きます!
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この前行った神保町の三省堂書店で、梨さんのプロフィール帳を発見。
※SNSシェアOKだったので撮りました。
影響を受けた本が『八本脚の蝶』で、初めて買った本が『卒業式まで死にません』で、最近読んだ本が『落雷はすべてキス』!
読書傾向が私と似てて凄く親近感わいた💕
梨さんのnoteやYouTubeの怪談、どれも絶妙に怖くておもしろい。
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読み終わって一息ついていたら……
妖精さんに選ばれてしまいました。
妖精さんの声も聴きました。
妖精さんはいます。
私たちの下に顕現されます。
いつか皆様のところにも届きますように。
あーあ。
今日も読んでいただき
本当に
本当にありがとうございました。